デザインを考える前に、発想を変える。「人」の行動パターンから描くクリエイティブディレクターの視点はブラウザやコンテンツサイズを超えた発想法でもある。デザインの対象は画像でもコンテンツでもなく、「人」への影響力という原点に立ち返った手法で、目的を明確化させて、ブレない「世界観」をデザインしてみよう。
ペルソナを主人公にストーリーを描く(1) |
ミニストーリーをたくさんつくること
デザインに対する考え方や視野が少しでも広がったところで、デザインに関しての正解はレイアウト案の数や使える色の数でもなく、目的達成のためのシナリオの数であると考えてみてほしい[1]。
[1] デザイン案はシナリオの数よりも多い
シナリオがいくつかあって、それらのシナリオを実現させるためのデザインがまた存在するわけである。たとえばこれがプレゼンテーションの現場だとすると、その中でもこれがお気に入りなのです、という具合で進めていくと、つねに納得のいくデザインとして評価されやすいだろう。
シナリオに従った情報の配置とそれらのビジュアル的な配慮がストーリーとして貫徹されているからである。ペルソナである主人公の行動シーンが伝わるか伝わらないかでこれらのプレゼンテーションの成否が決まる。理由はその主人公に共感できたかどうかということにあるからである。
Webであれば、伝わった場合クリックされて興味をもったコンテンツのより深い層へと進み、伝わらなければサイトから出る[2]。選択肢が多すぎて、あるいはクリックすべき場所が散らばってしまっている、という状態はストーリーが中断されてしまうことと同じことなのだ。つまり、ハッピーエンドとはならなくなる。
[2] 共感を得られないシナリオはサイトアウトを招く
つくられたストーリーはハッピーエンドまでストレスなく読ませないと、本当につまらないものになってしまうので、デザイナーは当然ユーザビリティやマウスアクション、ページ遷移などのディテールにも細かく配慮する必要があるのだ。
人の新しい行動パターンをクリエイティブする(1)──「人」とデザインとの接し方を分析する
人の新しい行動パターンをクリエイティブする(2)──仕様書ともいうべきシナリオつくり
デザイナーにも求められるインタビュー能力(1)──レイアウトデザインの制作は目的ではない
デザイナーにも求められるインタビュー能力(2)──デザインの目的を明確にする仕掛けと変化
ペルソナを主人公にストーリーを描く(1)──ミニストーリーをたくさんつくること
ペルソナを主人公にストーリーを描く(2)──歩かせ方も工夫する
求められているものは世界観(1)──“デザイン”から“世界観”へ
求められているものは世界観(2)──インタラクティブ=シナリオ×デザイン×技術