月曜。コズフィッシュを紹介します! | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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1年生になったら~ 1年生になったら~♪  ということで、デザイナーという職業に憧れる読者のみなさんに先駆けて、一足早くデザイナーになった先輩デザイナーの1週間を追いかけるのが、このコーナーです。夢を現実にした新人デザイナーの仕事と生活ぶりは実際どのような感じなのでしょうか? 毎月第3週に、その曜日の出来事を毎日更新でお届けします!


今月の1年生デザイナー

佐藤亜沙美さん(コズフィッシュ所属)





〔プロフィール〕

さとう・あさみ●福島県出身の佐藤亜沙美さん。高校卒業後に上京し、デザイン関係の専門学校に入学するも、その授業にある種の薄っぺらさを感じてしまい、どうしても納得がいかず1年で中退。その代わりにデザイナーとしてぶっつけ本番で働いて「4年間は修業を積もう」と決心する。まず最初の2年間は現場のことを知るために、印刷の分解まで見ることのできる会社に飛び込みで志願、データが間違っていたら怒鳴りつけるような“現場のおじさん”がいる会社だったが、修業と心得る。その会社で広告のカタログなどを担当、スピードとノウハウを身に付けたのち、出版社のインハウスデザイナーに転職。この出版社での自分なりの目標は、誰にも指示されずに自分の意志だけで形にして仕事を動かせるようになること。数多くの単行本のデザインを手掛けることになる。「尊敬する人でないと、指示を受けられない」と自分の性格を分析していた彼女だが、祖父江慎さんのブックデザインの凄さに圧倒され、こまめに講演会などに足を運び、時々押し掛けては祖父江さんに作品を批評してもらうようになる。その後、人手が足りないときにコズフィッシュに借り出されるようになり、入社へといたる。入社してちょうど2年。現在進行中の作品は「よりみちパン!セ」シリーズ(理論社)、『ママレード・ボーイ』(集英社)、『フォントブック』(毎日コミュニケーションズ)、「日経BPクラシックス」シリーズ(日経BP社)、「しんみみぶくろ」シリーズ(メディアファクトリー)、『チェブラーシュカシールブック』(小学館)など。そんな“現場主義”の彼女の、濃密な一週間をお送りします!


コズフィッシュとは?
アートディレクター、ブックデザイナーである祖父江慎氏が率いるデザイン事務所。当初フリーランスだった祖父江氏がたまたま事務所名をつけたことにより、1990年にゆる〜くコズフィッシュが誕生する。その後、仕事が増加するとともに、1993年には「有限会社コズフィッシュ」として法人化する。会社嫌いだったという祖父江氏は、今でも自分が代表取締役をやっているのがなじまないとか……。これまでにコズフィッシュが手掛けた作品は1600を超えるが、その仕事を一望できる集大成『祖父江慎+cozfish』(ピエ・ブックス刊予定)を、現在鋭意制作中。マンガから小説、経済書まで、ありとあらゆるジャンルの本のデザインを、ぐっとエネルギーを注入するように仕上げるコズフィッシュ。印刷の限界に挑戦するような、誰もやったことのないアイデアを次々と提案する祖父江氏を中心としたハイレベルなデザインは、業界でもつねに注目されている。

●デザインスタッフ募集中!
コズフィッシュではMacの使える経験者を募集中。自己PRできる「なにか」を制作して、 郵送でお送りください。締め切りは2008年6月末日です。 作品返却はできませんので注意してね。
送り先:〒153-0061 東京都目黒区中目黒3-11-13 1F 
(有)コズフィッシュ スタッフ募集係まで


月曜。コズフィッシュを紹介します!

8:30 起床

今日は曇り。暗くて、朝かどうかわからないお天気です。今日から、一週間の日記が始まります!

