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あたりまえライター処世術

2020.07.06 Mon

【1】ライターデビューするには、出版社や編プロ出身者が有利?自分の経歴について考える

文:モコ(仮名) イラスト:冨田マリー

これからWebライターになりたい人、Webライターになりたての人に向けてお届けする、連載「あたりまえライター処世術」。文章能力、ギャランティー、スケジュールの立て方etc.意外と教えてくれないあれこれを、現役の編集兼ライターが解説します。うまく業界を渡り歩いて、一人前のデキるライターを目指しましょう。

はじめに

はじめまして、現役の編集兼ライター・モコ(仮名)です。身バレしてはあれなので、仮名です……(笑)。今回から、旅行、グルメ、アート、ファッションなどのような、情報系の記事を書いている現役のWebライターさん、これからWebライターを目指す人に向けた連載をスタートさせることになりました。

いくつものWebメディアが登場し、フリーランスのライターが活動する場が増えていますよね。誌面からWebに移行しているライターも多いです。そんな「ライター活躍時代」であるように見えますが、正直なところ、本当に活躍できるライターは数少なく、仕事がないライターは辞めていってしまう「ライター戦国時代」と言ってもいいかもしれません。

では、仕事が舞い込んでくる人、仕事が去っていってしまう人の違いはなんなのでしょうか?編プロ&出版社での編集経験とフリーランスのライター経験どちらもある、わたくしモコ(仮名)から見ると、決して強く意識はしないけれど、実は「あたりまえ」のことが本当は重要なポイントなのではと思えてきました。

この連載では「あたりまえ」のことをテーマに、ライターとしての心構えはもちろん、自分を守る方法や、ちょっとしたお役立ち情報も紹介していきます。そしてそして、人気イラストレーター・冨田マリーさんのイラストも見どころです!

Webというと、一時期はクオリティーの低いイメージがありました。しかし、今は誌面と変わらず“質の高い”仕事ができるライターが求められます。この連載が、少しでも役に立ちますように。

自分の経歴について考える

お待たせしました、本題に入ります……。第1回目は経歴について考えます。

あなたはライターになるとき、自分の経歴について考えたことがありますか?「出版社・編プロを辞めてフリーのライターに」「学校を卒業してすぐにライターに」「文章を書く仕事に憧れて、異業種からライターに」。こんな感じの人たちが多いのでは。

この3パターンの中からだと、どう考えても「出版社・編プロを辞めてフリーのライターに」が有利です。なぜって、ずばり“コネクション”があるからです。わたしもそうですが、編集プロダクション、出版社に勤めたことがあると、元上司や元同僚が依頼してくれるんですよね。さらにそこから別の出版社に就職した人が仕事を発注してくれたり、知人が仕事を紹介してくれたりなんてことも。また、有名な媒体にいた、編プロにいていろいろな媒体を手掛けた経験があれば、箔が付いて仕事探しも有利です。ちなみにわたしは、今までありがたいことに自ら仕事を探したことがありません。

では、「学校を卒業してすぐにライターに」「文章を書く仕事に憧れて、異業種からライターに」の場合、どうでしょうか?成功する人ももちろんいるけれど、なかなか仕事に結びつかなかったり、安いギャランティの仕事しか見つからなかったりなんて人も多いはず。実際にわたしの友人は、異業種からライターになりましたがぜんぜん仕事が来なかったそうです……。

例えば、アート特集を作るとなったら誰を選ぶ?

より具体的にわかりやすく説明していきましょう。<例:○○編集部では、芸術の秋に向けて「全国の美術館特集」を作ることに。担当となったエディターXは、ライターさんを探します。候補は3人。誰を選ぶでしょうか>

Aさん:もともと編集部に在籍していて、フリーになったライターさん。アートにも詳しい。

Bさん:知り合いに紹介してもらった中堅のライターさん。評判がいいので気になる。

Cさん:編集部に売り込んできたライター半人前。美術史を学んでいたらしくアートには詳しい模様。

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エディターXの心の声としたら、こんな感じじゃないでしょうか?

  • Aさん:編集部がなにを書いてほしいかわかっているし、間違いないよなぁ。リスクがない!
  • Bさん:初めて仕事することになるから、ちょっと大変かもしれないけど、○○さんの紹介だから依頼してもいいかも。
  • Cさん:普通にないな。そんなリスクを犯せない。変な原稿上がってきたらどうしよう〜。

 

AさんかBさんかで悩んでいて、Cさんは論外。つまり「経験がある人」に依頼するのがあたりまえなんです。

未経験の新米ライターに仕事はなし……!?

じゃあ「学校を卒業してすぐにライターに」「文章を書く仕事に憧れて、異業種からライターに」の人たちは、なにも仕事がもらえないのか?と言ったら、必ずしもそうだとは言い切れません。

エディターXが「のびしろを感じられる」「この人になら投資をしてもいいかもしれない」と思えるような人であれば、仕事をお願いする可能性がでてきます。先ほど悲しくも依頼されなかったCさんですが、あることをできていれば次につながっていたかも……。わたしを含め、編集の意見がこちら。

先輩編集Iさん:「全国の美術館特集」は、AさんかBさんに依頼したとしても、自分自身のブランディングが上手でどこか頭の隅にでも残るような人であれば、一度仕事を振ってみるかも。まず、Cさんが素直かどうか、こちらの赤字やダメ出しなどをちゃんと理解して、やってくれそうかどうか。最初は誰しもが上手くやれないわけで、それは折り込み済みな中、今後ののびしろを見ますね。あとは本気度(熱意)でしょうか。ただ仕事がほしいというわけでなく、その媒体で書いてみたいとか、その媒体が好きだからとか、とにかく熱意があると1回は試してみようかと思います。

先輩編集Hさん:具体的なセールスポイントをアピールしてほしい。編集部にはライターの売り込みがたくさんあります。ブログを書いているだけの自称ライターは論外ですが、過去の企画を見て、自分だったらこういうことが追加できる、早くできる、コネクションがある……などのメリットがわかると、その時はダメでも、別の機会で頼んでみようかなと。

モコ(仮):先輩ライター2人の意見にプラスして、わたしは最近、「Instagram」「Twitter」「note」のようなSNS・ブログの投稿も気にしています。ライターさんのブランディング能力を垣間見れるような気がしているからです。Cさんは「美術史を学んでいたらしくアートには詳しい」ということですが、もし、美術の分野でおもしろい考えを持っていることがわかったり、アート旅をおしゃれな写真とともに綴っていたりしたら、Cさんのことをもっと知りたいなと思うから。今はどこの企業・ブランドもSNSには力を入れているので、ライター個人も力を入れてもいいのかもしれません。

第1回 まとめ

このライター業界、出版社・編集プロダクション出身の人が有利なのが実情。でも、チャンスがないわけではありません! “自分をうまくアピール・ブランディング”することが重要。記憶に残る演出をして仕事獲得へとつなげるべし。

もちろん、アピールもブランディングも大事ですが、それはあくまで表面的な部分。“中身”がないと仕事は続きません。文章やスケジュール、取材対応の話は、3回目以降でしていきます。次回は「ギャラについて」をお届け。


 

著者プロフィール

モコ(仮名)
編集、ライター
都内住みのしがない編集兼ライター。フリーランスになって早5年が経とうとしている。広告関係の案件を担当したり、編集部から依頼されて原稿を書いたり、いろいろする人。
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