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ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ

2018.10.02 Tue

iPhone SEユーザーだけどiPhone Xs Max買ってみた(前編)

ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ 
iPhone SEユーザーだけどiPhone Xs Max買ってみた(前編)~Apple「iPhone Xs Max」レビュー
2018年10月02日
TEXT:山口真弘(ITライター)

「iPhone Xs」「iPhone Xs Max」といった新しいiPhoneのラインナップが9月に発表されたのと並行して、4型モデル「iPhone SE」のページがAppleのサイトから消滅しました。メインストリームだった4.7型モデルではなく、コンパクトで持ちやすい「iPhone SE」を愛用してきた筆者としては寂しい限りです。

事実、このiPhone SEやその先代に当たるiPhone 5sは、片手で無理なく使えるサイズであることから一部では人気も高く、つい先日までは後継製品の噂もあったことから、いまなお新モデルをあきらめきれない人も多いはずです。もちろんまだ新モデルの可能性がゼロになったわけではありませんし、当面は手持ちのモデルを使い続ければよいだけなのですが、破損・紛失の憂き目に遭った場合に、同じ機種を入手することは困難な状況になりつつあります。Xデーは刻一刻と迫っていると言っていいでしょう。
「iPhone SE」。従来の「iPhone 5」「iPhone 5s」の流れを汲む4型のコンパクトモデルです

「iPhone SE」。従来の「iPhone 5」「iPhone 5s」の流れを汲む4型のコンパクトモデルです

片手にすっぽり収まるサイズが魅力だったのですが、現時点で後継機種はないようです

片手にすっぽり収まるサイズが魅力だったのですが、現時点で後継機種はないようです

またそうした問題とは別に、iPhoneのラインナップからホームボタン搭載モデルが消滅しつつある今、どこかのタイミングで新しいiPhoneのフォームファクタを使っておきたいという人も、少なからずいるでしょう。そもそもiPhone SEは発売こそ2016年とはいえ、用いているフォームファクタは5年前の「iPhone 5s」のものですし、CPU(A9)に至っては2015年発売の「iPhone 6s」相当です。まだiPhone SEから機種変更はしないものの、現行モデルについて多少なりとも知っておきたいという人はいるはずです。

そこで今回は、新たに登場した2モデルのうち、画面が大きい「iPhone Xs Max」を取り上げ、iPhone SEユーザーがこの製品を使った場合にどこまで使えるのかを見ていきます。6.5型の大画面という、iPhone SEとは対極にあるこの製品、iPhone SEと同じ感覚で使うのはまずもって不可能ですが、ここまで違うとバッティングすることもないので、うまく併用することも可能なのでは? という希望も沸いてきます。

また併用と言っても、両者それぞれの強みを活かして使う、文字通りの「併用」になるのか、あるいは性能差などから徐々に移行する羽目になるのか、それとも元の使い勝手から抜け出られないままになるのか、このあたりも実際に使わなければわからないところがあります。今回はそうした、単純なスペック差だけでは判断できない点を中心に、前後編に分けて、iPhone SEユーザーならではの視点でiPhone Xs Maxを見ていきます。
左がiPhone Xs Max(6.5型)、右がiPhone SE(4型)。サイズの差は一目瞭然です

左がiPhone Xs Max(6.5型)、右がiPhone SE(4型)。サイズの差は一目瞭然です

上に重ねるとiPhone SEの本体が画面にすっぽり収まり、さらにまだ上下左右に余裕があります

上に重ねるとiPhone SEの本体が画面にすっぽり収まり、さらにまだ上下左右に余裕があります

まずボディからチェックしていきましょう。サイズの違いについては言うまでもないのですが、iPhone 6→6s→7→8というメインストリームの流れに背を向けてきたiPhone SEユーザーからすると、外観周りだけでもいろいろと違いが目に付きます。

