BluetoothやUSB Type-Cにも対応、さらなる進化を遂げた最高峰のキーボード~PFU「HHKB Professional HYBRID Type-S」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
かつては1万円や2万円が当たり前だったPC用のキーボードも、この四半世紀で低価格化が進み、いまや店頭でフルキーボードを購入するにも、1,000~2,000円あれば十分です。もっともそれらのキーボードは、かつて高級品だったキーボードを知るユーザーから見ると、キータッチなどに不満があることも少なくありません。
かつての古き良き時代のキーボードの重厚な打鍵感を継承しつつ、BluetoothやUSB Type-Cなど最新のテクノロジに対応させたのが、PFUのHHKBこと「Happy Hacking Keyboard」です。今回はメーカーから借用したサンプルを試してみました。
この特徴だけであれば、以前紹介した東プレ「REALFORCE」シリーズなどほかの選択肢もありますが、本製品の大きな特徴は、キー数をギリギリまで減らしたコンパクトなボディです。
テンキーがないのはもちろんのこと、重複するキーを極限まで削り、コンパクトなサイズにまとめたことで、端のキーまで指が届きやすく、また省スペースでの作業にもうってつけです。また厚みはややあるとはいえ、バッグの中に入れての持ち歩きも容易になっています。
Bluetoothはマルチペアリングに対応していますので、WindowsやMac、さらにはiPad、Androidスマホなど、複数のデバイスを切り替えての使用も可能です。複数のデバイスの入力環境を、この1台に集約させるのにもぴったりです。
またユニークなのが、電源が内蔵バッテリーではなく単三電池ということです。バッテリーは繰り返し使えて経済的な反面、いざという時に使えなくなる可能性もあります。汎用の単三電池を交換すればすぐに使えるこの仕様は、外出先で重宝します。またバッテリー非搭載ということで、旅行や出張などで航空便で送る場合にも安全です。
変更したキー配列は本体内に保存されますので、別のPCに接続してもそのまま利用できます。また接続先のデバイスごとにキーアサインを変更することも可能になっています。使いやすいようにカスタマイズ性が極限まで追求されているのが、本製品の大きな特徴です。
そのため、手持ちのあらゆるデバイスの入力環境を本製品に一元化するのならともかく、例えば職場だけは別のキーボードを使わざるを得ない場合など、並行して別のキーボードを使うことになった場合に、それらが頭の中できちんと切り替わるかが、大きなポイントになります。こればかりは個人差もあり、やってみなければわかりません。
もっとも、本製品は歴史も長く、今回のモデルチェンジでもキー配列が変わらなかったように、せっかく慣れたのに次のモデルでキー配列が変わったり、また早期にシリーズが終息する心配は低いと考えられます。歴史の浅いメーカーが単発で投入するエルゴノミクスキーボードは、これが理由でお勧めできないことも多いのですが、本製品に限ってはまず大丈夫でしょう。
根強いファンが多く、セールが行われればたとえ対象が旧モデルであってもSNSで話題になるなど注目度も高いこの「HHKB」、従来の利用環境から思い切って乗り換えることができるかどうか、最大のポイントはまさにそこにあると言えそうです。
実売価格:35,200円
発売元:PFU
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B082TXLC2B/
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2020.07.28 Tue