第7回 プロとアマの境界線 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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集客のための検索連動型広告活用術


(株)ルグラン 代表取締役  泉 浩人(株)ルグラン 代表取締役
泉 浩人


2002年オーバーチュアの日本進出に参画、同社の経営全般に携わったのち、2006年4月、検索連動型広告ユーザーへのサポートを目的に(株)ルグラン を設立。結果を出すことにこだわりながら、コンサルテーションを中心に、検索連動型広告に関連するサービスを幅広く提供している
url. www.LeGrand.jp/



第7回
プロとアマの境界線
外部の専門家を正しく活用するために


検索連動型広告の管理・運用を、広告代理店や、コンサルティング会社に任せているケースも多いだろう。だが、こうした外部の専門家を活用して成果を上げるためには、プロとアマの境界線をきちんと理解したうえで、業務を委託することが大切だ。


■外部の専門家に任せるべきか否か迷った時に考えること

検索連動型広告の管理・運用を自分自身あるいは社内のスタッフで行っている場合、もうひとつのオプションとして、外部の専門家に委託するかどうかは、つねに検討課題としてつきまとうことになる。その際、大切なことは、外部の専門家に任せた場合、どのような問題が解決され得るのかをしっかりと踏まえたうえで、判断を下すことである。

具体的には「管理・運用にかかる社内のリソース不足が解消される」あるいは「広告の費用対効果が改善される」かのいずれか、理想的には両方が実現されるなら、外部の専門家に委託すること真剣に考えてみても良いだろう。

読者の中には、外部に委託しているのに、社内のリソース不足が解消されないなどということがあるのか、と疑問に思う方もいるだろう。だが実際にこうしたケースは珍しくない。

費用を払って広告代理店を使っているにもかかわらず、依然として担当者は、キーワードの抽出や広告文の作成について事細かな指示を出した上に、その指示がきちんと実行されたかどうかまでフォローしている。さらに、膨大なデータと格闘しながら、広告の費用対効果を検証し改善策も考えるとなると、日常業務の片手間ではとてもこなせる仕事ではなく、ついには上司にスタッフの増員を依頼することになる。

なぜこのようなことが起きてしまうのだろうか? その理由はただひとつ。任せた相手が、本当の「プロ」ではなかったのである。

もちろん、このような相手に、広告の費用対効果の改善を期待することなどできようはずはない。本当のプロが相手なら、担当者は、検索連動型広告によって、何件の販売や申込を、1件あたりどのくらいのコストで獲得したいかを伝えればすむはずだ。一方、与えられたゴールを達成するために、どのようなキーワードを使って、どう運用するのか、その方法や戦略を考えるのはプロの役目だ。


■なぜかネットでは低くなりがちなプロとアマの境界線


家庭用のビデオカメラで撮影ができるからといって、会社のCM撮影も自分でやろうという人はいないだろう。年賀状を自分で印刷できるのだから、会社のダイレクトメールだって自分で制作できるはずだ、と考える人も少ないはずだ。

ところが不思議なことに、ネットの世界になると少し話が違ってくる。ホームページ作成ソフトが使えれば、それはサイト制作ができることだと考えている人は多い。同じように、検索連動型広告サービスの管理画面の操作ができること=検索連動型広告の管理・運用ができることだと考えている人も少なくない。

はっきり言うが、これは大きな勘違いだ。たとえて言うならば「字が書けさえすればコピーライターになれる」と思うのと同じくらい大きな勘違いだ。

確かにPCやネットの普及はプロとアマの垣根を低くした。処理能力の高いPCと最新のソフトがあれば、プロ並みの「作品」を仕上げることだって技術的には可能だ。だが、プロとして継続的にお金の取れる仕事をするためには、単にツールが使えるというだけではダメだ。セオリーやロジックを学び、経験を積み、さらにはセンスの良しあしといったものも仕事の質には大きく影響する。


■本当のプロかどうかを見極めたうえで仕事を依頼する

実際、検索連動型広告の「専門家」を名乗る企業や人の中でも、プロとアマの境界線は非常にあいまいになっており、仕事を依頼する際には注意が必要だ。

たとえばインターネット広告代理店と呼ばれているようなところでは、ほぼまちがいなく、検索連動型広告も取扱商品のメニューに入っている。だが、彼らのすべてがプロとして、広告の管理・運用をサポートしてくれるとは限らない。

