
「実名SNSとAPI公開」(前編)
2008年7月23日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
SNS、すなわちソーシャルネットワークサービスは、日本においては、ほぼmixiのことを指し示しているに等しいが、米国では、MySpace、Facebook、bebo、LinkedIn、Friendster、Orkutなど、大小さまざまなSNSが存在しており、しかもそれぞれが相当数のユーザーを抱えている。
日米のSNSの性格の違いを端的にいうと、日本のそれは匿名制のSNSが主流であるが、米国のそれは実名を明らかにしたSNSが主流となりつつあることだ。mixiやGreeも当初は実名による登録と情報公開を推奨していたはずだが、いまではニックネームやハンドルネームによる登録ばかりになってしまっている。
実名SNSのメリットは、ビジネスSNSという別の側面を持ちやすいということだ。匿名制の場合は、現実のプロフィールを隠匿しているがゆえに、不特定多数のバーチャルな友人を増やしやすい、つまりコミュニティを広げやすいというメリットがあるが、反面本当は誰が自分のコミュニティに入っているのかがわからなくなり、結局表現したい内容に自ら制限をかけざるを得ないジレンマに達してしまう。つまり、Blogとの差異が限りなく薄くなるわけだ。
一方、実名SNSでは、最初から自分のプロフィールを明らかにしているから、目的が明確になる。つまり、自分が何者であり、話している相手が何者であるかを理解し合うからこそ、濃密かつ責任感のあるコミュニケーションが生まれる。これは明らかにビジネスアクティビティの基本であり、それがゆえに、実名SNS上でビジネスしうることを意味しているのである。
匿名のSNSは、ある程度のユーザー母数とコミュニティの大きさを超えると、とたんにコミュニケーションが質的劣化を示し始める。誰と何を話していいかわからないからだ。
Facebookは実名による登録と実名による情報公開を基本として、急拡大を続けている。現時点では個人と個人のコミュニケーションがベースではあるが、早晩企業と個人のコミュニケーション、たとえばヘッドハンティングや個人事業主への仕事の依頼など、ビジネスSNSとしての場の提供が目立っていくことと思われる。mixiを始めとする匿名SNSでは、こうしたビジネスチャンスを見いだすことは非常に難しいのである。
後編に続く >>>

[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



