第5回 ユーザビリティ改善のきっかけ | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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タイトル画像、Webユーザビリティ―信頼を生む“使いやすさ”のデザイン

第5回 ユーザビリティ改善のきっかけ


ユーザー中心という考え方が広がってきたためか、サイトのリニューアル時の要件に「ユーザビリティの向上」を盛り込むところも増えています。しかし、お話をお聞きしていると、漠然としたイメージしかなく、現在のサイトで何が問題なのか把握されていない場合が意外に多いものです。ひょっとしたら現在のサイトでユーザーは満足しているかもしれないし、あるいは大きな不満を抱えているかもしれません。現状確認から、まず始めてみましょう。

(解説:石田優子)

著者プロフィール用イラスト [プロフィール]
いしだ・ゆうこ●クロッシングフィンガーズ代表。ユーザーエンパワーメントという手法により、ユーザー視点に立ったサイト構築、コミュニティ運営のコンサルティングなどを行っている。近著に『Webユーザビリティ・デザイン Web制作者が身につけておくべき新・100の法則。』がある。
(イラスト:MIKAさん)
クロッシングフィンガーズ:http://www.crossingfingers.org/
KeiYu HelpLab:http://www.keiyu.com/



ユーザーフィードバックを大切にする


リニューアル時のユーザビリティ改善の参考になるものとして、まずそのサイトへの直接の問い合わせがあります。どこで困っているか、わからないか、積極的なユーザーならば質問してきます。もし問い合わせが全然入っていないのならば、それ自体が最大の問題でしょう。どんなサイトでも不備はあるはずです。

ところが、ユーザーが困ってもサイトにフィードバックしていないということは、受け入れる体制が整っていないということになります。私は、そのサイトと会社の顧客サービスの姿勢を知るひとつの目安として、まずそのサイトの問い合わせ先を見るようにしています。

問い合わせ先を隠すような作りのサイトや、限定された質問にしか答えないというような態度のサイトは、まずその点から改善し、積極的にユーザーの声を拾うべきです。質問・要望フォームを設けるのもよいですが、顧客情報をむやみに聞くようなアンケートは個人情報保護の点で問題がありますし、問い合わせの敷居を高くしてしまいます。

ユーザーに連絡する方法と、問い合わせ内容程度のシンプルなフォームや、単なる問い合わせ先のメールアドレス、電話番号の掲載ぐらいのほうがよいでしょう。

サポート・営業情報をヒアリングする


サイトへの直接の問い合わせのほかに、サポートセンターへの問い合わせ内容、あるいは営業部門に寄せられるお客様の声なども重要な手がかりになります。

よくある質問に対するFAQページを作成し、そこにユーザーを誘導するだけでもサポートコストが軽減できるかもしれません。カタログに記載されている内容についてより詳細な情報を求める声が多く、実はそれがサイトに記載されているとしたら、情報をより見つけやすい位置に移動することが必要かもしません。

また、サイトだけでなく会社の戦略自体に関わる問題も含まれている場合があります。どのサービスプランを選べばよいのかという質問が突出しているのならば、サイトで比較しやすいシステムを構築するのが妥当なのか、あるいは料金体系の根本的な見直しをするかを検討する必要もあるでしょう。

広義のユーザビリティはユーザー、顧客への配慮ですから、サイト単体で完結するものでなく、各部署との連携の中で動くことが大切です。サイトはいまや会社の「顔」となりつつあります。単なる会社案内やカタログ代わりとして社内でサイトの働きが軽視されているのならば、サイト担当者としては、その意識改革から粘り強く取り組んでいくことも重要です。

アクセスログ解析


アクセスログ解析は、ユーザー行動をつかむ補助的手段としては有効ですが、間違った解釈をしてしまう場合があるので注意してください。

たとえば、ユーザーの滞在時間の長いページは関心度の高いページではなく、操作に手間取るページかもしれません。ページビューが高いページは、そのページをたどらないと本来の目的にたどりつけない構造上の問題をあらわしているのかもしれません。最初に訪問したページからの経路をたどることで、ある程度ユーザーの行動を想像することはできますが、それもサイト運営・制作サイドの想像でしかなく、実際のユーザーの意図とは別である可能性もあります。

また、アクセスログには「現在あるものは見えるが、ないものは見えない」という欠点があります。よく検索されるキーワードや、訪問率が高いページはわかっても、ユーザーが検索してもなかった情報や、ほしくてもなかったページはデータとして残りません。

突然アクセス数が増えたので参照元を調べると、あるサイトで紹介されたことがきっかけであったというような有用な情報を入手できることもあるので、アクセスログは常にチェックしておくべきですが、個々の数値自体にはあまり振り回されないようにしましょう。


次回につづく
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