手ごろな価格帯でroot権限を利用でき
幅広いニーズに対応可能
同一のサーバ上に複数ユーザーが同居するという点において、共用サーバとVPSに違いはないが、実際の運用や使い勝手において両者はまったく異なるものだ。多田氏によると、なかでも決定的な差が「root権限」を与えられるかどうかだという。root権限とは、UNIXにおける管理者権限(Windowsのアドミニストレータに相当)のことだか、これを持つことでOSを含めシステム全体のアクセスやカスタマイズが可能となる。共用サーバにおいてはセキュリティの観点からroot権限を業者側が管理するが、VPSや専用サーバサービスではユーザーに移管されている。
「root権限の有無が問題になるのは、おもにアプリケーションをインストールする際です。サービスメニューとして、あらかじめ提供されているアプリケーション以外のものを利用したい場合、root権限がないと利用できません。VPSや専用サーバを利用する必要があるということです」 つまりサービスメニューの範囲でできることに制約がある共用サーバと異なり、VPSには専用サーバと同等の自由度が保障されているわけだ。そのため単にWebやメールだけでなく、グループウエアや会計システムなどサーバインストール型アプリケーションの利用を前提として、VPSを利用するユーザーがほとんどだという。とはいえ、追加インストールしたアプリケーションのバージョン管理やセキュリティ対策などユーザー自身でサーバ運営管理を行う必要があるのも同様。VPSや専用サーバでしか実現できないことが必要ではない限り、そうした点ではWeb制作のプラットフォームとしてはやや敷居が高いのではないか、と多田氏は指摘する。
サーバリソースの保障で
同居する他のユーザーの影響を受けない
もうひとつの共用サーバとVPSの決定的な違いが、サーバリソースの保障だ。 「共用サーバの場合、サーバのCPUパワーやメモリを文字どおり複数のユーザーで共用することになります。つまり、特定ユーザーが重いデータベースを走らせているなど、システムに負荷をかける処理を行っている場合、他のユーザーにも影響が出る可能性があるということです」
対するVPSでは、使用できるCPUやメモリ容量が均等に割り当てられており、割り当ての範囲内でフルに使うことができる。したがって共用サーバにありがちな「ピークタイムに処理が重くなる」、「人気サイトの運営者がサーバに同居しているとパフォーマンスが悪い」といった問題とは無縁とのこと。そもそも共用サーバの場合、ほとんどのホスティング会社がサーバスペックを非公開にしており、サービスに加入してみないと実際のパフォーマンスを知る手段がないという弱みがある。その点VPSならば、OS上からどれだけのリソースが固有に割り当てられているのかの確認が可能だ。利用できるサーバリソースの明確化という点に関して、VPSは専用サーバに近いと考えてもよいだろう。
「VPSは専用サーバの廉価版と考えていただくのがわかりやすいと思いますが、専用サーバと比較してシステムのアップグレードが容易だというアドバンテージがあります。買い切りを前提とした専用サーバの場合、メモリやハードディスクの増設には手間がかかりますし、一定時間システムを停止する必要が出てしまいます。VPSならばサーバの空いているリソースを回せばよいだけなので、それだけスケーラブルな仕組みといえます」
サービスプランの変更に伴うサイト移転には、新規構築に匹敵する手間がかかるだけに、十分な拡張性を備えたVPSの利用は制作会社にとってもメリットが大きい。そのため最近では、専用サーバサービスでもVPSと同様の仮想化技術を取り入れ、ハードウエアに依存しない環境を構築することで、よりハイエンドなサーバ機へのアップグードや、VPSから専用サーバサービスへの移行を容易にした「仮想化専用サーバサービス」を提供するホスティング会社も登場している。
では、専用サーバサービスとVPSはどのように使い分けるべきなのだろうか。 「基幹システムの運用などミッションクリティカルな目的に使用されるサーバシステムの場合、複数台構成による冗長化が求められますから、専用サーバにする必要があるでしょう。とはいえ、たとえサーバ機の在庫があっても契約から稼働まである程度の時間を必要とする専用サーバサービスと比較して、VPSならばすでに稼働しているサーバに新規の領域を確保するだけですから、すぐに使えるメリットがあります」
ちなみに同社の場合、オンラインでのクレジットカードの決済が完了した瞬間から、すぐに使えるVPSサービスを提供しているとのこと。急なニーズにも対応できるのも、VPSの強みといえるだろう。
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VPSではハードウエア自体を共有しているが、各ユーザーの領域が完全に独立しており、いずれかのユーザーがアプリケーションを再起動した場合でも、他のユーザーに影響が出ることはない
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ひと口にVPSといっても、各ユーザーに割り当てられるリソースはホスティング会社やサービス利用料金に応じて差が大きい。したがって、標準でどれだけのリソースが割り当てられているのか、どういった拡張に対応しているのかがポイントとなる。WebARENAのVPSサービスであるSuitePRO V2では、業界最高レベルとなるメモリ割り当て量と回線スピードを提供(web.arena.ne.jp/suitepro/)
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