火曜。『フォントブック』次作の打ち合わせ。 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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火曜。『フォントブック』次作の打ち合わせ。

8:00 起床

そうめんを茹でる。この季節になると、毎日そうめんを食べるのが恒例です。夏が来るころには、すっかり飽きてしまうくらい(笑)。

9:00 会社へ

家を出る。夜明けの帰宅途中に自転車がパンクしてひどい思いをしてからというもの、バス通勤に切り替えている。今日は天気がすごく良いので、バスに乗っているのも気持ちが良い。あんまり気分が良いので、朝からiPodで「渋さ知らズ」の曲をかける。運動会みたいな曲になり、乗り継ぎの停車場までついつい走ってしまう。その途中、友達の働くオシャレなハンバーガー屋さんの前を通る。その友達が窓ふきをしているのが見えて、なんだか嬉しくなってしまう。きれいな金髪なので、どこにいてもすぐに見つけられるのです。
出社途中で見つけた植木。ぐるぐる回り込んでいて不思議な形!
出社途中で見つけた植木。ぐるぐる回り込んでいて不思議な形!

10:00 出社

事務所の電気をつけて、就業開始! 打ち合わせの準備をする。

11:00 『フォントブック/ファンシー書体編』打ち合わせ

毎日コミュニケーションズの編集者、小林功二さんがいらっしゃいました。先日発売になった『フォントブック/和文基本書体編』に続いて、9月発売予定『フォントブック/ファンシー書体編』の具体的な打ち合わせ第一弾がスタート! 『フォントブック/和文基本書体編』は私が入社したちょうど2年前、初めて担当した仕事でした。祖父江さん監修の書体見本帖とあって、フォーマットも一から起こすところから始めて試行錯誤……「あーでもない、こーでもない」と、祖父江さん、小林さんと相談して作り変える日々。春夏秋冬を2回も越えて、私のコズフィッシュ歴とともに、何度か泣いたのち、やっと完成しました。そのページ数はなんと、1056ページ! しかし、私の知る限りの書体見本帖の中では、抜群の使いやすさ、見やすさ、軽さと三拍子揃った仕上がりです! 
『フォントブック/和文基本書体編』かなフォーマットでは、50音+英数字、句読点、記号、ルビ字形等も確認できます
『フォントブック/和文基本書体編』かなフォーマットでは、50音+英数字、句読点、記号、ルビ字形等も確認できます
『フォントブック/和文基本書体編』漢字とかなにそれぞれに専用フォーマットを用意されているので、とてもわかりやすい
『フォントブック/和文基本書体編』漢字とかなにそれぞれに専用フォーマットを用意されているので、とてもわかりやすい
コズフィッシュに入社して、祖父江さんの文字の使い方に触れた瞬間、ただならぬ世界がその向こうに見え隠れし、「物凄い世界に足を踏み入れてしまったぞ!」と、子鹿のように足を振るわせたのを覚えています。しかし、『フォントブック』のおかげで、その世界の外側の形くらいは何となく分かるようになってきました。祖父江さんの書体に対する見方・考え方はすごい。ひとつひとつの書体の歴史についても、造詣が深いのです。これから長い時間をかけて、その内側までぐーんと入っていきたい。

14:00 銀行へ

銀行に家賃と税金を払いに行く。一瞬、休憩。
道ばたでふと出会った猫。人懐っこいので、ちょっと触ってみる
道ばたでふと出会った猫。人懐っこいので、ちょっと触ってみる

15:00 『カレーになりたい!』色校出稿

昨日入稿した「よりみちパン!セ」シリーズ『カレーになりたい!』(理論社)の帯と、本文の色校が到着。昨日指定し直したカレー色は、すこぶるおいしそうに出てきました。なんともお腹が減りそうな色。丸鶏の色も修正され、祖父江さんと編集者の方「うん、うん」と納得。印刷所の方に「これで刷ってください!」とお願いする。よーし! これで完了!!
左側が昨日の色校正で、右側が本日届いた修正後の色校。カレー色がいい感じになってるのが、写真で確認できるでしょうか……
左側が昨日の色校正で、右側が本日届いた修正後の色校。カレー色がいい感じになってるのが、写真で確認できるでしょうか……
左側が昨日の色校正で、右側が本日届いた修正後の色校。丸鶏は左側の方がおいしそうなのですが、カレーに使うのは火が通っていない方。ということで、このようになりました
左側が昨日の色校正で、右側が本日届いた修正後の色校。丸鶏は左側の方がおいしそうなのですが、カレーに使うのは火が通っていない方。ということで、このようになりました

