マウスが原因の腱鞘炎に効くかも? 初心者から中級者まで扱いやすいトラックボール~ナカバヤシ「MUS-TRLF132BK」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
マウスを長時間使い続けていると、手首が腱鞘炎になったり、肩が凝ったりするのはよくある話。そうしたユーザーにとって救世主と言えるのがトラックボールです。
ボディ本体を移動させることでカーソルを動かすマウスに対し、トラックボールは本体上面にあるボールを指で転がしてカーソルを動かします。ボディを動かさなくてよいため、腕を持ち上げる必要がなく、結果的にマウスのような症状が起こりにくいと言われています。
今回はそんなトラックボールのひとつで、入門機としても最適な、ナカバヤシの「MUS-TRLF132BK」を紹介します。
本製品は親指の位置にあるボールで画面上のマウスポインタを動かします。一般的にマウスを操作する時、親指は左側からボディを挟んでマウスを移動させる役割を持っていますが、トラックボールではその支えは不要ですので、その指をそのままボール操作に割り当てた格好です。残る人差し指と中指による2ボタンおよびホイールの操作は、一般的なマウスと変わりません。
ボールの直径は34mmと、このクラスの製品としては標準的なサイズです。低品質のトラックボールでは、マウスボールから指を離す瞬間にカーソルの位置がずれることもよくあり、本製品もそれは皆無とまではいえないのですが、このクラスの製品としては良好な印象です。取り外してのクリーニングも容易に行なえます。
感触は決して悪くなく、また実際に使った限りでは精度も高い印象ですが、慣れが必要になるかもしれません。ちなみにチルト操作には対応しておらず、前後のスクロールとクリックのみとなっています。ホイールの手前にはDPIの切替ボタンがあり、その手前はLEDが発光するギミックが搭載されています。
また左ボタンの左側、ボールの位置から見て前方に、2つの拡張ボタンが搭載されています。このボタンにはブラウザの「戻る」と「進む」が割り当てられており、また汎用のユーティリティを使えば、ほかのショートカットを割り当てることもできます。
なおレシーバは、本体裏面に収納できますので、本体を引き出しの中などに片付ける場合や、バッグに入れて持ち歩く時も紛失する心配はありません。電池は単四電池×2本で、電池ボックスの隣にはオン・オフのスイッチがあり、未使用時にオフにする仕組みです。
ちなみに本製品のバリエーションには、Bluetooth対応や、有線対応など、さまざまなモデルがあります。カラーバリエーションも含めると、種類がありすぎて分かりにくく感じるほどで、独自方式が肌に合わないという人は、そちらを探してみることをおすすめします。
またボディサイズもコンパクトで、狭い場所でも高い操作性を誇ります。ボディが小さすぎると、手のひらが置きづらくなることもしばしばですが、実際に使った限りではフィット感も高く、非常に優秀な印象です。マウスからトラックボールに切り替えた時にありがちな操作の違和感も少なく、入門用から、中級者向けまで、幅広く使える製品と言えます。
敢えてマイナスを挙げるならば、電源スイッチがオンかオフかを、本体の上面からは見分けられないことです。例えば電源オン時はLEDが点灯するなどのギミックがあれば、スイッチの切り忘れをすぐ見つけられるのですが、現状ではそれを判別する手立てがありません。もともと長寿命なのでいきなり動かなくなることはないにせよ、長期間使用しない場合は、切り忘れに気をつけたいところです。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2020.07.21 Tue