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クリエイターのライフハック できる人の仕事術を盗め。


第10章 広告クリエイター杓井一夫のライフハック37℃

第4回 転職は、転・自分


皆さん、転がってますか? クリエイター稼業をやっていると、習性として自分をつねに新しくしていないと、生きてられなくなります。その転がり方の、最たるものが転職。会社を移ったり、職種を変えたり、組織から抜け出したり。僕も、独立こそ経験してませんが、4つの会社を渡り歩きました。その転職活動の経験と、ほんの少しですが、採用する側で面接をしたこともあります。今回は、自分を転がす転職作法です(そそのかすわけではありません)。





[プロフィール] 杓井一夫(しゃくいかずお)

株式会社フロンテッジ クリエイティブディレクター
1963年、神戸市出身。18歳で上京。大学卒業後、コピーライターとなり、広告代理店数社をへてクリエイティブディレクターへ。
東京コピーライターズクラブ新人賞、朝日広告賞部門賞、読売広告大賞部門賞、フジサンケイ広告大賞金賞、日本新聞広告賞優秀賞、クリオ国際広告賞、IBA国際広告賞など受賞。TCC会員。



転がりつづけること。


日本人の穏やかな人生観からすると、いまだに会社を変わるのは 大イベントです。最近は、3年くらいで会社を辞める若者が多い!と責め口調で語られますが、いい若いもんが3年もおなじ場所にいたら、もっと外の世界を知りたくてウズウズするでしょう。とても正常なことだと思うのは、僕だけでしょうか?

僕たちクリエイターの場合は、ステップアップという意味合いで会社を変わる人が多いのでしょうが、その行為の本質は、「自分を転がす」ということだと思います。会社を移籍するのが重要なのではなく、転がすべきは「自分」でないと意味がない。

そもそもクリエイティブな仕事を志す"不純な動機"として、「毎日おなじ時間におなじ場所に出社して、おなじような仕事を黙々とやるなんて、ムリー!」というだらしない性質があるでしょ。知ってますよ。
そんな奴ら(僕ら?)だから、自分探しの旅(都合のいいコトバですね)は、いつまでたっても果てがない。だって、ひとつところにじっとしてると、慣れるし、飽きるし、緩むんだもん。



もちろん、転職がすべてではない。おなじ組織の中で、役割が変わったり、担当が変わったり、勤務地が変わったりするのも、転がるきっかけにはなるはず。要は、自分の意識の問題かもしれません。

でも特に若いうちは、思い切って働く場所を転がってみるのも、自分を新しくできるチャンス! というわけで、会社を転がるためには、まず人と会ってアピールしないとね。そこで、クリエイターが面接などに行く時の心得をまとめてみました。



自分を110%にして見せる五箇条。


等身大の、そのままの自分で相手に対するのが誠実ではありますが、面接なんかの場合は、自分を110%くらいに拡大して見せてもいいのではないでしょうか。心配はいりません。入社することになれば、モチベーションも大きく転がるわけだから、それだけで1割くらいはアップしているはず。または、がんばれるはずです。
では、そのための五箇条を。





一、 素直に、謙虚に、大胆に。
人間、「素直」がイチバンです。とかくクリエイターはひねくれ者が多いので、要注意。「素直」な人はきらわれることがありません。おなじように「謙虚」も、大切。分をわきまえて、足るを知る。ただそれだけではパンチがないので、「大胆」もとり入れましょう。でもこれ、非常識とか無鉄砲ということではありません。しいて言えば、前向きであることかな。何ごとに対しても前向きであることは「大胆」を生むのです。

二、作品は、何でもあり。
作品集は、仕事で実現したものだけにする必要はありません。プライベートで作ったのや、プレで負けたのや、自分がいいと思う自作のものなら、何でもありです。ちなみに僕は昔、広告年鑑などに載っている有名な広告、著名なコピーライターが書いた広告を複写し、キャッチコピーの部分に僕が書いたコピーを貼付け、面接に持って行ったことがあります。(一、の「大胆」は、例えばこういうことかな。)


三、服装の肝は、白いシャツ。
この際服装にも言及します。見た目は肝心!ファッションにポリシーと自信がある人は、自分らしさを抑える必要はありません。しかし、シャツだけは白いシャツが効きます。まったく根拠のない偏見かもしれませんが、上質の白シャツは、人も上質に見せてくれると思う。デザインがちょっと凝ってたりすると、十分お洒落だしね。

四、伝えるべきは、"熱と技"。
仕事に対する情熱と、自分が持っている技術。面接って、要はこれをいかに伝えるかです。この内容と伝え方だけは、自分で考えてください。アドバイスはできません。テクニックはありません。人間とか、個性とか、その人自身が透けて見える部分だと思うのです。

五、明るく、元気に、大きな声で。
最後にもっとも大事なことを書きました。実際こうじゃない人が多いです。シンプルなことなのに。あなどってはいけません。こういう人って、エネルギーが発散して見えるのです。本当です。



クリエイターのアイデンティティーって?


なんだか不安な時代です。地球は危ういし、経済はダメダメだし、信じられるものがなくて、社会がギスギスしてる。日本人はアイデンティティー・クライシスに陥っているなんて言う人もいます。

クリエイターのアイデンティティーって何だろうと考えて、僕の答えは「転がりつづけること」。もちろんそれは広い意味で。

今の若い人も、同世代の中で、自分だけは違う!と思ってるのかな?僕は実は、それがいちばん大事だと思います。その違いを持ちつづけてほしい。そうでないと、世の中がおなじような人であふれて、つまらなくなってしまう。ひとりで転がって、自分だけの世界を手に入れてください。それがアイデンティティーってやつ。(うーん。ちょっと説教くさいですね。え、オッサンくさい?マジ?)






[あとがき]
漂泊の俳人と言われた種田山頭火の句に、こんなのがあります。「濁れる水の流れつつ澄む」。自由律の句ですね。生涯旅をして、転がりつづけた人で、僕の大好きな句です。・・・あ!俳句を紹介して締めるなんて、オッサンの真骨頂? やっぱりね。わかってるくせに。開き直ってもう一句。「さてどちらへ行かう風がふく」皆さん、転がりましょう。


次回もお楽しみに!
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