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大日本印刷が銀座四丁目交差点を忠実に再現した3DCGデータを制作。映像制作会社などに向けて提供

2023.12.06 Wed

大日本印刷株式会社(DNP)が、地域の文化資源を活用したバーチャルプロダクション用の3DCGデータとして、新たに東京都の「銀座四丁目交差点」を制作しました。バーチャルプロダクションは、スタジオの大型スクリーンなどに3DCGによる仮想的な背景を投影し、その前に人や物を配置して現実のような世界を作り出す映像手法です。制作された3DCGデータは、映像制作会社などに向けて提供が開始されています。

「神田明神」でも注目された3DCG

近年では、国内外でバーチャルプロダクションによる映像制作が広がり、それとともに使用許諾が面倒な公共施設などの3DCGデータのニーズは特に高まっています。しかし、それらのデータのバリエーションはまだ多くはありません。

そのような中で、DNPは再現が難しい文化財や都市部などの3DCGデータの制作を手掛けてきました。解像度の高い画像データの独自の変換・加工・最適化技術と、XRコミュニケーション事業やデジタルアーカイブ事業で培われた3DCG制作の実績が生かされています。

2023年9月には、東京都千代田区の「神田明神」の3DCGデータの提供が開始されて注目を浴びました。そして今回、新たに都市部ならではの建物や景観を忠実に再現した「銀座四丁目交差点」の3DCGデータが制作されています。

「神田明神」のバーチャルプロダクション用高精細3DCGデータ

「銀座四丁目交差点」の3DCGの特徴

都市を3DCGとして再現するには、特に高度な技術や知識が必要とされます。都市部は、建物や道路や景観などの大きさ・質感が複雑に入り組んでいるからです。しかし、今回の「銀座四丁目交差点」の3DCGデータは、画像で見たところ、細部まで忠実に再現されたリアルな仕上がりが実現されています。

銀座四丁目交差点バーチャルプロダクション背景のイメージ

本データでは、2023年6月時点での銀座四丁目交差点の状態が3DCG化されています。天候や時間帯の制約も受けず、バーチャルプロダクションでの安定した撮影を行えることがポイントです。アイデア次第で、非日常的な映像表現に役立てることもできます。

交差点を起点に東西南北の約1kmの範囲をデータ化

また、3DCGデータはどうしても現実にはない違和感が残る課題もありましたが、それを解決するのが「点群データ」です。「点群データ」を活用することで現実空間と同じ縮尺での再現ができるため、臨場感のある映像を生み出せます。DNPでは、国内外で3,000件以上の計測実績を持つ協力会社と連携し、同社が保有する「点群データ」を生かしたバーチャルプロダクション用データを提供しています。

データの提供と今後の展開

本データは、ソニーピーシーエル株式会社が運用するデジタル背景アセットライブラリーサービス「BACKDROP LIBRARY」で公開・販売されています。同サービスで提供されている背景アセットには個別の利用条件があり、詳しくは希望する種類を明記したうえで問い合わせが必要です。ニーズに応じた個別カスタマイズについても、応相談とされています。なお、上述の「神田明神」のデータも、本サービス上で取り扱われています。

「BACKDROP LIBRARY」Webサイト

今回、「銀座四丁目交差点」の3DCGデータを制作したDNPでは、今後も現実的には撮影が難しい文化財や都市部を対象とした高精細3DCGデータを、バーチャルプロダクション用途に提供していく予定です。あわせて、メタバースなどのXRコンテンツでデータを活用する取り組みも進められます。

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バーチャル背景の概念自体はさほど真新しいものではありませんが、今回のデータでの “都市部” の忠実な再現は圧巻です。比較的に構築しやすい架空の背景とはまた異なり、現実の空間を再現する試みはよりニーズが高そうで、今後の展開にも期待が高まります。

大日本印刷株式会社(DNP)
URL:https://www.dnp.co.jp/
2023/12/06

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