
「世界の気になるデザイナーたち vol.002
──VIER5(パリ)」
2008年6月26日
TEXT:蜂賀 亨
(クリエイティブディレクター/エディター)
今回紹介するのはパリのデザインユニット「VIER5」。これまで彼らをほかのメディアで紹介したこともあるのだが、彼らによるメンズファッションショーがパリで開催されるというメールがちょうどきたので、その情報も含んで彼らを改めてここで紹介しよう。
VIER5のデザインを初めて目にしたのは、パリのコレットのカタログ「Le colette No.1」。大胆なグラデーションの色づかいに、少し読みにくいけれど大胆なオリジナルフォントの文字づかい。きれいで読みやすいレイアウトが主流だった当時、このファッションカタログの登場はとても新鮮だった。
VIER5はAchim ReichertとMarco Fiedlerによるユニット。ドイツ・シュトットガルト出身の同い年の2人はフランクフルトで10年過ごしたのち、2002年パリへと移住、VIER5を設立。「VIER」とはドイツ語で「4」の意味。そして「5」はそのまま「5」なので、「45」という意味のユニット名となる。設立当時、2人の年齢を足したところ合計が45だったことからこの名前に決められた。パリの北駅近くに1匹のかわいい犬と一緒にスタジオを構えている。
冒頭でも触れたように、6月27日には彼らのファッションショーがパリで開催されるが、彼らはデザインと同じようにファッションも大好きな2人組。スタジオを訪ねた際には、僕を含む3人でデザインとファッションの話でつい盛り上がる。そんなファッション好きが高じて、彼らは翌2003年4月に『FAIRY TALE』というファッション雑誌を創刊させてしまったほどだ。同誌はモノクロでページ数もけっして多くはないが、デザイン、編集はもちろんのこと、写真撮影のスタイリングやフォトグラファーまでも彼ら自身が手掛けていることも多い。最新号では表紙の写真にグラフィックを足してしまうという大胆なデザインがされている。タイポグラフィも毎号凝っていて、まさにまるまる1冊すべてに“VIER5らしさ”で溢れているファッション雑誌といってもいいだろう。
また、パリと彼らの故郷でもあるドイツを中心に、アート、デザインの分野で活躍中だ。特に2007年の夏、ドイツ・カッセルで開催された世界的なアートイベント「ドクメンタ12」のガイディングシステムを担当したことがとても興味深い。彼らの少し癖のあるオリジナルタイポグラフィとデザインが会場ではサインとして使われ、街のトラムにもペイントされたりするなどして、世界的にも注目を浴びたようだ。デザイン雑誌『アイデア』360号で約40ページにわたって彼らが特集されていたのも記憶に新しい。
ほかにも、美術館のポスターやカタログなどの仕事を多く手がける彼ら。ぱっと見ただけで「これはきっとVIER5がデザインしたに違いない」とわかるくらいの特徴あるタイポグラフィと色づかいが特徴の作品が多い。彼らのホームページで彼らの作品が見ることができるので、興味ある人はぜひ。
VIER5
http://www.vier5.de/

VIER5の手がける作品
右:『FAIRY TALE』最新号“Arcitectura Et Interiori”Issue カバー
中央:『FAIRY TALE』“Fashion, Beauty & Style”Issue カバー
左:パリのセレクトショップ「コレット」のカタログ“colette 01”

[筆者プロフィール]
はちが・とおる●クリエイティブディレクター/エディター。ピエブックスを経て、クリエイターマガジン『+81』を企画/創刊させて11号まで編集長。その後ガスプロジェクトにあわせて、書籍「GAS BOOK」シリーズ、雑誌『Atmospehre』編集長などを担当。現在はフリーとしてグラフィックデザインを中心に企画/ディレクションなどで活動中。
http://www.hachiga.com/