9:30 バスに乗り込む


10:30 出社。就業開始

メールをチェックしていたら、父からのメールが届いていた。「身体と頭が疲れてくるとキツイから、ほどほどにな!」。心配されているようだ。なぜか父は毎回、勤めている会社の回覧記事をスキャンして送ってくる。今回は「新緑の中、マイナスイオンを思い切り浴びたい5月号」……え〜? この回覧すごいわぁ。「時間を捻出する」という記事が載っている。「行動するための“時間作り”から始めましょう。さぁ、今日から!」とのこと。応援してくれているのだから……とありがたく拝読する。

11:00 「しんみみぶくろ」カバー制作

メディアファクトリー刊行の「しんみみぶくろ」シリーズ5巻目、『幽霊学級』のカバー制作に取りかかる。今回はJINCOさんのイラストを使わせていただきます! カバーの表面には、この可愛い女の子がババン! 可愛い! カバーはもちろん、これから本文にも、この子たちを配置していく予定です。どんな風に仕上がるか楽しみ。
『幽霊学級』のカバー。JINCOさんのイラストが目を引きます!
『幽霊学級』のカバー。JINCOさんのイラストが目を引きます!
これが本文ページ。イラストをたくさん使っています
これが本文ページ。イラストをたくさん使っています
「しんみみぶくろ」シリーズ、既刊の4冊です
「しんみみぶくろ」シリーズ、既刊の4冊です
さて、ここでコズフィッシュのメンバーをご紹介しましょう。下の写真中央が代表の祖父江慎、両端は先輩デザイナーのおふたり(左:吉岡秀典、右:安藤智良)。全員で4名の事務所です。祖父江さんが着ているものは、先日、カエル好きの祖父江さんが49歳を迎えたときに、スタッフがプレゼントしたカエルの着ぐるみ。似合ってます!?
コズフィッシュ代表・祖父江慎と、先輩デザイナーのおふたり
コズフィッシュ代表・祖父江慎と、先輩デザイナーのおふたり

12:00 『カレーになりたい!』帯を作成

「よりみちパン!セ」シリーズ『カレーになりたい!』(理論社)の帯を作成。東京カリ〜番長の水野仁輔さんがカレーに対する姿勢を書いている本です。1冊丸々、カレーだらけ! レシピや付録もついて、とにかくカレーが盛りだくさん、すっごく楽しい内容になりました。イラストは100%ORANGE/及川賢治さんが描いています。カバー表1にはカレーまみれの男の子。なんとも言えない可愛さ! 今回はボリューム満点の内容で、途中どうなることかと心配になりましたが……個人的に嬉しいことが、ひとつありました。作成したロゴに祖父江さんから、花丸をいただいたんです。実はこれ、初めての出来事! ワーイワーイ!
『カレーになりたい!』の帯。東京カリ〜番長の水野仁輔さんが登場しています
『カレーになりたい!』の帯。東京カリ〜番長の水野仁輔さんが登場しています
『カレーになりたい!』の表紙(色校)です。表1(左側)のカレーまみれの男の子がとにかく可愛い!
『カレーになりたい!』の表紙(色校)です。表1(左側)のカレーまみれの男の子がとにかく可愛い!
祖父江さんに初めて花丸をいただきました! 鉛筆で描いてある花丸、見えますか?
祖父江さんに初めて花丸をいただきました! 鉛筆で描いてある花丸、見えますか?

14:00 『ママレード・ボーイ』文庫版のイラスト分解指示を作成

『ママレード・ボーイ』(集英社)文庫版のイラスト分解指示作成。肌の色や髪の毛の色など、全巻を通して色味がちゃんと統一されるようお願いをしていきます。
文庫版『ママレード・ボーイ』カバーの指定紙
文庫版『ママレード・ボーイ』カバーの指定紙
『ママレード・ボーイ』と言えば、私が小学生の頃、雑誌『りぼん』で吉住渉さんが連載していた漫画です。同時に日曜日の朝にはアニメも放送されていて、毎週欠かさず見ていたのを覚えています。二組の夫婦がダブル離婚するところから話がいきなりスタートするのですが、それは幼心にも衝撃的なストーリーで、グイグイと引き込まれたものです。オシャレなイラストもさることながら、主人公・光希ちゃんの制服のかわいいこと。「いーなーいーな、私も高校生になったら、絶対こんな制服着るんだー♪」と夢見たものです。今になって、いろいろと思い出して、胸がキュンとしてしまいます……。
表紙に使うイラストを指定
表紙に使うイラストを指定
最初の打ち合わせで祖父江さんからお聞きした、制作していく上でのイメージは「OLさんがお茶しながら、ホッと一息ついているときに、ゆったりと読めるような感じね!」とのこと。私と同世代の女性にも、昔に戻って、もう一度楽しんでほしい作品です。
イラストを見ているだけで、当時の気持ちがよみがえります
イラストを見ているだけで、当時の気持ちがよみがえります