16:00 先輩デザイナー・吉岡さんと打ち合わせ

事務所の先輩デザイナー・吉岡さんと打ち合わせ。楳図かずおさんや、さくらももこさんの作品を担当している大先輩です。私が担当している「よりみちパン!セ」シリーズの、次回刊行予定の叶恭子さんによる『世界一美しい日めくり』(仮題)のデザインを急遽お願いすることになり、細かい部分を打ち合わせします。なぜ急遽そうなったかというと……実は今、極秘で動いている仕事があり、それにかなりかかりっきりになってしまうため。その極秘任務は4年後に刊行予定という、かなり気の遠くなるような遠い話ですが、いろんなことが極秘で進行します。緊張と隣り合わせでじっくり作業しなければならないため、その期間のお仕事を少しだけお願いすることになりました。 
「よりみちパン!セ」シリーズ(理論社)。学校では教えてくれないことを、さまざまな書き手がテーマごとに書き下ろす、画期的なシリーズです
「よりみちパン!セ」シリーズ(理論社)。学校では教えてくれないことを、さまざまな書き手がテーマごとに書き下ろす、画期的なシリーズです

17:00 『フォントブック/ファンシー書体編』打ち合わせ

『フォントブック/ファンシー書体編』について、祖父江さんと打ち合わせ。午前中の打ち合わせの内容と摺り合わせながら、フォーマットのラフを作成します。「ファンシー書体編」も使いやすくなりそうですよ! 「……これ、本当に9月に出せますでしょうか」と祖父江さんに不安を漏らす。「でも一番大変なのって、編集者だからね〜」と、祖父江さん。「デザイナーの、私のこれまでの2年間って……」と一瞬思わなくもなかったが、前向きに励ましと受け取る。
『フォントブック/ファンシー書体編』のラフフォーマット。祖父江さん監修なので、細かいところを少しずつ詰めて行く作業です
『フォントブック/ファンシー書体編』のラフフォーマット。祖父江さん監修なので、細かいところを少しずつ詰めて行く作業です
後日、仕上げた『フォントブック/ファンシー書体編』の第二弾フォーマット
後日仕上げた『フォントブック/ファンシー書体編』の第二弾フォーマット

18:00 『マネジメントIII』色校到着

先日入稿した、『マネジメントIII』(日経BP社)のカバーの色校が届く。初校での色校の特色が濃すぎたので、修正していただいたのだが、ばっちり直っていました! 編集の方に「オッケーです!」とお伝えする。
写真ではわかりにくいのですが、この地に敷いてある英文字に特色を使っています。色を少し薄くしてもらいました
写真ではわかりにくいのですが、この地に敷いてある英文字に特色を使っています。色を少し薄くしてもらいました

19:00 ちょっと休憩

事務所にて、食事をとる。メニューはサラダとお豆腐。かなりローカロリーですが、冬に蓄えられた余分な体重を調整中なのです。

休憩がてら、事務所の中をちょっとご案内しましょう。今年引っ越して来たばかりの新事務所です! 上は祖父江さんご家族の住居となっており、その一軒家の1階となっています。1階はまるで図書館のよう。たくさんの蔵書を抱えています。
事務所の入り口から、所狭しと古書が並んでいます
事務所の入り口から、所狭しと古書が並んでいます
貴重な古書がズラリ
貴重な古書がズラリ
こちらは「坊っちゃん」を集めた棚。過去100年間に刊行された「坊っちゃん」の数々が揃っています
こちらは「坊っちゃん」を集めた棚。過去100年間に刊行された「坊っちゃん」の数々が揃っています
こちらは「ピノキオ」の棚。世界中の「ピノキオ」が揃っています
こちらは「ピノキオ」の棚。世界中の「ピノキオ」が揃っています
これまでにコズフィッシュが手がけた作品を並べておく棚。その数は1600冊を超えています
これまでにコズフィッシュが手がけた作品を並べておく棚。その数は1600冊を超えています
紙見本が一覧できる棚。おむつに使われている紙や、牛乳瓶の蓋に使われている紙など、コズフィッシュにはたくさんの紙見本帳があります
紙見本が一覧できる棚。おむつに使われている紙や、牛乳瓶の蓋に使われている紙など、コズフィッシュにはたくさんの紙見本帳があります
イラストレーターさんのポートフォリオを置く棚
イラストレーターさんのポートフォリオを置く棚

20:00 『幽霊学級』表紙&本文作成

「しんみみぶくろ」シリーズ『幽霊学級』(メディアファクトリー)の表紙&本文の作成に取りかかる。このシリーズは児童向けなので、できるだけ子供の気持ちになって、作業するように心がけます。「もっとカラフルな方が好きかな?」とか、「買うときの決め手はどこなのか」などなど……そんなことを考えていると、ひよちゃん(祖父江さんのお嬢さん)が偶然通りかかる。
『幽霊学級』の雰囲気はこんな感じです
『幽霊学級』の雰囲気はこんな感じです

