第1回 アイデア作法 その1 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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クリエイターのライフハック できる人の仕事術を盗め。


第10章 広告クリエイター杓井一夫のライフハック37℃

第1回 アイデア作法 その1 カタチから入る


広告クリエイティブの仕事の基本は、アイデアを考えることです。職種によって、コピーを書いたり、ビジュアルを描いたり、CMの企画を作ったり、演出を考えたり・・・。プロのクリエイターと呼ばれる人たちは、皆、自分のアイデアの作法を持っています。ここでは僕のやり方をご紹介します。37℃というのは僕の平熱。ちょっと高め。まずはカタチから入るやり方を、熱っぽく?語ります。参考にしたり、マネしたり、自分にあった作法を見つけてください。





[プロフィール] 杓井一夫(しゃくいかずお)

株式会社フロンテッジ クリエイティブディレクター
1963年、神戸市出身。18歳で上京。大学卒業後、コピーライターとなり、広告代理店数社をへてクリエイティブディレクターへ。
東京コピーライターズクラブ新人賞、朝日広告賞部門賞、読売広告大賞部門賞、フジサンケイ広告大賞金賞、日本新聞広告賞優秀賞、クリオ国際広告賞、IBA国際広告賞など受賞。TCC会員。



「書く」は、「考える」。


いきなりアナログなやり方で、このサイトの読者からは「おいおい」とつっこまれそうですが、「紙に手書き」が、思考の基本です。

このサイトでライフハックを紹介されている、Web関係の方々でさえ、意外とPCに向かう前に紙に書いて考えるという方は多いですよね。「手で書くという動作は、脳を活性化する」と、ゲーム開発で有名な大学教授もおっしゃってました。

そんなわけで、書きながら考え、考えながら書く、の繰り返し。で、カタチから入る僕の場合。「ノートとペン」の組み合わせが2チームあります。書く内容によって、分けています。

ひとつは、いつでもどこでもチームの「手帳と3色ペン」。

アイデアを考えるのは、時と場所を選びません。会社で家で飲み屋で電車で。考えたこと、思いついたこと、気になったコトバ、セリフ、シーンやニュースやシチュエーションなど、なんでもかんでも書き留めるネタ帳です。

スケジュール帳といっしょになった6穴式のシステム手帳と、それに、黒・赤ボールペンとシャープペンシルの3Wayペンのタッグチーム。ひたすらアタマの中を絞り出した抽出物が、自分にしか読めない字で雑然と並んでます。



もうひとつは「A5版上質ノートと万年筆」の、できるオトコ演出チームです。こちらは、デスクに向かってアイデアを具体化する用。多少はキレイな字で、考えをカタチにする感じで、他の人に見せても理解できるように書きます。

ノートはMUJIの無地ノート(ややこしい!)ですが、筆記具はイタリア・デルタの万年筆。コレだけはちょっとお金をかけました。理由は簡単。その方が、いいアイデアが書けそうな気がするから。自分が考えるんだから、自分の気の持ちようが大事!というのが僕の言い訳です。

道具を揃えて、気持ちを高める。弘法じゃないから、筆を選ぶのさ。





10マスアイデア整理術。


広告のアイデアを考えるとき、課題を整理するとき、僕がよく使うチャートがあります。まずは下の図を見てください。簡単でしょ。10マスの中で情報を整理する。

起点になる最初の1マスは、もちろん広告する企業や商品です。そこから枝分かれする3つのマスには、その商品の特長やセールスポイント、ターゲットなど、アイデアを考える上で切り口になるポイントを3つに絞ります。さらに、それぞれから枝分かれする2マスには、3つのポイントをもっと細かく要素を分けたり、その詳細だったり。これで計10マス。アイデアを出すために、まず情報をカタチにはめるわけです。



広告の仕事をしている方は、ちょっと乱暴だなと思うかもしれません。

今って、商品の立ち位置も、ビジネスの構造も、広告が機能する仕組みも、とても複雑で、ホントはこんなにシンプルに整理しきれないのが現実です。僕も、会社のマーケッターやストラテジストとディスカッションしたりしますが、最後は広告クリエイターとして、または一生活者としてのカンみたいなので、ムリヤリカタチに押し込みます。

この、ひとマスひとマスをテーマに、コピーを考えたり、企画ができたりするのです。最初の商品のマスからは、商品だけを主役にしたCMのアイデアだったり。最後のマスのところでは、たとえばターゲットの生活シーンを描いた企画だったり。

つまり10コのアイデアができるわけ。その中から精査したいくつかを、最終的にはプレゼンテーションするのです。と、エラそうに書きましたが、いいアイデアを10コ出すなんて、正直シンドイ。ムリ。あきらめそうになる自分との戦いです。しょっちゅう負けちゃうけど。



壁にはって眺める。


さて、どうにかこうにか出てきたアイデアの中から、使えるものを「選ぶ」という作業が、クリエイティブディレクターにとっては、実はアイデアを作る以上に重要です。

自分で考えた企画やコピーは、思い入れや自己愛に満ちてます。そりゃそうでしょ、夜中にウンウンうなって、ようやっと考えついたものだったりするわけですから。

そんなアイデアを冷静に、客観的に見る方法はたったひとつ。

これは昔の上司に教わったのですが、「壁にはって眺める」です。または大きなテーブルに並べて、立って眺める。でもいいでしょう。アイデアを選ぶときの、これもカタチです。

自分の手の中にあるうちは、思い込みから逃れられない。壁は世間です。壁にはって、物理的な距離を置くことで、世の中の出来事のように見えればいい。慣れてくると、いいアイデアって、壁から跳ね返ってくるように見えるらしいのです(なかなかその域までは僕も行けてません)。

僕たちが作っているビジネスのアイデアは、アーティストのアイデアと違って、商品や企業の課題を解決するものでなくてはなりません。世の中から浮き上がってこないアイデアは、そのスタートラインにさえとどいていないということです。


[あとがき]
はじめまして。体温ちょっと高めの、シャクイです。若い頃は、かなり熱いヤツ!だったはずですが、今は37℃くらい。だいぶオトナ。でもこういう仕事してんだもん、ちょっとは熱くないとね。これから6回にわたって、ライフハック、連載します。読んでいただけるとうれしいです。


次回もお楽しみに!




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