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Apple製品 徹底検証レビュー

2024.12.25 Wed

M1/M2/M3 MacBook Proからの買い替え検討レビュー

新16インチ MacBook Pro の買い替えは待つべきか?M4 MacBook Proの実力とその魅力を徹底検証!

文:山口優

2024年11月8日に、AppleからM4チップファミリーを搭載した新MacBook Proが発売されました。外観こそ従来からあまり変わらないものの、チップの性能を中心に大幅な機能強化が図られています。今回、その16インチモデル(M4 Pro/48GBメモリ)を試すことができたので、実際に動画編集などのクリエイティブ作業に使ってみて買い替えの価値があるかどうかチェックしてみました。

M4チップファミリーを搭載した「16インチ MacBook Pro」

2023年11月にM3搭載MacBook Proが発売されてから、ちょうど1年の時を経てM4チップファミリーを搭載した新モデルが登場しました。

新しい16インチMacBook Pro。M4 ProまたはM4 Maxを搭載する
外観は旧モデルのデザインを踏襲。カラバリはシルバーとスペースブラックの2色が用意されている

新しい16インチ MacBook Proは全部で4モデル用意されています。大きな違いは下表のようにチップの性能とメモリやストレージの容量で、デザインやディスプレイ、インタフェースなどはすべて共通です。

16インチ MacBook Proのスペック

チップM4 Pro M4 ProM4 MaxM4 Max
14コアCPU14コアCPU14コアCPU16コアCPU
20コアGPU20コアGPU32コアGPU40コアGPU
メモリ24GB48GB36GB48GB
ストレージ512GB512GB1TB1TB
価格(税込)398,800円458,800円554,800円634,800円

M3チップファミリーを搭載した前モデルと比較すると価格はほとんど変わっていませんが、M4 Pro搭載モデルに関してはメモリが増量されておりコストパフォーマンスはアップしています。とはいえ、もっとも安いモデルでも40万円近くと高額で、気軽に手を出せるような価格ではありません。M3搭載モデルを購入した人だけでなく、M1/M2搭載モデルのユーザーの中にも関心は持ちつつ買い替えを迷っているという人は多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは旧モデルから変更された点や、実際に動画編集などで使用してみて進化を感じた部分などを紹介していきます。

オプションでNano-textureディスプレイを選択可能に

M4搭載MacBook Proシリーズは、チップの性能以外にもさまざまな変更が加えられています。本体カラーのバリエーションについては、14インチモデルに残っていたスペースグレイがなくなり、シルバーとスペースブラックの2色展開になりました。

今回はスペースブラックを試すことができましたが、真っ黒というよりは従来のスペースグレイに黒みをプラスしたような色合いで、光の当たり具合によっては漆黒にもダークシルバーにも見える複雑な表情が魅力的です。渋くて上品な落ち着きがあって、シンプルにかっこいい。液晶パネル周囲のベゼルやキーボード、タッチパッドなども黒で統一されているので、ディスプレイを開いて作業する際も気が散りにくく画面に集中しやすいと感じました。

光の当たり具合で表情が変わるのが魅力的
内側も黒で統一されています

シルバーやスペースグレイに比べると「指紋が目立ちやすいのでは」という心配がありましたが、表面に特別な陽極酸化皮膜処理が施されているせいか、指紋はつきにくく、ついたとしてもほとんど目立ちませんでした。しかもクロスで簡単に拭き取れます。これなら汚れを気にしてカバーやスキンシールなどを付けなくても気軽に持ち歩けそうです。

ディスプレイは、従来通りLiquid Retina XDRディスプレイで1,600ニトのピーク輝度を実現しています(HDRコンテンツ再生時)。新モデルではそれに加えて、SDR輝度がこれまでの最大600ニトから1,000ニトにアップし、日中の屋外でも画面がより見やすくなりました。

さらに今回から、パネル表面に光を散乱させるコーティングを施して反射を抑えたNano-textureディスプレイをオプションで選ぶことも可能になっています。試用機にもNano-textureディスプレイが搭載されていましたが、一般的なアンチグレアパネルに比べてにじみが明らかに少なく、発色や黒の締まりがよい印象です。そして反射や映り込みはまったく気にならない……。

Nano-textureディスプレイに光を反射させたところ。ノッチ部分に部屋のシーリングライトが映り込むよう角度を調節して撮影したが、ぼんやり明るく見えるだけで反射や映り込みは気にならない

グレアパネルの発色のよさやコントラストの高さはそのままに、反射や映り込みを極限まで抑えたのがNano-textureディスプレイと言えるのかもしれません。オプションはプラス22,000円(税込)と決して安くはありませんが、その価値は十分にあると思いました。