ひよちゃんは小学校5年生なので、ちょうどしんみみぶくろシリーズを買っていただきたい年齢、ど真ん中なのです! 「なに? 今度は『幽霊学級』なの?」と、ひよちゃん。「そうそう、この表紙のイラスト可愛い?」などと感触を探ってみる。「うん!」と、ひよちゃん。よしよし、好感触。「できあがりましたら、よろしくお願いいたします」とお願いをする。

祖父江さんのご自宅は事務所の上にあるので、こんなふうにひよちゃんが事務所をうろうろしたりすることも、よくあります。学校から帰ってくる時も、事務所に「ただいま〜」と帰ってきます。こうやって父親の働く姿を間近で見ながら育つのは、どんな感じなのかな。とても仲が良さそうな父娘です。

22:00 『チェブラーシカ シールブック』進行中!

進行中の『チェブラーシカ シールブック』(小学館)の担当編集の方から届いた、ラフとスケジュールを確認する。初めてのシールブックなので、造本設計にずいぶんと時間がかかった。少し変わった仕様にするだけで、ぐんと値段が跳ね上がってしまうのです。去年の夏頃から何度か見積もりをとっていただいて、ようやく仕様が固まり、実作業に取りかかれることになりました。

通常のシールブックと違う点は、まずいろいろな種類のシールが組み込まれていること。フワフワした素材のシールや、クラフト紙のシール、ネイルシールまで入っていて、とにかく豪華仕様! それと、巻末には折り紙メモがついてきます。「作り方」に従って折ると、チェブラーシカの形になるのです。仮に作っていただいた見本を受け取る。すこぶる可愛いです!
『チェブラーシカシールブック』のラフ。右にあるのが折り紙のチェブラーシカです。わかるかな?
『チェブラーシカシールブック』のラフ。右にあるのが折り紙のチェブラーシカです。わかるかな?

23:00 退社。おばあちゃんから電話が入る

本日のお仕事終了! 事務所を出る。途中でおばあちゃんから電話が入る。そうだ、今日はおばあちゃんとの電話の日だった。2年前、おじいちゃんが亡くなってからというもの、こうして2日か3日に1回のペースで電話で話す日々が続いている。時間は決まって、夜22:30〜23:00の間、1時間程度。なぜこの時間帯かというと、おばあちゃんがウトウトと眠りにつくまでのこの時間帯が、たまらなく寂しくなるから。毎回何てことはないことを話すのですが、今回は大ニュースがあったので、その話になりました。

実は先日「姉が婚約者を連れて実家に帰る」という佐藤家初の出来事がありました! その結果報告というわけです。そのお相手というのは、何とはるばるイギリスからいらっしゃった方で日本語が話せないこともあり、佐藤家のみんなは大騒ぎ。何を飲むのか、何を食すのか……なぜかしつこく私に聞いてくる。……私に聞かれても。「ビールでいーんじゃない?」などと、適当に答えようものなら「適当なこと言うな!」と怒られる始末。だから、私に聞かれても……。

そんなわけで、事前に姉とイギリスの方には私の職場の近くまで来ていただき、ご挨拶がてら何が好きかをインタビューしておいた。姉の婚約者は細かいことにこだわるような方ではなく「お茶でも、ビールでも、ワインでも、コーヒーでも、僕は何でも好きだよ」とのこと。何も心配することはなさそうだ、とほっとしていました。

当日はみんなノリノリで、やれ日本庭園だ、やれ寿司だ、やれイングリッシュガーデンだ、とベタベタな接待をして婚約者には満足していただいたと思いこんで、むしろ本人たちが大満足で終了したそう。なんたって、外務省に勤めている立派な方! 器も大きいと思われます。そしてふたりが帰った後、父からメールが入る。「娘をもらっていただきありがとうございます」とのこと。いや、だから、私に言われても! 恥ずかしくて本人には言えなかったから、私に伝えてほしいというメッセージなのだと受け取り、メールを転送。なぜ私が常に仲介役かは、謎です。

24:00 帰宅

風呂にお湯をためる。今日は何の本を読もうか、本棚を物色。『西洋絵画史 WHO'S WHO』(美術出版社)を選ぶ。色の再現性を良くするために、本文にA1アート紙(鉱物系の塗工剤を多く含むコート紙)が使われているため、ものすごく重い。誰が誰に師事しただの、精神的に異常をきたして自殺しただのと書いてある。グッとくる絵に立ち止まりながら、うっかり2時間も入浴してしまいました。
 手作りの本棚です
手作りの本棚です

年代順なので、とてもわかりやすい『西洋絵画史 WHO'S WHO』
年代順なので、とてもわかりやすい『西洋絵画史 WHO'S WHO』

26:00 就寝

汗だっくだく、へとへとになって就寝。
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