地震などの災害につきものなのは停電です。揺れによる家具の転倒といった直接的な被害はなくとも、停電によって長時間テレビやネットが使えなくなり、情報の入手に不自由するというのはよくある話です。
かつてはガラケーにワンセグ機能が付属していた時は、これらを使ってテレビを見ることができましたが、現在ではすっかり廃れてしまっています。大画面テレビは、たとえポータブル電源を用いても、駆動できるのは数時間が限界ですし、Wi-Fiが使えない状況下では、ネット経由で各種サイトから情報を得るにも不自由します。
こうした場合に備えて、ひとつ持っておくと便利なのが、電池で駆動する携帯ワンセグテレビです。価格も数千円~1万円程度とこなれていますので、防災への備えとしては最適です。今回はその一つ、カイホウジャパンのワンセグTV搭載ラジオ「KH-TVR320」を紹介します。
こうした携帯テレビは複数のメーカーから発売されており、そのほとんどはテレビに加えてラジオも聴くことができます。重量もスマホ並、重くてもタブレット並と軽量なため、自宅はもちろん避難先へと持ち出すのにも向いています。
電源は乾電池のほか、バッテリーで駆動する機種もありますが、いつ起こるか分からない災害のために定期的に充電を行うのは手間になりますので、基本的には電池で利用するのがよいでしょう。電池の規格を懐中電灯などと合わせておけば、備蓄するにしても無駄になりません。
本製品はその点、単三電池3本での駆動時間が12時間、イヤホン利用時で24時間と、同等製品の2倍近い長寿命が特徴です。実際に試したところ、これよりもはるかに長時間の視聴が可能であるなど、電池の備蓄が少ない場合も頼りになります。外部電源にも対応しているので、いざという時はモバイルバッテリーを使って駆動させることもできます。
使い方は簡単で、本体の電源をオンにすると、チャンネルがスキャンされ、映像が表示されます。毎回チャンネルスキャンを行うのは無駄のように感じますが、こうした携帯テレビは毎回異なる場所で視聴する可能性があるため、この仕様は妥当でしょう。
受信が可能になれば、あとは画面下にある選局ボタンを使って局を変更しつつ、視聴を行います。画面サイズは3型とかつてのガラケー並ですが、ワンセグはもともと解像度は低いためそう苦にはなりません。本体にはスピーカーのほか、イヤホンジャックも搭載していますので、家族が寝静まったあとや、避難所などで周りに人がいる環境での視聴にも適しています。
また本製品はテレビに加えてラジオ放送(FM/AM)の受信にも対応しています。テレビとラジオでは連続再生時間にそう差はないため、バッテリーの節約にはなりませんが、テレビが受信できない環境でもラジオならば受信できることはあるでしょうし、また明かりが漏れるのが望ましくない環境での利用には活躍しそうです。
実際に使ってみて若干気になった点は2つ。ひとつは画面の視野角が狭いことで、右方向から見た場合は問題ないのですが、左方向から見ると、角度によってかなり色が違って見えます。おそらく縦向きであるべき液晶パネルを横向きにして使っているのが原因で、価格なりの割り切った仕様と言えます。
もうひとつは充電端子がUSB Type-CではなくmicroBということで、最新のスマホなどとは充電ケーブルが共用できないことです。すでに身の回りのデバイスがUSB Type-Cに置き換わっている場合は、本製品についているケーブルをなくさないように気をつけたいものです。
以上、気になる点はちょくちょくあるものの、6千円前後で手に入る製品としてはなかなか優秀で、特に駆動時間の長さは、同等製品に比べてアドバンテージがあります。災害などで停電した時に使える携帯テレビを探しているのであれば、候補に入れておきたい製品といっていいでしょう。
- DATA
製品名:KH-TVR320
実売価格:5,980円
発売元:カイホウジャパン
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B01N36UD9D/
2022.07.19 Tue