
「Googleの最新ブラウザ『Chrome』──前編」
2008年9月9日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
2008年9月2日に無償ダウンロードが開始されたGoogleのオープンソース型ブラウザ「Chrome」は、またたくまに世界のブラウザシェアの1%を得ることになった。
Chromeとはクローム合金によるメッキ処理のことを意味しており(筆者はもともと鉄鋼の業界にいたこともあり、メッキ処理といえばChromeよりZinc(亜鉛)のほうがピンとくるが)、独自のJavaScriptエンジンであるV8と、Safariと同じレンダリングエンジンであるWebKitを、オリジナルのUIで覆った(つまりメッキした)という意味からきていると思われる命名だ。
しかし、実は本当に覆い隠されているのは、Microsoftによっていまだに支配されているデスクトップ市場と、それに比べれば群雄割拠的なモバイルコンピューティング市場に、新たな秩序をもたらし、自らの覇権を拡張するという明確な宣戦布告である。
ブラウザがWindowsを代替するOSになると考えた企業といえばネットスケープを彷彿させるが、Googleのそれは遥かに狡猾だ。

Google Chromeのインターフェイス
詳しくは次回以降で述べるが、ネットスケープの武器が高速ブラウザだけであったのに対し、MicrosoftはWindows+IEの組み合わせでネットスケープの挑戦を退けた。ところがGoogleは世界一強力な検索エンジン+オープンソースによるブラウザという組み合わせでMicrosoftの牙城に迫る。Googleは別に、Chromeそのものでブラウザ市場を制覇する必要がない。世界中にChromeクローンが生まれればいい。結果としてIEのシェアが落ち、Chromeで示した(Google好みの)Webの仕様が広まればそれでいいのである。
Microsoftは、ネットスケープのブラウザにIEで対抗しつつ、結局はWindowsの圧倒的なシェアを利用してこれを葬った。Googleは、IEキラーとしてのChromeを利用しつつ、実はMicrosoftのWindowsの天下を覆そうとしているのである。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



