Yahoo!やGoogleを味方につけて、
賢く集客するためのセオリーを学ぼう
集客のための検索連動型広告活用術
(株)ルグラン 代表取締役
泉 浩人
2002年オーバーチュアの日本進出に参画、同社の経営全般に携わったのち、2006年4月、検索連動型広告ユーザーへのサポートを目的に(株)ルグラン を設立。結果を出すことにこだわりながら、コンサルテーションを中心に、検索連動型広告に関連するサービスを幅広く提供している
url. www.LeGrand.jp/
第3回
継続は力なり(ケーススタディ:三和メッキ工業(株))
キーワードも出し尽くしたし、もう最適化は限界、と結論づけてしまっている広告主は多いのではないだろうか。そこで今回は、トライアンドエラーを繰り返すことによって最適化の可能性は広がるということを、弊社クライアントの取り組み事例を見ながら説明してみたい。
■検索連動型広告に見切りをつけたいという依頼
三和メッキ工業(株)(以下、三和メッキ)は福井県に本拠を置き、機械部品などのメッキ加工を行う老舗の地場企業である。同社と検索連動型広告の出合いは、同社専務である清水栄次氏がWeb上で個人向けメッキサービス「必殺めっき職人」を立ち上げた2004年にさかのぼる。
バイクのパーツやゴルフのパター、携帯電話などをメッキしたいという極めてニッチな個人需要を掘り起こすために、検索連動型広告は費用対効果の点でも極めて有効な手段であった。事実、本サービスは大きな反響を呼び、同社は個人向けメッキサービスという新たな市場をゼロからつくり上げることに成功したのである。
しかしながら、同社の中核事業はあくまでも企業からのメッキ加工受注であり、成約につながる良質な企業からの問い合わせを効率的に獲得することが、営業上の重要な課題となっていた。
そこで清水氏は、検索連動型広告によるプロモーションの対象をBtoCからBtoBにシフトさせ、メッキ加工のニーズを抱える企業の担当者に対して、広く自社の技術や実績を訴える戦略を取った。
とはいえ、すでに同社ではオーバーチュアやアドワーズで「メッキ」や「メッキ加工」といったキーワードを中心に数百ワードを運用しており、清水氏としては、これ以上、検索連動型広告に時間と労力をかけてもさしたる効果は期待できないという思いも強かった。実際、弊社への依頼も、検索連動型広告が限界にあることを確認するための最終診断をしてほしい、というものであった【1】。

【1】三和メッキ工業(株)のサイト(www.sanwa-p.co.jp/)
■思い込みを捨てて、思いつきを拾う
依頼を受け、弊社ではまず三和メッキがオーバーチュアとアドワーズで運用しているキーワードの分析を開始した。具体的には、すべてのキーワードについて、過去6カ月間の掲載実績(検索回数やクリック率、クリック単価、コンバージョン率など)に関するデータを解析し、それぞれのキーワードから得られたコンバージョン数やコストを把握するとともに、それが、キーワード間でどのような分布・バランスになっているのかを検証した。
ここで重要なことは、コストやコンバージョンが特定のキーワードに集中しすぎないということであり、弊社では、上位20%のキーワードがコストやコンバージョンの全体に占める割合を10?15%以内に抑えることをひとつの目安としている。
ところが同社の場合、「メッキ」というひとつのキーワードだけでコスト全体の20%以上を占めていることがわかった。つまり「メッキ」というキーワードのクリック単価が上昇したり、コンバージョン率が悪くなると、それがキャンペーン全体の広告効果に直結してしまうという非常にリスクの高い状態となっていた。
弊社ではこの分析結果を清水氏に伝え、「キーワードは出し尽くした」という思い込みを一度捨てて、もう一度、可能性のありそうなキーワードを幅広く拾い出してみることを提案した。具体的には清水氏から初心者向けに書かれたメッキ関連の書籍をお借りし、そこから、メッキについては素人、つまり、何の先入観ももたない弊社コンサルタントが、検索につながりそうなキーワードを拾い出していくという手法をとった。
この結果、約3,000個のキーワードを追加し、それまで月間平均20万回前後であった検索回数を220万回まで増やす一方、15~16円で推移していた平均クリック単価を10円程度まで約35%引き下げることにも成功した。コンバージョンについても、全体の4割近くが新たに追加したキーワード群から獲得できるようになり、「メッキ」への依存度を引き下げるとともに、集客の網が広がったことも実感させる結果となった【2】。

【2】現在出稿しているキーワードのクリック単価を下げることができなくとも、単価の安いキーワードを加えることによりキャンペーン全体の平均値を下げることができれば広告効果は改善する
■失敗から学ぶ
検索連動型広告において重要なことは予断をもたずに、さまざまな可能性を試してみるという「トライアンドエラー」の精神である。三和メッキに対して弊社が提案した約3,000個のキーワードについても最初から100%の成算があったわけではない。「トライ」を重ねる中で出てきたさまざまな「エラー」を修正しながら徐々に最適化されて今日にいたったにすぎない。
そのひとつの例を紹介しよう。メッキの手法のひとつに「クロメートメッキ」というものがあり、「ユニクロームディップコンパウンド」という処理液が使われることから、業界では「ユニクロ」「ユニクロメッキ」と呼ばれている。
言うまでもなく「ユニクロ」といえば一般的にはカジュアル衣料の店がたいへんに有名であるが、清水氏とも相談のうえ、タイトル&説明文をきっちりと書き込むことで、メッキに関連するクリックだけを取り込むことができるのでは、という想定のもとに広告を掲載した【3】。

