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クリエイターのライフハック できる人の仕事術を盗め。


第10章 広告クリエイター杓井一夫のライフハック37℃

最終回 クリエイターとして、生きていこう


いよいよ最終回です。何を書こうか悩みました。僕自身、これまでアップダウンの多かったクリエイター人生ですが、どうにかつづけてこられたのは、この、モノを作るという仕事が好きだから。好きだからこそ、37℃の、ちょっと熱めの体温を保ってこられました。最後は、山や谷を越えながら考えてきたことのいくつかを。クリエイターとして生きていく、参考にしていただければ幸いです。



[プロフィール] 杓井一夫(しゃくいかずお)

株式会社フロンテッジ クリエイティブディレクター
1963年、神戸市出身。18歳で上京。大学卒業後、コピーライターとなり、広告代理店数社をへてクリエイティブディレクターへ。
東京コピーライターズクラブ新人賞、朝日広告賞部門賞、読売広告大賞部門賞、フジサンケイ広告大賞金賞、日本新聞広告賞優秀賞、クリオ国際広告賞、IBA国際広告賞など受賞。TCC会員。



人を幸せにする仕事。


ちょっと大きくでましたが、クリエイティブの仕事は、人を幸せにする仕事だと思う。奢りもなく衒いもなく、僕はそう思っています。

だって世の中にある、人がつくったモノはすべて、人を楽しませたり、便利にしたり、豊かにしたり、衣・食・住にかかわることは生命にかかわったり、つまりは人を幸せにするために生まれてくる。それらを、「創造」や「表現」によって伝える仕事は、「人を幸せにする仕事」と言ってもいいのではないだろうか。

広告に限らず、仕事で担当する「モノ」が、人間の幸せとどう関係しているかを考えたり、誰もが持っている「幸せへの切なる願い」を発想の根本に置くことは、本質的にもテクニックとしても有効なやり方です。物事を大きくとらえることができるのです。



「思いこみ」こそが、才能。


そしてクリエイティブの大部分は、「思いこみ」でできている。というのも僕の思いこみですが、人を動かすのは、この「思いこみ」かもしれません。(いやきっとそうです!)

たとえば、科学者の発見や発明も、最初は思いこみから始まる。理系バリバリの代表である彼らは、自分の思いこみを実証するために、実験や方程式や、顕微鏡や望遠鏡を使います。

文系や美術系(や体育会系?)の僕らは、アイデアと情熱を使って自身の思いこみをカタチにします。その「思いこみ」が強いほど、そこに磁場のようなものが発生し、人は引き寄せられてしまうのです。

この「思いこみ」の強さを、「才能」と言いかえてもいいでしょう。才能があるとかないとか、まるで(クリエイティブの)免許があるとかないとかみたいに言う人がいますが、そんなのホントは誰にもわからない。ムシしましょう。

自分に「思いこみ」があれば、それは立派な才能です。こうなりたい!と強く思えば、人はそっちへ動いていくものです。その動くチカラのことを「才能」と呼ぶのです。



では実験です。30cmほどの糸の端に5円玉を結びつけ、もう一方の端を手に持って自分の目の前にぶら下げる。絶対に手は動かさないで、ココロの中で「動け!動け!」と念じる。強く願えば、5円玉はやがて揺れ動く(はず)。

カラクリは簡単。なんのことはない、自分で動かしているのです。動け!と念じた気持ちが手に伝わって、無意識のうちに自分を動かしてしまう。5円玉も揺れてしまう、というわけ。もうわかったでしょ。そう、「思いこみ」はまず自分自身を動かすものなんです。


沈んでいるときは、内側を豊かにできる。


これはクリエイターに限ったことではありませんが、10年も20年も仕事をしていると(というか生きてると)、山あり谷あり崖あり楽園あり。イイときもワルイときもあります。当たり前です。万が一、人生ずっと絶好調!みたいな人がいたら、そんな人は信用できない。逆に不幸な人かもしれません。

さて、仕事が評価されて、調子がいいときは、気持ちいいですよね。やらしい話ですが、人や仕事やお金が、自分のところに集まってくる感じがします。僕にもちょこっとそういう時期がありました。もう怖いものなし。調子に乗って突っ走りましょう。

そういうときって、なんていうのでしょうね。自分の外側にいろんなものが増えていく感じがするのです。もちろん、それはそれでいい感じです。

反対に、なんだかパッとしない、くすぶってる時期もありますよね。あれ?なんでかなとヘコみますよね。自分はどうしたいのか考えたりしませんか?他人のせいや会社のせいにしませんか?でもちょっと反省もしませんか?抜け出そうともがいたりしませんか?道を求めたり探したりしませんか?自分の内面を見つめたりしませんか?するでしょ。いや、しましょう。それがとても大切。

そういうときって、なんていうのでしょうね。(ちょっとツラいんだけど)自分の内側にいろんなものが貯まっていく感じがするのです。実は、内側が豊かになっていく時間だと思うのです。

ある日突然、新しい風景にたどり着くことがあるので、今に見てろ!という「熱」を貯めつつ、少しづつ転がっていけばいいのです。





最後に。いったいあなたは(僕は)何者だ?


自分探しの旅は、いつまでたっても果てがない。と、第4回でも書きましたが、どうやら世の中は、常々答えを求めているらしい。たとえば自分が何者であるか?この質問に、名刺の肩書きで答える人は、間違いなくつまらない人間だ。肩書きじゃなくても、自分で自分はこういう人間ですと定義することに、たいして意味などない。

自分が何者かなんて、本当は誰にもわからない。クリエイターであることは答えではない。答えなどないし、なくていいし、いらない。何者でもないから、これからも(僕も)、新しい自分を開拓できるし、素の自分でやっていけるんだと思う。

そうそう。肩書きや、何者かとはまったく別の次元に、「人間的魅力」というのがある。これを身につけることの方が、はるかに魅力的!

「クリエイターとして、生きていこう」というタイトルなのに、最後は人間の話ですか?でも、「人間的魅力」を磨いていくことが、クリエイターとしてもいい仕事ができる、いちばんのライフハックのような気がします。(もひとつ秘訣があるとすれば、「ま、なんとかなるさ」という開き直り!かな。)






[あとがき]
魅力的な、カッコいい40代になろうと思ってました。が、理想と現実の乖離は涙ものです。自分にも言い聞かせるつもりで書いたライフハックだし、僕も、どうにかこうにか魅力のひとつも携えて、次はカッコいい50代をめざします。
僕の「ライフハック37℃」を読んでくれた方、どうもありがとう。感想などいただければうれしいです。→ shakui-k@frontage.jp
いつも素晴らしいイラストを描いてくれたYさんにも感謝感激。
では皆さん、どうか楽しいクリエイター人生を。(杓井一夫)


今回で最終回でした。日頃聞けない話を大先輩から教わった感じですね。
次回から新たな筆者でお送りします。
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