画質のよさはそのままに反射や映り込みを極力抑えたNano-textureディスプレイ

Thunderbolt 5や12MPセンターフレームカメラを搭載

本体に搭載されているポートの数はこれまでと同じですが、M4 Pro/M4 Max搭載モデルに関しては従来のThunderbolt 4ポートがすべてThunderbolt 5ポートに差し替えられています(M4搭載モデルは従来通りThunderbolt 4のまま)。

本体左側面に MagSafe 3ポート(電源ポート)とThunderbolt 5(USB-C)×2、3.5mmヘッドフォンジャックを搭載している
本体右側面に、SDXCカードスロットとThunderbolt 5(USB-C)、HDMI 2.1ポートを搭載している

Thunderbolt 5はThunderbolt 4の上位規格で、より高速な通信が行えるほか、電力供給の性能も大きくアップしています。

Thunderbolt 4とThunderbolt 5の違い

規格Thunderbolt 4Thunderbolt 5
帯域幅40Gbps80Gbps(ブースト時:最大120Gbps、下り40Gpbs)
PCIePCIe Gen.3 x4PCIe Gen.4 x4
給電最大100W最大240W

Thunderbolt 4ではPCIeサポートがボトルネックになって外付けSSDなどの転送速度は約4,000MB/秒止まりでしたが、Thunderbolt 5では理論上約8,000MB/秒まで対応できます。そのため外付けストレージでも内蔵SSDと同等以上のスピードでデータ伝送することが可能に。ファイルサイズの大きな動画などを扱うユーザーには魅力的なポイントと言えるでしょう。

サポートするディスプレイについては、チップによって次のように異なっています。

M4 MacBook Proがサポートするディスプレイ

チップM4M4 ProM4 Max
Thunderbolt経由6K/60Hz×2台6K/60Hz×2台6K/60Hz×3台
HDMI経由8K/60Hzまたは4K/240Hz8K/60Hzまたは4K/240Hz8K/60Hzまたは4K/240Hz
USB-C経由DisplayPort 1.4準拠DisplayPort 2.1準拠DisplayPort 2.1準拠

Thunderbolt 5に変更されたことで大きな影響がありそうなのが、4K解像度以上のUSB-Cディスプレイを使用するユーザーです。Thunderbolt 4はUSB-C(DisplayPort Alt Mode)経由だと映像出力の規格がDisplayPort 1.4となり、ディスプレイ ストリーム圧縮 (DSC) なしではリフレッシュレートは4Kで120Hzまで、8Kで30Hzまでとなります。しかしThunderbolt 5だとDisplayPort 2.1準拠となり、DSCなしでも4K/240Hzや8K/60Hzに対応可能です。同規格に対応したゲーミングモニターなどの高リフレッシュレートディスプレイを持っている人は、M4 Pro/M4 Max搭載モデルであればUSB-C経由でもその性能を最大限に活かすことができそうです。

ディスプレイ ストリーム圧縮 (DSC) が有効だとDisplayPort 1.4でも4K/120Hzを超える表示が可能ではあるが、DisplayPort 2.1なら圧縮なしでも表示できるようになる

このほか、ノッチ部分に内蔵されているカメラも、従来の1080p FaceTimeカメラからデスクビューに対応した12MPセンターフレームカメラに変更されました。机を上から見た映像と自分の顔を同時に表示させることができるので、ビデオ通話で手元の資料を見せたり、SNSのライブ配信でスケッチしている様子を見せるようなときに役立ちそうです。

ノッチ部分にはデスクビューに対応した12MPセンターフレームカメラが内蔵されている

M4 Proの実力は? 実際に動画編集をしてみた

前述の通り、16インチ MacBook Proはチップの性能の違いなどで4モデルラインアップされています。今回はそのうち、M4 Pro(14コアCPU/20コアGPU)と48GBメモリを搭載したモデルを試すことができました。

M3以前の世代では、チップ名にMaxがつくモデルのみファンの回転を上げてパフォーマンスを上げる「高出力モード」や、パフォーマンスを抑える代わりにファンの音や電力も低減する「低電力モード」が利用できましたが、M4世代ではM4 MaxだけでなくM4 Proでも利用可能になっています。そこでここでは、エネルギーモードを「低電力」「自動」「高出力」に設定し、それぞれベンチマークやクリエイティブアプリを動かしてパフォーマンスの変化を調べることにしました。参考までに、一部のベンチマークについてはM2 Pro(12コアCPU/19コアGPU)を搭載した14インチ MacBook Proの結果も併記しておきます。

M4 Proからはエネルギーモードとして「自動」のほか「低電力」と「高出力」も選べるようになった

まず、定番のベンチマークテスト、CINEBENCH R23のスコアは次のようになりました。

CINEBENCH R23の結果

モード低電力自動高出力参考(M2 Pro)
マルチコア12289234172342914785
シングルコア1517227022941613

次に、CINEBENCH 2024の結果は次のようになりました。

CINEBENCH 2024の結果

モード低電力自動高出力
GPU638891609279
CPU マルチコア78317431741
CPU シングルコア121178175

さらに、Geekbench 6を試したところ、次のようになりました。

Geekbench 6の結果

モード低電力自動高出力参考(M2 Pro)
マルチコア13965226822288514061
シングルコア2595389439642625
OpenCL553996960769957-
Metal93364113740113760-

