公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構は、11月17日に第11回 Webグランプリ「企業グランプリ部門」の受賞サイトを発表しました。本イベントは、日本国内の優れた企業Webサイトを顕彰する重要な場であり、今年の参加対象は61社、70サイトです。デジタルマーケティングとWebデザインに関心を持つ人にとって、注目すべき内容なので、代表サイトの詳細や受賞したサイトについて紹介していきます。

Webデザインの革新と創造性を讃えるグランプリ

「企業グランプリ部門」は、参加企業間の相互審査によって受賞者を決定するというユニークな方式を採用しています。参加者は他社のWebサイトを具体的なコメントを通じて評価し、自社のサイトにも客観的なフィードバックを得ることができます。このプロセスを採用することで、Webデザインとデジタルマーケティングの分野における創造性と革新を促進するとともに、Webサイト全体の質の向上を目指しています。

グランプリの各部門は多様なカテゴリがあり、「企業BtoBサイト賞」、「企業BtoCサイト賞」、「プロモーションサイト賞」、「コーポレートサイト賞」、「アクセシビリティ賞」といった賞が設けられています。様々な賞があることから、いずれも企業のブランディングやプロモーション活動において、Webサイトが果たす役割の重要性を強調していると言えるでしょう。受賞したサイトは、ユーザー体験、デザイン、コンテンツの質など、多角的な視点から高い評価を受けました。

本イベントの目的は、単に優れたWebサイトを表彰するだけでなく、Webに関わる人々の意識を高め、企業Webサイトのコンテンツの充実と質の向上を図ることにあります。審査過程での参加者間の交流は、さまざまな業界につながりと共有の場を提供し、新たなアイデアや技術の交換を促進しています。

審査基準に含まれている項目は、利用者中心のデザイン、アクセシビリティ、サイトの構造と内容の明確さなどです。これらの基準は現代のWebデザインとデジタルマーケティングにおいて非常に重要な要素であり、受賞サイトはこれらの基準を満たすことで、業界における高い基準とベンチマークとなっていくでしょう。

ストーリーテリングに優れたWebサイト「コクヨのヨコク」

コーポレートサイト賞に輝いた「コクヨのヨコク」ブランドサイトは、ブランディングとストーリーテリングを融合することで、コクヨ株式会社のブランドアイデンティティを巧みに表現しています。ただ商品を展示するだけでなく、コクヨの歴史、哲学、そしてビジョンをストーリーテリングの形式で伝えています。サイト訪問者は、ページを通じてコクヨの世界観に没入し、ブランドに対する深い理解を得ることができます。

サイトのデザインは、洗練されたビジュアルと直感的なナビゲーションを特徴としています。視覚的魅力とユーザーエクスペリエンスが意識されていて、スムーズにサイトを探索でき、各セクションが独自の視覚的な楽しさを持ちながらも、全体のブランドイメージと一貫性を保っています。

また、インタラクティブな要素を多用してサイト訪問者の参加を促しています。スクロールすることでコンテンツを一つずつじっくりと読むことができる設計となっていて、文章や写真など、コクヨが伝えたいメッセージをしっかりと受け止められる設計が特徴と言えるでしょう。閲覧する人はまるでコクヨの社員から製品や仕事に関するこだわりを情熱的に語りかけられているかのような、対話型のコンテンツとなっています。

音楽とフォントが融合したモリサワのプロモーションサイト

プロモーションサイト賞となった株式会社モリサワによる Vaundy × Morisawa Fontsの「置き手紙」特設サイトは、音楽とタイポグラフィの融合によって独特な体験を創り出しています。Vaundyの音楽ビデオとMorisawaのフォントを中心に展開され、訪問者に音楽とビジュアルアートの融合を感じさせることが特徴です。歌詞をしっかりと見せながらも、フォントの楽しさも伝える斬新なアプローチは、従来のプロモーションサイトの枠を超えていると言えるでしょう。

特設サイトは独創的なビジュアルデザインに注目すると楽しめます。モリサワのフォントはビデオの視覚的要素として効果的に使用されているだけでなく、サイト全体でも同様に歌詞を多様なフォントで表現し、美的な調和と深みを与えています。言葉をさまざまな書体で表現するビジュアルデザインはサイト訪問者に強い印象を残し、ブランドイメージを強化していると言えるでしょう。

楽曲の歌詞が様々な書体で表示されているだけでなく、フォントにマウスポインタを重ねるとフォントの詳細を確認することができます。スクロールと合わせて表示されるテキストは、まるでリアルタイムで話し相手がタイピングした文字を読んでいるかのように感じられて楽しい体験です。音楽のメッセージ性と合わせて、個性豊かなフォントの数々が記憶に残りやすくなるデザインが意識されています。

デジタルマーケティングの新しい潮流

第11回 Webグランプリ「企業グランプリ部門」の受賞サイトを眺めてみると、デジタルマーケティングとWebデザインの最前線に立つ企業の努力が明らかになるでしょう。それぞれの部門で企業がWebを通じてどのように自己表現し、顧客との接点を創出しているかが伝わってきます。受賞サイトはそれぞれ独自の視点で、ブランドの魅力を最大限に引き出しています。

受賞したサイトについてまとめると、「コクヨのヨコク」ブランドサイト（コクヨ株式会社）は、コーポレートサイト賞のグランプリを受賞し、その革新的なアプローチが注目されました。また、東洋紡コーポレートサイト（東洋紡株式会社）やアース製薬新卒採用サイト（アース製薬株式会社）なども、その優れたWebサイト構築により優秀賞を受賞しています。

BtoBおよびBtoCのカテゴリーでは、「まつりと｜日本のまつり探検プロジェクト」（キヤノンマーケティングジャパン株式会社）や「BOTANISTのサステナビリティ｜FOR A SUSTAINABLE FUTURE」（株式会社Ｉ－ｎｅ）などが高い評価を受けました。

プロモーションサイト賞では、Vaundy × Morisawa Fonts「置き手紙」Font Specimen Music Video 特設サイト（株式会社モリサワ）が、その独創的なデザインとコンテンツでグランプリを獲得しました。

本イベントはWebデザインとデジタルマーケティングを専門とするクリエイターにとって、最新のトレンドやアイデアを学ぶ絶好の機会となるでしょう。受賞サイトを研究することで、新たな発想や技術のインスピレーションを得ることができ、自社のWeb戦略に活かすことができるはずです。デザイナーやマーケターなど自身のスキルを磨き、業界のトレンドをキャッチアップするためにぜひ参考にしてみてくださいね。

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2023/11/24