Photoshopで風景をアニメ調にする写真加工術を紹介します。
*本連載はPhotoshopで作る定番グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。
■使用する機能「HDRトーン」「空を選択」「2階調化」「マジック消しゴムツール」「ハイパスフィルター」「塗りつぶしツール」「描画モード」「グラデーションツール」「空を置き換え」「塗料フィルター」
【Photoshop】風景をアニメ調に加工する写真加工術:
1.元となる写真の色合いを調整する
まずは新規ファイルを[幅:1200ピクセル]、[高さ:800ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ]で作成したら、元となる写真を配置する(図1)。
レイヤーパネルで元写真のレイヤーを選択したら、イメージメニュー→“色調補正”→“HDRトーン...”を選択。「HDRトーンを実行するとドキュメントが統合されます。続行しますか?」というダイアログが表示されるので[はい]をクリックする(図2)。
「HDRトーン」ダイアログが表示されたら、プレビューを参考にしながら少し彩度を上げて明るいイメージに調整する。ここでは、[エッジ光彩]を[半径:35px]、[強さ:0.80]に、[トーンとディテール]を[ガンマ:1.00]、[露光量:ー0.05]、[ディテール:ー30%]に、[詳細]を[シャドウ:0%]、[ハイライト:0%]、[自然な彩度:+100%]、[彩度:+23%]に設定し、[トーンカーブおよびヒストグラム]でカーブにひとつポイントを追加して[入力:73%]、[出力:87%]に調節した(図3)(図4)。
【Photoshop】風景をアニメ調に加工する写真加工術:
2. 風景の輪郭を抽出する
風景の輪郭を際立たせてアニメっぽくするための下準備を行う。まず、レイヤーパネルで背景レイヤーを複製したら、背景レイヤーを非表示にしておく。続いて複製した方のレイヤーを選択して、選択範囲メニュー→“空を選択”を実行する(図5)。
deleteキーを押して選択部分を削除したあと、選択を解除し(図6)、イメージメニュー→“色調補正”→“2階調化...”を[2階調化する境界のしきい値:200]で適用する(図7)(図8)。
続いてマジック消しゴムツールを選んだら、オプションバーで[隣接]のチェックを外し、画像の白い部分をクリックして削除しておく(図9)。
レイヤーパネルでこの2階調化したレイヤーの名前部分をダブルクリックして、レイヤー名を「A」に変更する(図10)。次に背景レイヤーを表示して複製したあと、そのレイヤー名を「B」に変更し、背景レイヤーと「A」レイヤーは非表示にしておく(図11)。
レイヤーパネルで「B」レイヤーを選択したら、フィルターメニュー→“その他”→“ハイパス...”を[半径:0.4pixel]程度で適用する(図12)(図13)。
続いてイメージメニュー→“色調補正”→“2階調化...”を[2階調化する境界のしきい値:120]で適用する(図14)(図15)。
選択を解除したら、マジック消しゴムツールで画像の白い部分をクリックして透明にしておく(図16)。
【Photoshop】風景をアニメ調に加工する写真加工術:
3. 風景写真をアニメ調に加工する
写真をアニメ調にしていく。まず、レイヤーパネルで「B」レイヤーを非表示にしたあと背景レイヤーを表示して、その前面に新規レイヤーを作成する。続いて[描画色]を水色(ここでは16進数カラーコード[#1fbdff])に設定したら、レイヤーパネルで「A」レイヤーのレイヤーサムネールをcommandキー(Macの場合。WindowsではCtrlキー)を押しながらクリックして選択範囲を作成する(図17)。次にレイヤーパネルで先ほど作成した新規レイヤーを選択し、塗りつぶしツールで選択範囲の内側をクリックして水色で塗りつぶす(図18)。
選択を解除したらレイヤーパネルで水色で塗りつぶしたレイヤーを[描画モード:オーバーレイ]、[不透明度:50%]に設定(図19)(図20)。
レイヤーパネルで、水色で塗りつぶしたレイヤーの前面に新規レイヤーを作成したあと、再び「A」レイヤーのレイヤーサムネールをcommandキー(Macの場合。WindowsではCtrlキー)を押しながらクリックして選択範囲を作成(図21)。
続いて[描画色]をブルー(ここでは16進数カラーコード[#46a6ff])、[背景色]を白に設定したら、グラデーションツールを選択してオプションバーで[グラデーション]、[プリセット:描画色から背景色へ]、[線形グラデーション]に設定し(図22)、写真の下端から上に向けてドラッグしてグラデーションをかける(図23)。
レイヤーパネルで、このグラデーションのレイヤーを[描画モード:覆い焼きカラー]、[不透明度:40%]に変更しておく(図24)(図25)。
次に「B」レイヤーのレイヤーサムネールをcommandキー(Macの場合。WindowsではCtrlキー)を押しながらクリックして選択範囲を作ったら、新規レイヤーを作成して塗りつぶしツールで塗りつぶし(図26)、選択を解除(図27)。レイヤーパネルでそのレイヤーを[描画モード:乗算]に変更する(図28)(図29)。
【Photoshop】風景をアニメ調に加工する写真加工術:
4. 全体の色合いを整えアニメらしい空を作成する
ディテールを整えてよりアニメらしい表現にしていく。まず[描画色]を白、[背景色]をブルー(ここでは16進数カラーコード[#3674d2])に設定したら、最前面に新規レイヤーを作成。グラデーションツールを選択してオプションバーで[グラデーション]、[プリセット:描画色から背景色へ]、[線形グラデーション]に設定し、カンバス上を上から下に向けてドラッグしてグラデーションをかける(図30)。
続いて、レイヤーパネルでこのグラデーションのレイヤーを[描画モード:焼き込みカラー]に変更する(図31)(図32)。
次にレイヤーパネルで背景レイヤーを選択したら、編集メニュー→“空を置き換え...”を選択。「空を置き換え」ダイアログが表示されるので、[空]のプリセットから風景に合った空を(ここでは[青空]の中の[BlueSky004byRickMandia])選択して[エッジをシフト:0]、[エッジをフェード:0]に、[空の調整]を[明度:75]、[色温度:ー100]、[拡大・縮小:100]に設定。さらに[前景の調整]を[照明モード:乗算]、[前景の明暗:100]、[エッジの明暗:50]、[カラー調整:35]に設定して適用する(図33)(図34)。
レイヤーパネルで「空を置き換えモードのグループ」の中の「空」レイヤーを選択し(図35)、フィルターメニュー→“フィルターギャラリー”を選んで[アーティスティック]の[塗料]を[ブラシサイズ:10]、[シャープ:2]、[ブラシの種類:シンプル]で適用(図36)(図37)。
ここでは、さらに文字要素などを配置して完成とした(図38)。
以上、Photoshopで風景をアニメ調にする写真加工術でした。
制作者プロフィール
- MARUMIYAN(マルミヤン)
- グラフィックデザイナー/イラストレーター
- 2007年より「マルミヤン」(Marumiyan)名義で、福岡を拠点に活動を開始。雑誌、広告、CDジャケット、パッケージ、アパレル、プロダクト、Webなど、様々な媒体で活動を行う。人物や植物、動物、建物など、様々なアイコンをグラフィカルに組み合わせ、洗練された作品作りを目指す。また “FOUR DIMENSIONS WORLD” をテーマとした作品も精力的に制作している。2008年「FUNKY802 digmeout」オーディション通過。https://marumiyan.com/
2023.11.07 Tue