究極の防災グッズ?eneloop充電、モバイルバッテリー、懐中電灯としても使えるマルチ充電器 ~Panasonic「BQ-CC87L」~
TEXT:山口真弘(ITライター)
eneloop(エネループ)に代表されるニッケル水素電池は、千回以上もの繰り返し利用が可能なことから、大量の電池を消費するユーザ―の間では欠かせない存在です。自宅内で使っている電池はすべてこれに統一しているという人も、少なくないのではないでしょうか。
さて、これらニッケル水素電池と組み合わせて使う充電器は、純正品のほか、サードパーティ各社からもさまざまなモデルが発売されていますが、選び方のポイントはいくつかあります。
まずひとつは、充電の進行状況が段階を追ってビジュアルで把握できることです。これら電池はなるべく本数をまとめて充電するのが原則ですが、実際には残量が異なる電池をまとめて充電しなくてはいけない場合も多々あります。
こうした場合に、セットしている電池1本1本の充電状況を把握できるインジケーターやそれに類する表示機能を持っていることは、非常に重要です。パーセンテージ表示まで行かなくとも、スマホの残量表示アイコンと同様、せめて3~4段階くらいで残量の目安を教えてくれる機能は、必須であると言えます。
こうした場合に、買い替え時期が近づいていることを、何らかの方法で知らせてくれる機能を備えていることは、非常に重要です。言うまでもありませんが、これも先ほどの残量表示と同様に、1本単位で表示できる必要があります。
今回紹介するパナソニックの「BQ-CC87L」は、この2つの機能を備えつつ、さらにモバイルバッテリーとして使える機能まで搭載しています。中に電池を入れた状態で持ち歩くことにより、緊急時にスマホなどの外部機器を充電できるというわけです。
さすがにモバイルバッテリーの専用品に比べると容量は少なく、また急速充電などの機能も備えていませんが、手持ちの荷物を極限まで減らさなくてはいけない状況では、思わぬ形で役に立つ可能性もあります。乾電池も利用できますので、災害時に自宅内の電池をかき集めて使えるのが利点です。
つまり本製品は、ニッケル水素電池の充電および買い替え時期のチェックという本来の機能に加えて、モバイルバッテリー機能、さらに懐中電灯機能まで搭載した、平時はもちろん緊急時にも役立つ究極のグッズというわけです。
eneloop以外のニッケル水素電池、具体的にはAmazonベーシックの1900mAhモデル、2400mAhモデル、enevoltの3種類(いずれも新品)も試してみましたが、問題なく利用できました。公式に対応がうたわれている充電式EVOLTAを合わせると、入手性の高いニッケル水素電池は、ひととおり使えると見てよさそうです。
そんな本製品のネックは、LEDのステータス表示がかなり複雑なことです。なにせひとつのLEDで電池1本のすべてのステータスを表さなくてはいけないため、緑黄赤での残量表示に加えて、点滅、点灯、さらには2回連続点滅など、さまざまな表示パターンがあり、ちょっとやそっとでは覚えることができません。
本製品の底面には、基本的なLEDの点灯パターンが記されているのですが、異常ステータスまですべてが網羅されているわけではないため、見たことのないパターンで点滅を始めると、そのたびに取扱説明書を引っ張り出して確認しなくてはなりません。できれば後継モデルでは、このあたりの改善を期待したいところです。
山口 真弘(やまぐち まさひろ)
ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。Twitter:@kizuki_jpn
2019.09.24 Tue