【3】タイトルは「光沢クローメート処理」という文言とし、あえて「ユニクロ」というキーワードを外したにもかかわらず相当の人にクリックされてしまった
実際、クリック率は1%にも満たないものであったが、「ユニクロ」というキーワードに対する検索数が非常に大きかったため、結構なコストが発生する結果となった。だが、クリックした人のほとんどは衣料品店を探していたものと思われ、三和メッキへの問い合わせにはまったくつながらなかった。これはキャンペーンとしては失敗であったが、「ユニクロ」というキーワードはリスクが高いという検証結果は、「トライ」してこそ得られた最適化への有効な手がかりとなるのである。
まとめ
検索連動型広告には絶対という「正解」は存在しない。正解は企業やサイトによって異なるし、やっと正解を見つけたと思っても、検索ユーザーや競合他社の動向次第で、明日には正解でなくなってしまうことも珍しくない。したがって、キャンペーンを長期にわたって最適化し続けるためには、現状に安住することなく、つねにあらゆる可能性を求めてトライアンドエラーを繰り返すことが、結果的には正解への近道となるのである。
column REPORT- SEM世界紀行
「迷える消費者に買わせる工夫」
8月に米国で行われたSES(Search Eng-ine Strategies)のカンファレンスでリスティング広告がクリックされてからコンバージョンにいたるまでのリードタイムを計測した調査結果が発表された。これによると2年前と比べ、コンバージョンまでのリードタイムは平均19時間から34時間と約1.8倍に長期化している。
この背景には、大量の情報と選択肢を前に迷いを深める消費者の姿があり、売り手としては、電子署名やPマークの取得、FAQの充実などにより、消費者の迷いや不安を解消するための仕組みづくりがこれまで以上に重要となりそうだ【図】。

【図】ScanAlert社「Digital Window Shopping」より。コンバージョンまでに3日以上かかっているケースが全体の26%もあるというのは驚きだ
本記事は『Web STRATEGY』2007年11-12 vol.12からの転載です
賢く集客するためのセオリーを学ぼう
集客のための検索連動型広告活用術
(株)ルグラン 代表取締役泉 浩人
2002年オーバーチュアの日本進出に参画、同社の経営全般に携わったのち、2006年4月、検索連動型広告ユーザーへのサポートを目的に(株)ルグラン を設立。結果を出すことにこだわりながら、コンサルテーションを中心に、検索連動型広告に関連するサービスを幅広く提供している
url. www.LeGrand.jp/
第3回
継続は力なり(ケーススタディ:三和メッキ工業(株))
キーワードも出し尽くしたし、もう最適化は限界、と結論づけてしまっている広告主は多いのではないだろうか。そこで今回は、トライアンドエラーを繰り返すことによって最適化の可能性は広がるということを、弊社クライアントの取り組み事例を見ながら説明してみたい。
■検索連動型広告に見切りをつけたいという依頼
三和メッキ工業(株)(以下、三和メッキ)は福井県に本拠を置き、機械部品などのメッキ加工を行う老舗の地場企業である。同社と検索連動型広告の出合いは、同社専務である清水栄次氏がWeb上で個人向けメッキサービス「必殺めっき職人」を立ち上げた2004年にさかのぼる。
バイクのパーツやゴルフのパター、携帯電話などをメッキしたいという極めてニッチな個人需要を掘り起こすために、検索連動型広告は費用対効果の点でも極めて有効な手段であった。事実、本サービスは大きな反響を呼び、同社は個人向けメッキサービスという新たな市場をゼロからつくり上げることに成功したのである。
しかしながら、同社の中核事業はあくまでも企業からのメッキ加工受注であり、成約につながる良質な企業からの問い合わせを効率的に獲得することが、営業上の重要な課題となっていた。
そこで清水氏は、検索連動型広告によるプロモーションの対象をBtoCからBtoBにシフトさせ、メッキ加工のニーズを抱える企業の担当者に対して、広く自社の技術や実績を訴える戦略を取った。
とはいえ、すでに同社ではオーバーチュアやアドワーズで「メッキ」や「メッキ加工」といったキーワードを中心に数百ワードを運用しており、清水氏としては、これ以上、検索連動型広告に時間と労力をかけてもさしたる効果は期待できないという思いも強かった。実際、弊社への依頼も、検索連動型広告が限界にあることを確認するための最終診断をしてほしい、というものであった【1】。