例えば、電源ボタンの位置は上部ではなく右側面ですし、音量ボタンは丸形ではなく縦長の形状です。これらはiPhone 5sが6にモデルチェンジした時点ですでに切り替わっているのですが、iPhone SEという名のガラパゴスに取り残されていたユーザー(筆者含む)からすると、まったく別のシリーズを使っているかのようなカルチャーショックを受けます。
iPhone 6以降を知らないiPhone SEユーザーには電源ボタンが横にあるだけで違和感がある

iPhone 6以降を知らないiPhone SEユーザーには電源ボタンが横にあるだけで違和感がある

iPhone 6以降の丸型でない音量ボタン(下)もSEユーザーには馴染みにくいところ

iPhone 6以降の丸型でない音量ボタン(下)もSEユーザーには馴染みにくいところ

また、これはiPhone 7以降のモデルで共通する仕様ですが、iPhone Xs Maxにはイヤホンジャックがありません。つまり従来のイヤホンは使えず、製品に付属するLightning接続のイヤホンか、もしくはAirPodsなどBluetoothイヤホンを使うことになるわけですが、後者の方法を選んだ場合、多少なりとも新しい知識が必要になります。

iPhone SEユーザーが本製品を使った場合、サイズ以上に馴染みにくいのが、本体の両サイドが丸みを帯びていることかもしれません。iPhone 5と5s、そしてSEは、本体の両サイドがフラットであるのに対し、iPhone 6以降は背面に向かってカーブするデザインになっているので、両サイドをつまんで持ち上げようとすると、滑って落としやすいという欠点があります。特に今回のiPhone Xs Maxは重量もあるため、持った時のバランスを崩しやすく、かなり気を使わなくてはいけません。保護ケースを工夫するなどして慣れるしかないでしょう。
iPhone 8以降のモデルはイヤホンジャックがなく、Lightning接続のイヤホンを使用します

iPhone 8以降のモデルはイヤホンジャックがなく、Lightning接続のイヤホンを使用します

iPhone SEユーザーにとってもっとも馴染みにくいのは「側面が丸い」ことかも?

iPhone SEユーザーにとってもっとも馴染みにくいのは「側面が丸い」ことかも?

あと、おそらくiPhone SEユーザーであれば気になるのが、リアカメラが突出していることです。iPhone 5s以前、およびSEでは、リアカメラは背面とフラットでしたが、iPhone 6以降のモデルはカメラレンズが背面から1mm前後突出する仕様になっており、このiPhone Xs Maxも例外ではありません。

つまりデスク上に置くとこの1.2mm分だけ背中が浮いてしまうわけで、これまでと同じ感覚で扱うと、デスク上にキズをつけてしまったり、あるいはカメラレンズを破損させる危険があります(実際、カメラレンズの破損による修理は非常に多いようです)。カメラの性能は大幅に進化しており、プラス面も大きいのですが、背面に出っ張りがあること自体に慣れていないiPhone SE以前のユーザーは、注意する必要はありそうです。

なお重量については、iPhone Xs Maxは208g、SEは113gなので、実質2倍ほどの差があります。最近の大型スマホは150gオーバーが珍しくないので、SEが軽すぎるというのもあるのですが、SEと同じようにポケットの中に入れて持ち歩くのは、ちょっと難しそうです。ましてや「iPhone Xs MaxとSEの2台持ち」ともなると「SEの3台持ち」と変わらないわけで、運用を工夫する必要があります。
リアカメラはその出っ張りも含め、両製品の最大の違いと言えます。後編で詳しく紹介します

リアカメラはその出っ張りも含め、両製品の最大の違いと言えます。後編で詳しく紹介します

iPhone Xs Maxのリアカメラは実測1.2mmほど背面から突出しており、キズが気になります

iPhone Xs Maxのリアカメラは実測1.2mmほど背面から突出しており、キズが気になります

続いて画面周りを見ていきましょう。ホームボタンの廃止に伴ってTouch IDがFace IDになり、またベゼルレスデザインの採用によって画面上部にセンサーハウジングと呼ばれる黒帯が設けられたiPhone Xのトレンドは、今回のiPhone Xs Maxでも引き継がれています。画面の上から下までの寸法は、iPhone SEが実測で90mmだったのに対し、iPhone Xs Maxは149mmと、約5センチもの違いがあります。

もっともこれは、ベゼルレス化によって画面が上下に伸びただけで、従来の大型モデルである「iPhone 8 Plus」からボディサイズそのものはほとんど変化していないのですが、とはいえ、iPhone SEでは可能だった片手持ちでの利用は、iPhone Xs Maxでは当然ながら不可能です。

正確に言うと、普通に持って使うぶんには慣れれば問題なく対応できますし、また画面全体を下方向にスライドさせる「簡易アクセス機能」を活用すれば、画面の上まで指を届かせることは可能ですが、iPhone SEのようにしっかりと握り、寝転がったり仰向けになって片手で操作するという従来の使い方は、厳しいと言わざるを得ません。

