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フリーランス活用の現状とその可能性について全国の経営者が回答、調査結果と「フリーランスの保護をめぐる政策動向」を読み解く

2023.07.19 Wed

WAUW株式会社は7月11日、全国の経営者・役員1000人を対象にした「外部人材・フリーランス人材活用に関する意識調査」を公開した。調査結果として、フリーランス活用が進んでいる企業は全体の2割程度にとどまり発展途中と思われるものの、現時点では過半数がフリーランス人材の活用に満足しているということなどが明らかとなった。本記事では調査結果とあわせて、より詳細にフリーランス人材の活用や課題について確認するため、国立国会図書館が公開した資料「調査と情報-Issue Brief-rss」より「フリーランスの保護をめぐる政策動向」も読み解く。

外部人材・フリーランス人材活用に関する意識調査

WAUW株式会社が実施した「外部人材・フリーランス人材活用に関する意識調査」は、全国の会社経営者・役員を対象に、外部人材・フリーランス人材の活用状況や正社員採用との違いについて調査したものである。

まず、本調査の前段階の調査として1000人を対象として、外部人材とフリーランス人材の活用についてアンケートを実施した。20%にあたる200人が「はい」と回答し、全体の2割程度が外部人材とフリーランス人材を活用していることがわかった。

満足度については「大変満足している」が18%、「満足している」が36%という結果となった。過半数の経営者や役員が満足しているようだ。

では具体的にフリーランス人材の活用により、どのようなメリットがあるのだろうか。調査結果として判明したのは、56%の企業が「即戦力の採用」を挙げていることであった。中途採用や新卒採用などとは異なり、すぐにプロジェクトを進める人材として配置できることが大きなメリットのようだ。その他には「人件費の削減」が17%、「人材配置の容易さ」が14%といった回答となった。

また、最も活用されている職種は「エンジニア」であった。約40%の経営者・役員がエンジニアとして外部人材・フリーランスを配置している。次いでマーケティングやデザイナーといった場面で、外部人材が活用されている。

2023年5月12日には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)、いわゆるフリーランス新法が交付されたが、その対応については半分程度の企業が対応済み、あるいは対応を行っている途中だと回答した。

フリーランス新法について

なおフリーランス新法は、組織に属さずに個人で働くフリーランスの労働環境保護を目的とした法律だ。自身の知識や技能を生かして個人で事業を行うフリーランスが、不当な契約やトラブルに巻き込まれる機会を減らすことを目指している。契約条件の書面での提供、報酬の60日以内の支払い、不特定多数に対する募集情報の適切な提供、フリーランスの利益を損なう不当な扱いの禁止などが定められている。

「フリーランスの保護をめぐる政策動向」から考えるフリーランスの現状と今後

それでは、フリーランスや副業人材として仕事を受ける人はどの程度いて、これまでにどのようなトラブルが確認されているのだろうか。人材を活用する側だけでなく、働き手としての側面からも考えておきたい。

国立国会図書館が公開する国政上の課題に関する簡潔な解説シリーズ「調査と情報-Issue Brief-rss」より、2022年2月に刊行された「フリーランスの保護をめぐる政策動向」を確認しておこう。本資料では、厚生労働省が公開した資料などを多くの資料をもとに、フリーランスの働き方について検討されている。

まず日本におけるフリーランスの人数についてだが、総数は462万人に上るとされている。その中には単発の仕事を請け負うギグワーカーも含まれているが、コロナ禍での失業増加や雇用への不安が高まっていることから総数は急増しているという。

フリーランス人材が巻き込まれたトラブル事例としては、報酬の支払い遅延や一方的な減額などが確認された。こういった問題を解決するための対策として、「フリーランスが公的な支援や整備を求める事項」についても言及されている。内容については、仕事が打ち切られた場合の支援、低限支払うべき報酬額の策定、仕事が原因で負傷した・疾病になった場合の支援などが挙げられている。

フリーランスとして働く者に対しては、労働基準法等の適用が難しいという問題がある。フリーランスは労働者としてではなく、独立した事業主として扱われるためである。ただし労働者性の有無は個々の働き方の実態に基づいて判断される。フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合等には、労働基準法等は適用される。労働実態としては労働者である人材が、自営業者とされ労働法の適用を受けられていないという、“偽装自営業者”というべき問題があるとされている。フリーランスの増加は、労働者の自由と多様性を促進する一方で、労働者の保護を確保するための制度が必要である。働き方が多様化する中で、従来の社会を前提とした形式ではなく、今後を見据えた上での社会全体での議論が必要であると言えるだろう。

まとめ

企業としては、フリーランスの活用はまだ進んでいる途中の段階と言えるが、人材の増加傾向にあることを考慮すると、フリーランス活用は企業経営を多様化し生産性を高める可能性になるだろう。フリーランスとして活動する際には、報酬の支払い遅延や一方的な減額などの課題も考慮しつつ、企業との付き合い方や事業に取り組むことが重要と言える。

経営や法律は、クリエイターとして活動をする際に避けては通れないテーマだ。今後も変化が続きそうな場面なので、引き続き注目していく必要がありそうだ。

関連ページ:「フリーランスの保護をめぐる政策動向」  

WAUW株式会社  
URL:https://wauw.world/  
2023/07/19

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