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ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ

2020.12.15 Tue

格安SIMとの組み合わせに最適、バッテリーはもちろんUSBでも駆動するモバイルルーター

~富士ソフト「+F FS030W」レビュー

2020年12月15日
TEXT:山口真弘(ITライター)

外出先でWi-Fiデバイスをインターネットに接続するためのモバイルルーターと言えば、かつてはキャリアから発売されている製品ばかりでしたが、最近はSIMフリーの製品も増え、格安SIMカードを組み合わせての運用もできるようになってきました。

今回紹介する富士ソフト 「+F FS030W」は、そんなモバイルルーターのひとつです。2020年夏には同じ外観ながら一部仕様が変更された新モデルも発売されていますが、今回はいまも併売されている従来モデルを例に、本製品の特徴とその使い方、および他の製品にない利点を紹介します。

ほぼ正方形のボディ。重量は約128gと、軽量なスマホとおおむね同等です

ほぼ正方形のボディ。重量は約128gと、軽量なスマホとおおむね同等です

充電などに使うUSBケーブルとアダプタ、取外し可能なバッテリなどが付属します

充電などに使うUSBケーブルとアダプタ、取外し可能なバッテリなどが付属します

利用にあたってはまずSIMカードを取り付けます。nanoSIMではなくmicroSIM仕様

利用にあたってはまずSIMカードを取り付けます。nanoSIMではなくmicroSIM仕様

続いてバッテリーを取り付け、その上からカバーを取り付けます

続いてバッテリーを取り付け、その上からカバーを取り付けます

本製品は、複数のWi-Fiデバイスをまとめてインターネットに接続するための製品です。これを外出先に持ち歩くことで、単体ではインターネットへの接続機能を持たないWi-Fiデバイスや、SIMカードを抜いたスマホを、ひとつの回線でインターネットに接続できるようになります。

購入したらまず初期設定を行っておきます。最初に、背面カバー内にあるスロットにSIMカード(microSIM)を装着します。続いて専用のスマホアプリから本製品に接続し、SIMカードの事業者に応じた設定を選択します。

作業が完了したら、あとは本体正面にあるボタンを押すことで、インターネットと接続できます。本体の液晶画面に表示される情報を参照して、問題なくインターネットに接続できていれば、あとはスマホやタブレットなどのWi-Fiデバイスの側で、本製品のSSIDを選択し、パスワードを入力します。

登録は手動設定のほか、本体右側面にあるWPSボタンを使っての接続にも対応します。またQRコードを使っての登録も可能です。ちなみに同時接続可能台数は最大15台ですが、後述の設定画面で、1台や3台など、必要な台数を指定しておけば、セキュリティー的にも安心です。

スマホアプリでの設定完了後は、本体ボタンを押すとネットに接続できるようになります

スマホアプリでの設定完了後は、本体ボタンを押すとネットに接続できるようになります

本体側面のWPSボタン。対応するWi-Fiデバイスとの接続設定に利用できます

本体側面のWPSボタン。対応するWi-Fiデバイスとの接続設定に利用できます

電池残量、データ使用量、電波強度などが表示されます

電池残量、データ使用量、電波強度などが表示されます

ボタンを繰り返し押すとさまざまな情報が表示されます

ボタンを繰り返し押すとさまざまな情報が表示されます

WPS以外にQRコードを使っての接続にも対応します

WPS以外にQRコードを使っての接続にも対応します

本製品は持ち歩き可能なサイズとはいえ、Wi-Fiルーターそのものであり、家庭内に設置しているWi-Fiルーターと、機能はほぼ同じです。具体的には、SSIDの設定や2.4GHz/5GHz帯の選択、暗号化のモード、IPアドレスのセグメント、DHCPのリースタイムなど、一般的なWi-Fiルーターではおなじみの項目が網羅されています。

また暗号化以外に、MACアドレスフィルタリングやIPフィルタリングなど、無許可のデバイスを接続させない機能も備えているほか、ポートマッピングやDMZ設定、NATなど、内外との特殊な通信を可能にする機能も利用できます。据置用のルーターとしても、まったく問題なく使えてしまうレベルです。

またSIMカード側、つまりWAN側の設定も細かく行えます。SIMカードの転送量の上限を超えての通信を遮断することもできますので、知らないうちに料金が積み上がっていくのを防ぐことができます。

