2018年11月27日
TEXT:山口真弘(ITライター)
新しいiPad Proの登場に伴い、この10月にモデルチェンジして第2世代が登場した「Apple Pencil」。ダブルタップでツールの切り替えが可能になったほか、充電するために有線で接続しなくてはいけなかった初代と異なり、磁力でiPad Proに吸着させての充電が可能になるなど、大幅な進化を遂げています。キャップを紛失する心配がなくなったのも、隠れた利点といえそうです。
そんなApple Pencilですが、書き心地を少しでも向上させ、かつ使いやすくするべく、これまでにもさまざまな関連アイテムが開発、販売されてきました。iPadの画面に貼ることでApple Pencilの書き心地を紙に近づける専用フィルムはすっかりおなじみですし、またiPadとともに持ち歩くためのケースや充電スタンドも、多種多様な品が販売されています。
その中でも、文房具のペンキャップを組み合わせて長時間の利用でも疲れにくくするワザは、ユーザーの間ではすっかりおなじみですが、今回の第2世代Apple Pencilの登場直後から「まるで第2世代Apple Pencilと新しいiPad Proのために設計された専用品のよう」と話題になっているのが、今回紹介するFiresaraの「レインボーペングリップ」です。
製品パッケージ。水泳キャップなどシリコン製品に強みを持つメーカーFiresaraの製品
名称はレインボーですが実際は10個セット。さらに持ち方矯正のグリップ2個も付属します
Apple Pencilを愛用する漫画家さんのクラスタを中心に話題になっていたこのアイテム、製品名からも分かるように、本来は鉛筆などの握り方を矯正するためのグリップで、カテゴリとしては文房具に属するものです。広い意味ではペンに含まれるとは言え、Apple Pencilのために設計された製品ではないのですが、まさにおあつらえ向きの仕様ゆえ、注目を集めているというわけです。
理由は大きく分けて2つあります。ひとつは径のサイズです。Apple Pencilの径は実測8.8mmほどありますが、本製品はこれにぴったりとフィットします。本製品はシリコン製で、指先で広げてかぶせるようにして取り付けますが、細すぎず太すぎず、Apple Pencilに装着できます。細すぎて使っているうちにスポッと抜けることもなく、逆に太すぎて取り付けられないこともありません。取り外すのも簡単で、汚れた時のメンテナンスも容易です。
直径6~9mmのペンに適合するとされており、径8.8mmのApple Pencilにぴったりです
(写真ではくっついているように見えますが)切れ目があり、ここを広げて取り付けます
素材はシリコンで、指先でかんたんに押し広げることができます
Apple Pencilに取り付けた状態。溝の部分が上に来るように握ります
もうひとつの特徴は、装着したままの状態で、iPad Proに吸着させての充電が行えることです。本製品をかぶせた時にできる隙間が、吸着面に来るように取り付けることで、わざわざApple Pencilから外すことなく、そのまま充電が行なえます。この隙間は実測で5~6mmあり、これがちょうどiPad Proの厚み(5.9mm)にフィットするというわけです。
これまでApple Pencilに使えると評判になった文房具のペンキャップや、専用に発売されたペンキャップは、そのほとんどが筒状なので、新しいiPad Proに磁力で吸着させることができず、充電のたびに取り外さなくてはいけません(試した限りでは、1mmほどの厚みが間に挟まると、吸着はできても充電が行えない場合があります)。
しかし今回の製品は、溝の部分がちょうどiPad Proのボディと噛み合うことで、装着したまま直接磁力で吸着でき、充電が行えてしまいます。専用品も顔負けの構造、と評判になるのも納得です。
第2世代Apple Pencilの平らになった断面と、本製品の隙間が合う状態にしておきます
天地をひっくり返すことで、そのままiPad Proに磁力で吸着させることができます
真横から見たところ。本製品を装着したままでもぴったりと吸着できています
正面から見たところ。設計上の偶然とはいえ驚くほどのフィットぶりです
本体の前方にはくぼみがあり、ここを中指で支え、親指と人差指で両サイドから挟むことで、正しい握り方で筆記が行なえます。
本体の両サイドは楕円形に肉抜きされており、親指と人差指の先はApple Pencilに触れた状態になるので、ふだんApple Pencilを握っている時と比べて、径の太さはほぼ同じに感じられます。ペングリップが筒状だと、本来の径よりも太くなってしまい、書き心地がガラリと(たいていは悪い意味で)変わることもしばしばなので、これも本製品の優れた特徴の一つです。
本体下部にある凹みを中指に載せることで、握った時のフィット感が向上します
人差し指と親指はApple Pencilに触れた状態になるので径の太さの違和感もありません
以上のように、Apple Pencilを使うすべてのユーザにおすすめできるこの製品、ネックがあるとすれば、中指に乗せる溝が右手に合わせて若干ナナメになっているために、Apple Pencilを左手で使うユーザーには、溝の角度に若干違和感を感じがちであろうことです。致命的というほどではありませんが、左利きのユーザーの人は、念の為注意してください。
もうひとつは、単品売りではなく、10個セットでの販売になることです。まあ、単価からして1個単位だと利益が出ないでしょうから、数をある程度まとめてさばきたいという売る側の事情は十分に理解できます。予備の2~3個は手元にキープしておくことを前提に、3人もしくは4人ほどの仲間を募って共同購入するか、あるいは余ったぶんを仲間に配ってあげれば、喜んでもらえるのではないでしょうか。もちろん、本来の用途である、文房具と組み合わせての利用もよいでしょう。
ちなみに本製品は第2世代のApple Pencilだけでなく、初代Apple Pencilにも利用でき、こちらであればデスクの上で転がるのを防止するのにも役立ちます。共同購入の際、初代Apple Pencilを使っているユーザーを同志として募るのも、よい考えと言えそうです。
本体下部の凹みは右手利用前提にやや傾いており、左手で握ると若干違和感があることに注意
何人かで分けることを前提に共同購入するとよさそうです。お子さん向けにもよいかも?
第2世代のApple Pencil(下)だけではなく、初代Apple Pencil(上)にもフィット。転がるのを防止する役目にもぴったりです
製品名:Firesara レインボーペングリップ
実売価格:1,799円
発売元:Firesara
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B07JMT9LQW/
[筆者プロフィール]
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2018.11.27 Tue