
「タイポグラフィが美しいメンズファッション雑誌
『AnotherMan』」
2008年8月26日
TEXT:蜂賀 亨
(クリエイティブディレクター/エディター)
雑誌デザインにおいて最も重要な要素はタイポグラフィといってもいいだろう。どのようなフォントをセレクトするか、どのような文字組みをするか、まさにグラフィックデザイナーの腕の見せどころでもある。既存フォントに満足できないデザイナーが、雑誌のためにオリジナルのフォントをつくってしまうケースもよくある。2005年に創刊されたメンズファッション誌『AnotherMan』は、毎号オリジナルフォントが使われており、タイポグラフィが特徴的な雑誌としてファッション関係者だけではなく、デザイン関係者達からも注目されている一冊だ。

メンズファッション誌『AnotherMan』
『AnotherMan』は、女性ファッション誌『Another』のメンズ版として、ファッションカルチャーマガジン『DAZED &CONFUSED MAGAZINE』やクルマ専門誌『INTERSECTION』などを発行しているDAZEDグループが発行している。『Dazed & Confused』の創立者であり、現在はグループエディトリアルディレクターでもあるジェファーソン・ハック自らが編集長を、ファッションディレクターをアリスター・マッキーが、そしてクリエイティブ・ディレクターをデヴィッド・ジェームスが担当している。
この雑誌のタイポグラフィが特徴的なのは当然といえば当然だ。デヴィッド・ジェームスとデザイン・ディレクターのガレス・ハグの2人は、フォントデザイナーとして過去にいくつかのオリジナルフォントをリリースしており、共同でAliasというフォントカンパニーを設立しているなど、まさにフォントに関するプロフェッショナルたち。しかもデヴィッド・ジェームスはフォントデザインだけではなく、プラダなどの広告キャンペーンのアートディレクションをするなどファッションイメージのディレクションを得意としているアート・ディレクターである。美しいファッション写真やインタビューの中で、オリジナルのタイポグラフィがアクセントとして効果的に使われている誌面デザインはさすがだ。
ヘルベチカを代表とするように、シンプルで美しいフォントを使った雑誌デザインが主流になっている現在、『AnotherMan』は改めてタイポグラフィの面白さ、重要性を再認識させてくれる一冊だ。こうした雑誌が今後ますます増えてきてくれるとうれしいのだけど。

[筆者プロフィール]
はちが・とおる●クリエイティブディレクター/エディター。ピエブックスを経て、クリエイターマガジン『+81』を企画/創刊させて11号まで編集長。その後ガスプロジェクトにあわせて、書籍「GAS BOOK」シリーズ、雑誌『Atmospehre』編集長などを担当。現在はフリーとしてグラフィックデザインを中心に企画/ディレクションなどで活動中。
http://www.hachiga.com/



