第8回 数字で見るWebマーケティング | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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WEBマーケティング戦略のススメ


文=島元大輔文=島元大輔
大阪のWeb制作会社でWebディレクターとして活躍後、(株)キノトロープに入社。数多くの企業Webサイト構築プロ ジェクトにかかわる。その後、 (株)ライブドアに入社、現在は(株)セシールに在籍。著書として「だから、Webディレクターはやめられない」(ソシム刊)。 url.blog-project.cecile.co.jp/


第8回
数字で見るWebマーケティング


これまでは、数回にわたって稼働顧客や単価、リピート回数をいかに伸ばしていくかにスポットを当てて解説してきた。今回は、具体的な数字例を挙げてみながら解説していきたい。


世界が100人だったら各国のインターネット人口は?

まずは、世界の人口におけるインターネット人口がどの程度いるのかを見てみよう。その様子は、World Internet Usage Statistics News and World Population Stats(http://internetworldstats.com/stats.htm)というWebサイトで確認することができる。2008年11月時点での世界におけるインターネット人口を見てみると、14.6億人。全世界の人口が66.8億人であるので、その普及率は約21%。5人に1人はインターネットを使っている計算となる。

では、地域別にはどうなのだろうか。アジア5.8億人、ヨーロッパ3.8億人、北米2.5億人、他となっている。詳しい内容は、Webサイトを参照いただきたい。

これに関しておもしろい記事がある。世界の人口が100人だったら、各国のインターネット人口はどうなるのか、といったことを検証したものである。japan.internet.comの「インターネットがもし100人の村だったら」(http://japan.internet.com/busnews/20071227/8.html)という記事である。詳細は記事を見ていただきたいが、各国の数値を見てみると、以下のようになるらしい。

21人がアメリカ人
12人が中国人
7人が日本人
4人がドイツ人
4人がイギリス人
4人が韓国人
3人がフランス人
3人がインド人
3人がカナダ人
2人がイタリア人
2人がブラジル人
2人がスペイン人
2人がロシア人
1人がオランダ人
1人がメキシコ人
31人がその他の地域の人

意外なのは、日本人が多いことだろうか。世界の中を見てみても、日本のインターネット市場は無視できない存在となっているのである。


日本のEコマース市場

それでは、その日本のEコマース市場はどの程度の規模があるのだろうか。経済産業省が出している『「平成18年度電子商取引に関する市場調査」について』で確認することができる(http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/070509press-set.pdf)。その内容を見てみると、BtoCの場合で、日本:4兆3,910億円、アメリカ:19兆2,700億円といったもの。しかも、毎年その市場規模は広がっている傾向にある。下記に気になる個所を挙げてみた。

1 BtoCで売れてるもの【1】
アメリカ:
総合小売 38.5%
製造業(ダイレクト販売のPCなど) 10.6%
日本:
情報通信 27.1%
総合小売 22.5%

【1】Eコマース市場規模の推移
【1】Eコマース市場規模の推移


アメリカでは、すでに小売(特にアパレル)が非常に伸びてきているところを見ると、おそらく日本でも同じような流れが起こるだろうと予想される。

2 企業がEコマースに求める効果について、日本の企業が「販売事務迅速化」というのに対し、アメリカの企業は「既存顧客囲い込み」といっている。筆者はインターネットが強みを発揮できるところは、顧客(特に既存顧客)とのコミュニケーションツールとして使うことにより、リピート率や購入単価を上げることだと感じているので、日本の企業が挙げている「販売事務迅速化」は、経費を軽減するためのツールという、少し守りに入った解釈のように感じる。ただ、今後は日本の企業もEコマースというツールの重要性に気づき、アメリカのように市場も伸びていくものと感じている。

3 対して消費者がEコマースにどのようなことを求めているかという調査もある。実際に使う消費者は「より安全に」「より使いやすく」を求めているようである。

Eコマースにおける決済の比率
Eコマースにおける決済手段は、今日さまざまなものが用意されている。例を挙げると、クレジットカード、銀行振り込み、郵便振り込み、代引き、コンビニ決済、ネットバンキング、電話やプロバイダ決済、電子マネーなどがある。

実際に消費者がどのような決済を利用しているのか見てみよう。これも『「平成18年度電子商取引に関する市場調査」について』を参照する。圧倒的に多いのがクレジットカードである。次が銀行振り込みや郵便振り込み、特に伸びているのが、ネットバンキングによる振り込みである。

一昔前はクレジットカード番号をインターネット上で使用することが怖い、というユーザーが多かったが、そのマインドは軽減されてきているように思う。


消費者がEコマースサイトに求めること

Eコマースで成功するためには、これを見逃すわけにはいかないだろう。経済産業省の『「平成18年度電子商取引に関する市場調査」について』を見てみよう。

1. 安全かつ信頼できる代金支払方法が提供されていること
2. 購入意思の確認画面や購入取消画面など、操作手順がわかりやすいこと
3. 情報送信時の暗号化などのセキュリティ対策が行われていること
4. 申し込みを受けた際の受注確認メッセージがメールなどで送信されること
5. 商品の返品・交換ポリシーが明示されていること

上位の回答は上記のようなものである。先ほどの決済手段と合わせて見てみると、クレジットカードもだいぶ安心して使える決済手段になってきたということが、よくわかると思う。こういった調査を見たとき、Eコマースには、安心と便利のバランスが非常に重要だということが理解できる。ただし、上記の対応を完璧に行ったからといって、必ずしも売り上げにつながるわけではないので、注意していただきたい。


Eコマースにおけるコンバージョン率

コンバージョンとは店舗であるEコマースサイトに訪れた人に対して、買った人の割合である。

買った人の数÷店(Eコマースサイト)に訪れた人の数×100

Eコマースにおける一般的な数字はなかなか出しにくい。当然、その商品、ブランドによって大きく異なるからである。ただし、Eコマースをまったくやったことがなくて、目安となる数字をあえて挙げるならば、1%という数字を意識しておけばいいかもしれない。Eコマースサイトでは、100人訪れて、1人買ってくれればいいほうということである。

ただ、地道な活動を重ねることで5~10%まで伸ばすことは十分可能だろう。コンバージョン率を上げるためには、既存顧客にまた買ってもらい、既存顧客率を上げ、リピート率を向上させることだ。

そうなると、一般的なWebマーケティングであるSEOやアフィリエイト、リスティングなどは本質的ではなく、満足度の高い商品やサービスの提供といった商売の当たり前に行き着くわけである。

現に、高コンバージョン率のEコマースサイトは、商品やサービスが優れている場合が多い。Eコマースの世界は、ホンモノが残る傾向にあるといえるだろう。


本記事は『Web STRATEGY』2009年1-2 vol.19からの転載です
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