これらはすべてスマホのブラウザ経由で設定するため、文字が細かくて見づらい上、設定画面内での現在位置がわかりづらいせいで迷子になることもしばしばですが、初回設定後はほぼ見ることはありませんので、それほど大きな問題ではありません。国内メーカーの製品ゆえ、日本語が怪しいこともありません。

スマホアプリ。ここから詳細設定画面を開きます

スマホアプリ。ここから詳細設定画面を開きます

詳細設定はアプリではなくブラウザを使って行います

詳細設定はアプリではなくブラウザを使って行います

通信量の上限を設定して使いすぎを防ぐことも可能

通信量の上限を設定して使いすぎを防ぐことも可能

SIMカードのプロファイル。多くは自動設定できます

SIMカードのプロファイル。多くは自動設定できます

一般的なルーターに備わる機能はほぼ網羅されています

一般的なルーターに備わる機能はほぼ網羅されています

DMZやNATのほか、クレードル(別売)の設定も行なえます

DMZやNATのほか、クレードル(別売)の設定も行なえます

さて、ここまで紹介した特徴は、本製品に限らず、多くのモバイルルーターでもおおむね当てはまりますが、本製品には他社のモバイルルーターではあまりみられない、2つの大きな特徴があります。

ひとつは、本体のバッテリーを用いず、USB給電で運用できることです。一般的にモバイルルータと言えば、外出先で使う製品ゆえ、本体にはバッテリーが内蔵され、それを用いて運用することがほとんどです。しかし本製品は、そのバッテリーを取り外し、USBで給電しながらの運用に対応します。

これにより、給電方法が確保されている場所であれば、バッテリーの減りを気にせずに通信が可能になるため、使い方の幅が大きく広がります。要するに据置のルーターとなんら違いなく使えてしまうわけです。物理的にバッテリーを取り外してしまえるので、取り付けたままパススルーで給電するのと異なり、バッテリーの加熱や劣化の心配もありません。

もうひとつは、このバッテリーレスで運用する場合に、USBケーブルを接続するだけで、本体の電源がオンになることです。通常、こうしたデバイスをUSB給電で運用する場合、USBケーブルをつないだのち、いったん本体側の電源ボタンを押してやらない限り、電源がオンになることはありません。

しかし本製品は、通電するだけで電源がオンになるため、例えば車の中で利用するにあたり、エンジンをかけて本製品への給電が始まると同時に、自動的に利用可能になります。余計な操作なしですぐに通信が可能になるこの機能は、前述のバッテリーレスでの運用と合わせて、本製品が多くのユーザーから支持されている大きな理由です。

バッテリーを取り外し、USB給電で運用することができます。本製品の特徴のひとつです

バッテリーを取り外し、USB給電で運用することができます。本製品の特徴のひとつです

USB給電での運用時は、バッテリー残量を示すアイコンは空欄になっています

USB給電での運用時は、バッテリー残量を示すアイコンは空欄になっています

なお冒頭でも触れたように、本製品にはすでに後継となる「+F FS040W」が登場しています。普通であれば、そちらを購入しましょう、となるのですが、主な違いはSIMカードがmicroSIM→nanoSIMになったこと、また端子がmicroB→USB Type-Cになった程度です。通信速度は若干向上する一方、Bluetooth接続など削られた機能もあります。

その一方で現時点での価格(Amazon)は、本製品の10,500円に対して、「+F FS040W」は18,800円とかなりの差があり、なおかつ発売まもないせいか、年末に至っても品薄傾向が続いています。また本稿執筆時点では併売されており、特に在庫限りで終息するわけでもないようです。

microSIM仕様のSIMカードがほぼ姿を消し、かつ端子はUSB Type-Cが普及しつつある現在、将来長く使える仕様を選ぶならば新製品にアドバンテージがありますが、この価格差は悩みどころです。バッテリーレス駆動・通電で即時電源オンといった特徴はそのままのようですので、敢えて価格優先で本製品をチョイスするのも、悪い選択肢ではなさそうです。

製品名:+F FS030W(FS030WMB1)
実売価格:10,500円
発売元:富士ソフト
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B01MQVDV3X/

[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn

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