【1】三和メッキ工業(株)のサイト(www.sanwa-p.co.jp/)
■思い込みを捨てて、思いつきを拾う
依頼を受け、弊社ではまず三和メッキがオーバーチュアとアドワーズで運用しているキーワードの分析を開始した。具体的には、すべてのキーワードについて、過去6カ月間の掲載実績(検索回数やクリック率、クリック単価、コンバージョン率など)に関するデータを解析し、それぞれのキーワードから得られたコンバージョン数やコストを把握するとともに、それが、キーワード間でどのような分布・バランスになっているのかを検証した。
ここで重要なことは、コストやコンバージョンが特定のキーワードに集中しすぎないということであり、弊社では、上位20%のキーワードがコストやコンバージョンの全体に占める割合を10?15%以内に抑えることをひとつの目安としている。
ところが同社の場合、「メッキ」というひとつのキーワードだけでコスト全体の20%以上を占めていることがわかった。つまり「メッキ」というキーワードのクリック単価が上昇したり、コンバージョン率が悪くなると、それがキャンペーン全体の広告効果に直結してしまうという非常にリスクの高い状態となっていた。
弊社ではこの分析結果を清水氏に伝え、「キーワードは出し尽くした」という思い込みを一度捨てて、もう一度、可能性のありそうなキーワードを幅広く拾い出してみることを提案した。具体的には清水氏から初心者向けに書かれたメッキ関連の書籍をお借りし、そこから、メッキについては素人、つまり、何の先入観ももたない弊社コンサルタントが、検索につながりそうなキーワードを拾い出していくという手法をとった。
この結果、約3,000個のキーワードを追加し、それまで月間平均20万回前後であった検索回数を220万回まで増やす一方、15~16円で推移していた平均クリック単価を10円程度まで約35%引き下げることにも成功した。コンバージョンについても、全体の4割近くが新たに追加したキーワード群から獲得できるようになり、「メッキ」への依存度を引き下げるとともに、集客の網が広がったことも実感させる結果となった【2】。

【2】現在出稿しているキーワードのクリック単価を下げることができなくとも、単価の安いキーワードを加えることによりキャンペーン全体の平均値を下げることができれば広告効果は改善する
■失敗から学ぶ
検索連動型広告において重要なことは予断をもたずに、さまざまな可能性を試してみるという「トライアンドエラー」の精神である。三和メッキに対して弊社が提案した約3,000個のキーワードについても最初から100%の成算があったわけではない。「トライ」を重ねる中で出てきたさまざまな「エラー」を修正しながら徐々に最適化されて今日にいたったにすぎない。
そのひとつの例を紹介しよう。メッキの手法のひとつに「クロメートメッキ」というものがあり、「ユニクロームディップコンパウンド」という処理液が使われることから、業界では「ユニクロ」「ユニクロメッキ」と呼ばれている。
言うまでもなく「ユニクロ」といえば一般的にはカジュアル衣料の店がたいへんに有名であるが、清水氏とも相談のうえ、タイトル&説明文をきっちりと書き込むことで、メッキに関連するクリックだけを取り込むことができるのでは、という想定のもとに広告を掲載した【3】。

【3】タイトルは「光沢クローメート処理」という文言とし、あえて「ユニクロ」というキーワードを外したにもかかわらず相当の人にクリックされてしまった
実際、クリック率は1%にも満たないものであったが、「ユニクロ」というキーワードに対する検索数が非常に大きかったため、結構なコストが発生する結果となった。だが、クリックした人のほとんどは衣料品店を探していたものと思われ、三和メッキへの問い合わせにはまったくつながらなかった。これはキャンペーンとしては失敗であったが、「ユニクロ」というキーワードはリスクが高いという検証結果は、「トライ」してこそ得られた最適化への有効な手がかりとなるのである。
まとめ
検索連動型広告には絶対という「正解」は存在しない。正解は企業やサイトによって異なるし、やっと正解を見つけたと思っても、検索ユーザーや競合他社の動向次第で、明日には正解でなくなってしまうことも珍しくない。したがって、キャンペーンを長期にわたって最適化し続けるためには、現状に安住することなく、つねにあらゆる可能性を求めてトライアンドエラーを繰り返すことが、結果的には正解への近道となるのである。
column REPORT- SEM世界紀行
「迷える消費者に買わせる工夫」
8月に米国で行われたSES(Search Eng-ine Strategies)のカンファレンスでリスティング広告がクリックされてからコンバージョンにいたるまでのリードタイムを計測した調査結果が発表された。これによると2年前と比べ、コンバージョンまでのリードタイムは平均19時間から34時間と約1.8倍に長期化している。
この背景には、大量の情報と選択肢を前に迷いを深める消費者の姿があり、売り手としては、電子署名やPマークの取得、FAQの充実などにより、消費者の迷いや不安を解消するための仕組みづくりがこれまで以上に重要となりそうだ【図】。

【図】ScanAlert社「Digital Window Shopping」より。コンバージョンまでに3日以上かかっているケースが全体の26%もあるというのは驚きだ
本記事は『Web STRATEGY』2007年11-12 vol.12からの転載です



