今やすっかりお馴染みとなったモバイル扇風機は、利用シーンごとに求められるスタイルが異なります。卓上で使うのであればスタンドがあるのが望ましいですし、風呂上がりや汗をかいている時は、手に持って首筋などに風を直接当てたいものです。置き場所がない場合には、どこかに吊り下げて使えれば重宝しますし、保管にも便利でしょう。
今回紹介するリズム社の「Silky Wind Mobile 3」は、1台でそうしたさまざまな利用スタイルに対応できるモバイル扇風機です。
本製品は見た目はごく一般的な、手に持って使うためのハンディタイプの扇風機で、通常時は片手で握って利用します。重量は約150gと、2000mAhのバッテリーを内蔵する割には軽量で、宅内はもちろん外出先での利用にも適しています。
またボディは中央で折りたためる構造になっており、デスクの上に置いて使うこともできます。スタンドとして使えるパーツが別途付属するのではなく、本体だけあれば立てられるため、出掛けた先でしばし立てて使いたい場合も、スタンドを携行しておらず立てられないといったことがありません。角度は110度まで調整できるので、水平よりやや下に向けての送風も可能です。
さらに本製品は、本体後部のフックを使ってバーなどにぶら下げることもできます。これならば、置き場所がないベッドサイドなどで引っ掛けて使うことができます。これら個別の利用スタイルに対応した製品は数多く存在しますが、3つすべて揃っているのはかなりレアと言えます。
本製品のもう一つの特徴は、二重反転ファンの採用により、ボディサイズやファンの径からは想像できないほど強い風を送れることです。これはリズム社のモバイル扇風機の特徴といえる機構で、二枚重ねになったファンを同時に回すことで、サーキュレーター並みの強い風を発生させることができます。
最近は百均ストアなどでも格安のモバイル扇風機が販売されていますが、多くの製品は風量に乏しく、強にすると回転音が騒々しくて使い物にならないこともしばしばです。その点、本製品は離れたところからでも勢いのある風を送れるのはもちろん、羽根の直径が小さい割にはファン音も控えめで、どこでも気兼ねなく利用できます。
一方で気になる点もいくつかあります。ひとつはバッテリーの残量がわかりにくいことです。風量切替ボタンの上にステータス表示のLEDがあり、バッテリー残量が25%以下になると赤く点滅するのですが、逆に言うとバッテリー残量が100%でも、50%でも、見分ける術がありません。複数のLEDを搭載するなどしてもう少し分かりやすく表示してほしいものです。
またデスク上に置いて使うと、モーター音がやや響くのも気になります。ファン音自体は静かであっても、この振動のせいで、就寝時にベッドサイドに置いて使おうとすると、安眠に影響を及ぼす可能性があります。こうした場合、接地させずにフックでぶら下げて使うなど、利用スタイルを工夫したほうが良さそうです。
また本製品に限らず、このクラスの製品によくある傾向なのですが、USB PD充電器など、5V超えの充電器が利用できないのはネックです。付属のUSB A-Cケーブルを使い、一般的なUSB充電器から充電を行えば特に問題はないのですが、外出先に持ち出す充電器がUSB PD対応製品である場合、本製品のためだけに専用の充電器やケーブルを携行するのは現実的ではなく、やや困りものです。
以上のように気になる点はちょくちょくあるのですが、全体としてはよくできた製品で、2千円台後半という価格も納得の出来です。筆者は毎年数点のUSB扇風機/モバイル扇風機を購入していますが、過去数年に購入した中でもっとも完成度が高い製品の一つだと断言できます(耐久性については、2~3年壊れずに持ってくれればよいのですが、こればかりは使い続けてみないとわかりません)。この夏に使うモバイル扇風機を探している人は、ぜひチェックしてみてください。
- DATA
製品名:Silky Wind Mobile 3(9ZF033RH03)
実売価格:2,780円
発売元:リズム
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B09SH1RB5Z/
2022.06.28 Tue