ベンチマークテストの結果を見ると「自動」と「高出力」では大きな差はなく、誤差程度と考えてもよさそうです。ファンの音が聞こえ始めるタイミングや音の大きさなども、あまり変わりはありませんでした。

ちなみに、ファンが最大限で回転してもサーッという控えめな音しかせず、夜中に静かな場所で使っていても気になることはありませんでした。「低電力」だと、そのサーッという音もしないくらい静かです。それでいてM2 Proとあまり変わらないパフォーマンスが出ているわけで、M4 Proの性能と省電力性の高さに驚きます。

続いてAdobe Premiere Proを使って動画編集を試してみましたが、その動作の軽さに驚きました。もともとM2 Pro搭載MacBook Proでも快適に編集できていたのですが、M4 Proだとさらにサクサク軽快に作業できる印象です。

Adobe Premiere Proを使って動画を編集しているところ

たとえば、4K/60fpsで5分10秒の動画素材を条件を変えながら書き出してみたところ、次の表のような結果になりました。

動画の書き出し時間

出力形式エンコード方法書き出し時間
低電力自動高出力参考(M2 Pro)
4K/60fps/h.265ハードウェア5分16秒755分15秒885分15秒345分58秒57
4k/60fps/h.265ソフトウェア17分30秒008分35秒518分35秒6813分19秒74
FHD/60fps/h.264ハードウェア2分53秒871分34秒881分32秒662分8秒66

※4K/60fps、5分10秒のH.264動画素材をAdobe Premiere Proで書き出した速度を計測

M2 Pro搭載MacBook Proでも書き出し速度は十分速い印象でしたが、それがさらに高速になっています。フルHDくらいの動画なら「低電力」でもストレスなく編集できそう。「自動」と「高出力」の差はわずかなので、ふだんは「自動」に設定しておいて、バッテリー駆動時間や静かさを優先したい場合などに「低電力」を使うのがよいかもしれません。

動画を書き出している最中のCPU履歴を確認してみると、「低電力」のときはCPUコアのうち4つある高効率コアを極力活用して、残り10個のパフォーマンスコアの使用を抑えていることがわかります。これを見てもCPUコアの使い方のうまさ、電力効率のよさがうかがえます。

「自動モード」でソフトウェアエンコードをしているときのCPU履歴。性能重視のパフォーマンスコアがフルに活用されているのがわかる
「低電力モード」でソフトウェアエンコードをしているときのCPU履歴。「効率性」とあるのが電力効率を重視した高効率コアで、「自動モード」のときより使用率が高くなっている

実際、M4 Pro搭載モデルはM3 Pro搭載モデルに比べてバッテリー駆動時間も改善しており、ビデオストリーミングは最大22時間から24時間に、ワイヤレスインターネットは最大15時間から17時間に伸びています。使ってみた感じでも、テキスト編集を中心にときどき写真や動画の編集を行う程度であれば1〜2日は十分持ちそうでした。

作業環境や用途によっては買い替えの価値は十分あり

単にチップ性能が向上しただけでなく、Thunderbolt 5やデスクビューに対応した12MPセンターフレームカメラ、エネルギーモードの搭載などで、活用できるシーンや使い方が広がった新MacBook Pro。高額なのは確かですが、動画編集など負荷の高い作業でチップのパワーが必要な人、高解像度&高リフレッシュレートディスプレイや高速な外付けストレージなどをフルに活用したい人、出先に持ち運んで使いたい人などには魅力的なモデルチェンジと言えそうです。

今回は日本語環境に対応していないため試していませんが、2025年4月にはAppleのAI技術「Apple Intelligence」も日本語で利用可能になる予定。その際、M4チップファミリーを搭載した新モデルは本来の実力が最大限に引き出されることになるはずです。

現時点では日本語環境に非対応の「Apple Intelligence」は、2025年4月に対応予定
チップ性能を中心に機能強化が図られたM4チップファミリー搭載16インチ MacBook Pro

型落ちになって値頃感が出てきた旧モデルも十分魅力的ですが、長く使うことを考えればやはりM4 Pro/M4 Max搭載モデルを検討したいところ。Apple Intelligence対応は別にしても、バッテリー駆動時間や内蔵カメラのように、すぐ実感できる機能アップも少なくありません。またNano-textureディスプレイが選べるのも今回のモデルから。これらに魅力を感じるならば、現時点でも買い替える“価値”は十分あると言えそうです。

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