15:00 『カレーになりたい!』色校をチェック

「よりみちパン!セ」シリーズ『カレーになりたい!』の色校をチェック。本文のカラーページの“鶏”の色味や、2色ページの黄色をもっとおいしそうなカレーの色味に近づけてほしいとお願いをする。少しの色の違いでおいしそうに見えたり、すごくまずそうに見えたりするのが、不思議なところ。写真の製版や分解は奥が深くて、まだまだ覚えることがたっくさんあります。日々是勉強です。
『カレーになりたい!』の色校。もう少しおいしそうな黄色になるかな……
『カレーになりたい!』の色校。もう少しおいしそうな黄色になるかな……

16:00 凸版印刷の紺野さんから指導を受ける

「しんみみぶくろ」シリーズ『幽霊学級』(メディアファクトリー)の本文データ入稿指導のため、凸版印刷の紺野慎一さんがいらっしゃいました。
いつもお世話になっている、凸版印刷の紺野さんいつもお世話になっている、凸版印刷の紺野さん。手前は祖父江さんです
いつもお世話になっている、凸版印刷の紺野さん。手前は祖父江さんです
このシリーズは、印刷所との特別なやりとりを経て入稿しなければならないため、紺野さんに専門的な指導をしていただくことに。本文組みにいろいろな書体が使われていて、たとえば「か」の字はこの書体、「た」の字はこの書体——というように複雑なデータ構造になっています。いつもは編集担当の方が文字校正をして、その修正してくださったデータをこちらで引き上げ、書体を凸版印刷の紺野さんに置き換えていただき、完全データに仕上げていきます。今後はこちらでも完全データに仕上げる作業ができるようにしていかねばなりません。データでのやりとりがますます増えていくなか、今後はこのように、出版社、デザイナー、印刷所の密な連携を行って、お互いの制作環境を近づけていくことが必須になっていくのかもしれません。
説明を聞く、みんなの表情がいつになく真剣。私もかぶりつきで話を聞いています
説明を聞く、みんなの表情がいつになく真剣。私もかぶりつきで話を聞いています
非常にわかりやすい紺野さんの説明
非常にわかりやすい紺野さんの説明

20:30 紺野さんの授業(?)終了

凸版印刷の紺野さんのご指導のもと、いろんなことが明確になりました! 入稿までの流れ、その他データの取り扱いに際して、普段から疑問に思っていたことが一掃され、すっきり。非常にありがたい時間でした。

21:00 退社

退社後、本屋さんへ。うっかり3時間も滞在してしまう。現在進行中の『ママレード・ボーイ』の1、2巻を発見して、ちょっと嬉しい気持ちに。こっそり目立つところに置いてみます。前から気になっていた、大島弓子さんのマンガ『グーグーだって猫である』(角川書店)、『サバの夏が来た』(白泉社)を2冊まとめて購入。
大島弓子さんの猫の本、まとめて買ってみました
大島弓子さんの猫の本、まとめて買ってみました

24:00 帰宅

先週、かねてから狙っていた、お風呂で本が読める書見台(画期的!)を購入したので、1時間のお風呂の時間がさらに楽しみになりました。早速、先ほど購入した大島弓子さんのマンガを汗だくだくで読む。
 お風呂で本がラクラク読める! 画期的です
お風呂で本がラクラク読める! 画期的です
大島弓子さんのマンガは猫の話です。私も実家で猫を飼っていたので、大島さんが描く猫の世界が、うんとよく伝わってくる。猫はクールなイメージがあるけれど、そんなことは全然ない。人間のようにナイーブで、少しの環境の変化にも敏感に反応する。私が飼っていた猫も恋をしたり、友達の猫とケンカしたりしていたな……。猫は亡くなるときに姿を消すというけれど、うちの「タマ」は父の枕元で眠るように亡くなりました。今でも父は「タマ」の話になると「タマはお父さんの厄を払ってくれた」と決まって同じセリフを得意気に話す。厄年のお父さんに何もなかったから、本当にそうなのかもしれない。

25:30 就寝

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