第6回 取材について考える

●文:モコ(仮名) ●イラスト:冨田マリー
取材をすると言っても、ただ闇雲に話を聞けばいいものではありません。もう何年も編集・ライターをしていますが、取材のときはいつも緊張感があります。わたしの中で取材は、ほかの業務以上に相手のことを知る、考える、とても繊細な仕事。そこで今回は、尊敬する先輩ライターのMさんに“取材の基本”について教えてもらいました。
場合によっては、記事に必要のなさそうな話でも、意外と話が膨らんでいい話が聞き出せたりすることも。和やかな雰囲気にできるように世間話を盛り込んだり、相手の言葉に耳を傾けたりしつつ、相手の心中を探り、相手の話したいことを見つけていく感じでしょうか。「この話、突っ込んだら盛り上がりそうだな」っていうその場のノリも大事にしています。とにかくノリと空気感ですね。取材させていただくという気持ちで謙虚に、その場を楽しもうという気持ちも大切。
まずは読者に楽しく読んでもらうためにも、読みやすいことが大事。また、言葉遣い、言葉尻、話の流れなど、その場や相手の雰囲気や人柄が伝わるような臨場感を大切にしながら調整します。取材相手の魅力を感じられるようにすることも心がけています。
本人の言いたいことを引き出して、紡ぎ出した言葉をなるべく損なわないよう伝える。そこにある空気感みたいものから人柄が感じとれたりすると思うので。美辞麗句を多用しすぎないのも重要かもしれませんね。
【1】質問状を編集側で用意してくれることもありますが、自分で用意する必要がある場合、ある程度の道すじ、ゴール、ストーリーを考えて作成する。聞きたいことをずらずら書いてしまうと、最終的にまとまらなくなってしまうので。とは言っても思っていたような取材内容にならない場合もあるので、そこは臨機応変に。
【2】取材をする前にできる限り、取材先のリサーチをしておく。ある程度、先方のことをわかっていないと、話を深掘りできない。
【3】話を聞くときは、先方のことをもっと知りたいと思うようにしています。場合にもよりますが、マイナスなことは言わずに、「ここがすごいですね!」「人気がでそうですね!」など、ちょっと褒め言葉を入れて、相手が楽しく、嫌な気持ちにならないようにしています。相手が楽しくなってくれれば、話をしやすくなるし、いろいろなことを教えてくれます。
【4】原稿を作成するときは、いかに読みやすく、けれどその人のよさを失わないようにするか。

都内住みのしがない編集兼ライター。フリーランスになって早5年が経とうとしている。広告関係の案件を担当したり、編集部から依頼されて原稿を書いたり、いろいろする人。

東京在住。人物やキャラクターをゆるく描くイラストレーター。雑誌、広告、アート、CDジャケットなど、さまざまな媒体でイラストを展開している。https://tomitamary.com/