広告代理店のおもな役割は、その名のとおり、広告主の代理として媒体と契約や交渉をして、広告枠を買い付けてくれることにある。力のある代理店に頼めば、Yahoo! JAPANなどの大手検索サイトやメールマガジンなどの広告スペースを有利な条件で提供してもらえることもある。

しかし、検索連動型広告は企業から個人までだれでも直接出稿することができるので、広告枠の買い付けは不要だ。必要なのは広告の費用対効果を改善するためのアドバイスや提案になるが、これを当然のように広告代理店に期待するのは、建売住宅を売っている会社に家の設計を相談するのと同じくらい難しい話だ。

一方、コンサルティング会社を使う場合には、そこのコンサルタントがどれだけ幅広い知識や経験を持っているかが鍵となる。自分自身が立ち上げたECサイトで成功を収め、コンサルタントに転身するケースもよく見られる。だが、自身の成功体験の切り売りに終始するケースも多く、知識やノウハウの普遍性に乏しいため、業種や状況が変わるとまったく成果が出せない、といったことにもなりかねないので注意が必要だ。


■本当のプロかどうかをを見極めるための3つのチェックポイント

現在利用している広告代理店やコンサルティング会社の「プロ度」を比較的簡単に見極めるためには、次の3つのポイントをチェックしてみてほしい。将来、外部の専門家の利用を検討している場合には、こうした点をRFP(Request for Proposal/提案依頼書)にまとめて、レポートのサンプルや他社での最適化事例などと併せて、文書で回答させるのも有効だろう。

1. 定期的に送られてくるレポートは、単なる数字の羅列ではなく、費用対効果の改善あるいは悪化に対する要因分析や次のアクションプランなどが明確に記載されているか?

Excelシートを何枚もの紙に印刷した数字だらけのレポートを送られている場合には、費用対効果の最適化についてまったく関心が払われていない可能性が高いので要注意だ【1】。

【1】例1は弊社がクライアントに出している標準的なレポート。数字よりも要因の分析や改善提案に関する記述が中心。対照的に例2のようなレポートは数字の羅列ばかりで、それらがクライアントのビジネスに対してどういう意味を持つのかについての説明は乏しい
【1】例1は弊社がクライアントに出している標準的なレポート。数字よりも要因の分析や改善提案に関する記述が中心。対照的に例2のようなレポートは数字の羅列ばかりで、それらがクライアントのビジネスに対してどういう意味を持つのかについての説明は乏しい


2. 広告の管理・運用にはどのようなツールやシステムが使われているか?

多数のキャンペーンについて、個々に設定した目標が達成できているかどうかを日々モニタリングし、機動的に改善策を講じるためには、ツールやシステムの導入が不可欠だ。担当者が管理画面を見ているといったレベルの運用体制では、費用対効果が悪化しても、下手をすると次のレポートが出るまで、1カ月近く放置されるといったこともあり得る。

3. 成果報酬型課金のモデルは提供可能かを打診してみる

クライアントが求める費用対効果の実現に自信があれば、「こういう条件が満たされれば提供は可能」という明確な回答が得られるはずだ。「できない」としか回答しない場合には、そもそも費用対効果を高めるために必要なノウハウや体制がないと考えるべきだろう。



column REPORT- SEM世界紀行
全世帯の18%がネットに未接続な国とは?

アメリカで今年の初めに行われた調査の結果だ。下表【2】の通り、全世帯のうち、30%は書類などを作成する目的でもパソコンを利用しておらず、21%の世帯ではインターネットを使ってメールを送信したり、Webサイトを見て情報を収集するといったことも行われていない。もちろん、背景には年齢や収入の違いによる「デジタルデバイド」という要因もある。実際、メールをしないと答えた人のうち、半数は65歳以上である。

【2】日本では携帯電話を忘れただけで不安で仕方がないという人も増えているが、
【2】日本では携帯電話を忘れただけで不安で仕方がないという人も増えているが、
ネット環境がなくとも特に不自由しないという人がこれほどいるとは驚きだ


だが、ここで大事なことは、パソコンやインターネットがなくとも困らないと感じている人たちが相当数いるということである。ネット上においても、シニア層をターゲットとしたサービスは増えているが、この事実を踏まえたうえで、彼らをどうやってネットの世界に引き込むのか、あるいは自分たちがネットの外に出て行くのかを真剣に考える必要があるだろう。



本記事は『Web STRATEGY』2008年7-8 vol.16からの転載です
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