第7回 企画段階での技術検討 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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タイトル画像、Webユーザビリティ―信頼を生む“使いやすさ”のデザイン

第7回 企画段階での技術検討


第5回、第6回でお話してきたように、サイトの目的やユーザー層を把握し検証することが、企画段階でまず必要となります。そして、それに応じてサイトを構想するときに、Web関連のどのような技術を使うかを検討します。使用する言語、CMSやデータベースの選択、プラグインなど、これらの技術についは読者のみなさんのほうがよくご存知かもしれません。ここでは、個々の技術ではなく“技術の使い方”について少し考えてみます。

(解説:石田優子)

著者プロフィール用イラスト [プロフィール]
いしだ・ゆうこ●クロッシングフィンガーズ代表。ユーザーエンパワーメントという手法により、ユーザー視点に立ったサイト構築、コミュニティ運営のコンサルティングなどを行っている。近著に『Webユーザビリティ・デザイン Web制作者が身につけておくべき新・100の法則。』がある。
(イラスト:MIKAさん)
クロッシングフィンガーズ:http://www.crossingfingers.org/
KeiYu HelpLab:http://www.keiyu.com/


最初に技術ありきの不思議


私がWebにかかわり始めて以来、常に疑問に思っていることのひとつに、クライアント、制作サイド両側の「まず技術ありきの傾向」があります。

1990年代にはJavaScriptによるテキストスクロールが流行しました。テキストスクロールは、そのサイトのユーザーが必要としたものであり、またユーザーが目的を果たすのを助けるものだったでしょうか。今では笑う人もいらっしゃるかもしれません。しかし当時の人たちにとっては最新技術であり、使わないではいられないものだったのです。

最近よく聞くのは、Ajaxをという声です。クライアントからの要求仕様書にAjaxとだけ書かれていたので、どこでどのようにAjaxを使われたいのかと質問したところ、まったく決まっておらず、ともかくAjaxにしてくれというお話がありました。また、開発サイドから、ともかくAjaxでドラッグアンドドロップにしようという声があり、なぜドラッグアンドドロップがその部分で必要なのかを質問するとわからないというケースもありました。

Web制作にとにかくAjaxを取り入れたいクライアントと、Ajaxの必要性がわからず困惑するWebデザイナー

別にAjaxやほかの新技術を否定しているわけではありません。しかし、それが「誰のために、なぜ必要か」。まず、それを考えることから始めてください。

誰も困らないことは変える必要がない


私がKeiYu HelpLabサイトを立ち上げたのは1998年です。翌年、CSSを一部使った、リキッドのテーブルレイアウトにリニューアルしました。そして現在もまだ当時のテンプレートを使い続けています。

実は一度XHTML+CSSに全面変更しようとしたのですが、途中でやめました。その変更がユーザーにとってどんなメリットがあるかを考えたとき、何も思い当たらないことに気づいたからです。テーブルレイアウトといっても、入れ子構造を避けたごく軽いもので、また、アクセシビリティにも配慮して各種の支援ソフトでの操作に支障がないことも確認しています。

ユーザーは、HTML 4.01がXHTML 1.0に変わり、CSS 1.0を一部使ったテーブルレイアウトが、CSS 2.0のみのレイアウトになっても気づかないでしょうし、それで私のサイトが使いやすくなるわけでもありません。

もし今新たにサイトを構築するのなら、XHTML+CSSを採用するかもしれません。しかし、そのことによってユーザーの使いやすさが向上し、また、制作、メンテナンスが現在より容易になるという結論に達した場合の話です。新技術を使いたくなると、その技術が必要な理由を後づけで考えてしまう場合がしばしばありますが、それでは本末転倒でしょう。

最新技術を追う必要性


これまでの話で、XHTML+CSSもAjaxも何も新しいことは学ばないでよいと、受け取る方がいらっしゃるかもしれませんが、Webディレクターやデザイナーにとって、最新技術を追うことは大切なことです。自分が好むものだけでなく、全般的な動向を見ておく必要があります。

たとえば、Web標準を重んじる人の中には、RIA(リッチインターネットアプリケーション)を懐疑的に見る人もいますし、また、逆にRIA系に興味があっても構造化には無関心な人もいます。

しかし、メニューひとつ、ボタンひとつを作るにせよ、そのサイトのユーザーにとって、その場で“もっともふさわしいもの”にするためには、より多くの技術の引き出しを用意しておかなければなりません。

すべての技術の細かな部分まで押さえることは困難ですが、たとえばWebを閲覧していて、自分が何気なくよいと感じたユーザーインタフェースがあれば、それはどのような技術をどのように組み合わせて作られているものかをメモしておく。自分が手がけているサイトとは無関係と思われる分野の技術に出会ったときも、選択肢として残しておく。このような技術の蓄積があってこそ、技術志向でなく、ユーザー志向のサイト制作をする準備ことが可能になるのです。


次回につづく
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