そもそも「片手持ちが可能か否か」というのは「片手で保持できるか」ではなく「画面の端まで指が届いて問題なく操作できるか」という視点で論じられるべきで、そうした意味ではiPhone Xs Maxは片手での操作は「不可」ということになります。キーボードで左右のどちらかに寄せる仕組みが採用されていることからして、Apple自身、画面の端まで指が届きにくいものと見なしていることは明白です。
iPhone Xs Maxにはセンサーハウジングやノッチと呼ばれる黒帯が画面上部にあります

iPhone Xs Maxにはセンサーハウジングやノッチと呼ばれる黒帯が画面上部にあります

ホームボタンが廃止され、かわりにホームインジケータなる白いバーが表示されています

ホームボタンが廃止され、かわりにホームインジケータなる白いバーが表示されています

「簡易アクセス」を有効にし、ホームインジケータ付近を下方向にドラッグすると……

「簡易アクセス」を有効にし、ホームインジケータ付近を下方向にドラッグすると……

画面全体が下方向に数秒間スライドし、画面の上へもアクセスしやすくなります

画面全体が下方向に数秒間スライドし、画面の上へもアクセスしやすくなります

日本語キーボード。横幅いっぱいに表示せず、左右どちらかに寄せて使うことができます

日本語キーボード。横幅いっぱいに表示せず、左右どちらかに寄せて使うことができます

英語キーボードも左右寄せが可能ですが、こちらは無理をせず両手入力がよいかもしれません

英語キーボードも左右寄せが可能ですが、こちらは無理をせず両手入力がよいかもしれません

ただ、こうしたハンドリングの不自由さはともかくとして、これだけ画面のサイズが違うと、1画面あたりの情報量の違いは圧倒的です。なかでもWebサイトのように、上下方向にスクロールするページと相性は良好で、これに慣れてくると、iPhone SEは非常に窮屈に感じてしまいます。「iPhone 8 Plus」など従来の5.5型モデルのユーザーからも狭く感じるという声が聞こえてくるくらいなので、推して知るべしといったところです。
ホーム画面の情報量の比較。iPhone Xs Maxはアイコンをプラス1段多く表示できます

ホーム画面の情報量の比較。iPhone Xs Maxはアイコンをプラス1段多く表示できます

ブラウザ(Safari)の情報量の比較。iPhone SEでは隠れてしまう部分まで表示できます

ブラウザ(Safari)の情報量の比較。iPhone SEでは隠れてしまう部分まで表示できます

両製品の画面をなるべく等縮尺で並べるとこのくらい違いがあります

両製品の画面をなるべく等縮尺で並べるとこのくらい違いがあります

プロ野球ファンにはおなじみの「スポナビ プロ野球速報」の例。情報量の差は明らかです

プロ野球ファンにはおなじみの「スポナビ プロ野球速報」の例。情報量の差は明らかです

さらに本製品は、OLEDディスプレイの採用により、iPhone SEと並べるとすぐにわかるレベルで発色がよいことに加えて、解像度も高いことから、写真や動画などを表示した際のクオリティの差は圧倒的です。もし両製品を用途別に使い分けるのであれば、iPhone Xs Maxを写真や動画の閲覧に優先的に使うのは、有効な方法でしょう。
発色の違いを並べて比較するのは難しいので参考程度に見てほしいのですが、卵焼き(中央の黄色い部分)などを見ると、色合いがかなり異なることがお分かりいただけるのではないでしょうか

発色の違いを並べて比較するのは難しいので参考程度に見てほしいのですが、卵焼き(中央の黄色い部分)などを見ると、色合いがかなり異なることがお分かりいただけるのではないでしょうか

以上のように、iPhone SEユーザーにとって、ボディサイズや画面周りの違いについては戸惑いもありつつも、それぞれの特性を活かしつつ両製品を使い分けるのは不可能ではない……と言いたいところなのですが、しばらく使い続けていると、これらとはまったく別のところで「うーん、やっぱり併用はちょっと無理かも……」といった、いくつかの問題点も見えてきます。このあたりは次回、後編で詳しく紹介します。
製品名:iPhone Xs Max
実売価格:112,800円(64GB、税別)
発売元:Apple
[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
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