PART 3. 【スナップ編】 ──見慣れた街の一部分を切り取る |
ふだんから見慣れた自分の住む町や、仕事場のある街、出かけた先なども、工夫次第でいくらでも素材集のモチーフになる。どんなところに着目するかが、よい素材を手に入れるための最大のポイントだ。ここではその方法を考察してみよう。
テーマ毎に一部分を切り取る感覚で
人やモノが溢れる都会の風景は、見たままをただ漠然と撮るだけだと説明的な写真になってしまう。素材として絵になる被写体を見極める観察眼を働かせよう。ひとつのコツとしては、全体よりも部分に目を向けること。
たとえばユニークな形をした建造物が目に留まった場合、そのものズバリを全景として撮影しても、その建造物の説明にしかならず、素材写真として利用できるケースは限られるだろう。だが、一部分を切り取る感覚で構図を決めれば、汎用的なイメージカットとして活用できるはず。後からトリミングをする手もあるが、撮る際にある程度のポイントを絞っておいたほうが、漫然と撮ったカットよりも密度の高い素材写真になる。
もうひとつのコツは、大まかなテーマを自分なりに決めておくこと。たとえば「高層ビルの造形」、「看板の文字や数字」、「カラフルな色」、「人間の顔を連想させるモノ」といったお題を自分で設定し、その日はテーマに沿った被写体だけを撮るようにしてみる。「赤いモノ」とか「ハート型」といった、もっとシンプルなテーマでもいい。
そうやってテーマごとに素材写真を撮り溜めておけば、自分だけのイメージデータベースができる。機材としては、1台で広角から望遠までに対応する高倍率ズーム機、または高倍率ズームレンズ搭載のデジタル一眼レフ機が便利だろう。
[写真34] ある塔の先端部分のみを切り取ってみた
[写真35] 目に付いたものは、とりあえずなんでも撮ってみよう
[写真36] 文字の部分をレタッチソフトで書き換えれば、別の意味付けで利用できる
[写真37] アングルに工夫し、ごちゃごちゃした周辺部をカットした
[写真38] 全体と部分の両方を撮っておくのがいい。ただし有名な建造物は使用範囲が限られる
[写真39] 「時計」というテーマで、屋外のさまざまな時計を撮るのもいいだろう
[写真40] 周りにいる人物ができるだけ入らない構図で撮るのがいい
[写真41] あるテーマパーク内での1コマ。実際には周りに大勢の人がいた
[写真42] 都会を注意深く観察すれば、面白い断片はいくらでも見つかる
[写真43] 望遠ズームを使用し、観覧車を引き付けた構図で撮影
[写真44] 海外旅行は、素材写真を撮り溜める絶好のチャンスだ
[写真45] 同じ方向からのカットだが、立ち位置を少し後ろに下がっただけで、バリエーションが生まれた
[写真46] 建物の全体だけでなく、部分に眼を向けることも必要
[写真47] 有名ではなくても、知る人ぞ知る場所や建造物は、使い方に配慮すること
[写真48] 当然ながら、広告や看板が入った写真はそのままでは使えない。修正が必要だ
[写真49] 旅先でのスナップショット
[写真50] 対象そのものを撮るのではなく、周辺と組み合わせた構図で撮るのもいい
[写真51] このカットは微妙。素材としての汎用性はあまりないかもしれない
[写真52] 本来は意味を持つが、ここでは形の面白さだけで撮影してみた
[写真53] シルエットでとらえると、フォルムが際立つ
[写真54] 同じテーマで撮り続けるのも面白い
[写真55] 中国にて
[写真56] 台湾にて
[写真57] 土産物をマクロ撮影。キャラクターものは使用不可だが、バッタものならOK?
[写真58] 高い所に登って街の全景を撮るのもいい
[写真59] 望遠ズームで部分を切り取れば、絵になる風景をとらえられる
[写真60] ホテルの窓から見下ろして撮った1コマ