わずか53gという異次元の軽さ。動かしやすく疲れにくい「穴あきマウス」は機能もスゴイ!~Cooler Master「MM710」レビュー
TEXT:山口真弘(ITライター)
PCに長時間向かっていると、マウスを動かすのがおっくうに感じることがあります。ふだんは特に意識していなくても、マウスの重さがじわじわと、肩や手首に負担をかけているというわけです。
こうした場合はしばらく休憩をするのがベターですが、業務中だとおいそれと作業を止めるわけにもいきません。なによりマウスの側に問題がある以上、休憩後に作業を再開すると、しばらく経てばまた同じ症状が出るのは明白です。
こうした場合に試してみたいのが、ボディに穴を空けることで、極限まで軽量化したマウスです。こうしたハニカム構造のマウスは近年続々と発売されていますが、今回はそのひとつ、Cooler Masterの「MM710」を紹介します。
そうしたゲーミングマウスの最近のトレンドのひとつに、軽量化があります。マウスのボディに無数の穴を空けて軽量化を図ることで、狙ったところにすばやく動かせるようにするというわけです。手に負荷がかからないため、長時間の操作で疲れにくいのも利点です。
そんな軽量構造を採用した本製品の重量は、わずか53g。一般的な有線マウスは80~100gが多く、またワイヤレスマウスともなると、バッテリーを搭載するためそれよりもさらに重くなります。半分近い軽さの本製品は、まさに異次元の感覚です。
軽いと言っても、機能自体は一般的なマウスと変わりませんので、ビジネスユースでも便利に利用できます。独特の外見こそ目立つものの、ゲーミングマウスにありがちな発光ギミックなども取り払われており、ビジネスにも違和感なく使えます。
一般的に、小型化や軽量化など、何らかの特徴を追求したマウスは、それらと引き換えに、拡張ボタンなどが省略されがちな傾向があります。そのまま小型軽量化してくれればよかったのに、機能まで減らされては意味がない……と感じることもしばしばです。
その点、今回のこの製品は、最小限とは言え、これら拡張ボタンを搭載しているため、ブラウザの「戻る」「進む」の操作や、タブ切り替えなどを、マウスで行いたいという人にもピッタリです。さらにはマクロの設定にも対応しています。
ひとつだけ残念なのは、ホイールの手前にあるボタンが、DPIの切替専用となっており、ほかの機能を割り当てられないことです。実質的に機能が割り当てられるのは、本体左側面の2ボタン、およびホイールボタンのみということになります。DPI切替は必要としないユーザーも多いだけに、ここだけはややマイナス評価です。
底面に貼られているソールも、テフロン素材を使用することで、動かしやすいように工夫されています。摩擦係数が低いため、マウスパッドを使わなくとも軽快に動かせるのは利点です。
またケーブルがあまりにも硬いと、マウスがケーブルの反発力に負けて引きずられることがありますが、本製品に用いられている「ウルトラ ライト ウィーブ ケーブル」は、表面が布でカバーされており、自由自在に曲げられるのが特徴です。これならばマウスの操作時に、ケーブルを邪魔に感じることもありません。
一方の欠点としては、この穴が災いして、ホコリや水滴が侵入しやすいことが挙げられます。回路基板には撥水・防塵コーティングが施されているとのことですが、スイッチのようにコーティングできない部品もあり、万全とは言えません。ホコリが舞いやすい環境での利用は、気をつけたほうがよさそうです。
とはいえ、本製品の異次元とも言える軽さは、手首や腕への負担を考えると、十分すぎるほどのメリットがあります。今使っているマウスが重いと感じていない人でも、本製品に交換すれば、これまでいかにマウスの重量が負担になっていたかを実感するでしょう。
実売価格:4,806円
発売元:Cooler Master
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B07Z46M7ZC/
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2021.04.20 Tue