かつてのクールビズをきっかけに、エアコンの温度は控えめに、軽装で涼むというスタイルが浸透してきています。USB接続の小型扇風機が売れているのは、こうした環境において、手元で涼むためのツールのニーズがあることを表していると言えます。

もっともこうした据置型のUSB扇風機は、デスク上に設置すると、なにかと場所を取ってしまうのが困りもの。また設置できたとしても、手前に置いたモノによって風が遮られてしまうことも少なくありません。

こうした場合に、風を遮られることなく、特等席といえる場所をキープできるのが、今回紹介する「モニター掛けUSBスリム扇風機」です。 

本製品は、PCのディスプレイの上部に取り付けられるUSB扇風機です。ディスプレイの上からまっすぐ風が送られる格好になるので、風がなにかに遮られることもありません。PCでの作業中、手を伸ばせばすぐそこに本体があるため、電源のオンオフや風量調節、さらに風向きの調節についても、非常に容易というわけです。

本製品のようにディスプレイ上に設置する小型扇風機は、数年前から見かけるようになりましたが、いずれも海外ブランドがそのまま日本で売られるパターンで、価格も1万円前後と高価、さらに保証の有無もはっきりしない怪しげな製品ばかりでした。今回の製品は、製品自体は海外製とはいえ、ドスパラの上海問屋ブランドで取り扱われていることもあり、初期不良2週間の保証もしっかりと付属しています。

ボディの横幅は約35cm。左に飛び出るコネクタの約5cmと合わせて、17型以上のディスプレイであれば、ボディの外側に飛び出ることはまずありません。重量の問題もあってノートPCと組み合わせての利用は困難ですが、デスクトップ用ディスプレイであれば、現行製品のほとんどには問題なく取り付けられるはずです。

実際の使い勝手はどうでしょうか。試した限り、ディスプレイの上から風が吹き出してくるというのは、なかなか理にかなっています。風向きについても、正面のノブを使って上下に調整できます。

ただし肝心の風量は、残念ながらあまり強くはありません。本製品は3段階で風量の調整が行えますが、弱ではほとんど風を感じず、強にしてようやく使い物になるかどうか、というレベルです。さらに騒音もかなりのものです。

これは内蔵された4つのファンが正面ではなく上方を向いており、ボディ内部の天井にぶつかった風が向きを変えて正面から流れてくるという、一般的なファンとは異なる構造によるところが大きいと考えられます。利用者がディスプレイを覗き込むように近づけばもう少し風を強く感じられるかもしれませんが、本製品に合わせてPCの操作姿勢を変えるのもおかしな話です。本音を言うと、もう少しパワーが欲しかったところです。

また、電源および風量は本体のボタンでしかコントロールできないので、例えば本製品の給電用USBケーブルにスイッチを取り付け、手元でオン・オフするといったことはできません。本体側の電源ボタンを深く押し込んでおけば、通電するだけで運転が始まる仕様ならばこうした工夫もできたのですが、このあたり、あまり融通が利く仕様ではありません。

利用上の注意点としては、ディスプレイの上部に取り付けることから、ウェブカメラなどをディスプレイに取り付けている場合は、どちらかを外さなくてはいけないこと。本製品は縦置きのスタンドも付属していますが、それはあくまで適合しなかった場合の奥の手で、最初から縦置きで使うと決まっているのならば、わざわざ本製品を買う意味がありません。

ちなみに縦置きにした場合、ケーブルが本体の上部から突き出した形になるので見た目もよくなく、そうした意味でも縦置き前提で購入するという選択肢はないでしょう。購入にあたっては、自分が所有するディスプレイに適合するかどうか、そのサイズはもちろんカメラの有無などをチェックしておいた方が良さそうです。

このほかディスプレイの色がブラック全盛の時代に紺色だったり、その一方でUSBケーブルの色はホワイトだったりと、ツッコミどころは数多くあるのですが、これまでディスプレイ装着型のUSB扇風機が1万円前後したことを考えると、3千円を切って購入できる本製品は貴重な存在です。あまり強い風量を求めなければという条件付きですが、これまでにあまりなかった製品として注目する価値はありそうです。

DATA

製品名：DN-916267
実売価格：2,280円
発売元：ドスパラ