第2回 評価指標は制作サイドで決める! | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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ケッカ!を出す
サイトプロデュース


Webプロデューサーはつねに結果を意識しなくてはならない。企業のサイト構築に「つくりっぱなし」はなく、運営・管理・コストを意識した提案こそがユーザーとクライアントを満足させる結果を導く。


文=村田アツシ
文=村田アツシ
(株)セットアップにて、企業サイト構築及び、業務系システム構築においてコンサルティングを手がける
url. www.setitup.jp/




Clip No.2
評価指標は制作サイドで決める!


クライアントの着地点は意外と不明確?

Webサイトを構築し、その評価を測ることで、制作会社のプロデュース能力が問われる。そのためには、自ら、評価される目標や指標を設定することが重要。

クライアントからどのような依頼がされるか、つかめない案件も多く、プロデュース側にその意図が伝わらない場合もある。私たちの認識として、「クライアントの着地点は意外と不明確」、もしくは制作サイドへ「意思がうまく伝わらない」ケースは日常茶飯事。「何度説明しても理解されない」とか、「何がやりたいのかわからない」という状況もよくある。ここを詰めないでいると、さまざまな局面でサイトのポリシーやポジショニングにブレが生じる。

まずは、クライアントとの着地点を意識合わせすることが結果を導くポイントとなる。成果を挙げることが、サイト構築の価値につながり、クライアントの最終ニーズでもある。

プロデューサーの役割

プロデューサーは、クライアントとの意思疎通の中で、担当者やチームの社内的なポジションや能力を理解したうえで立振舞う必要がある【1】。


【1】クライアント担当者を見極めるためのチェックポイント

サイト構築に対する「熱」がなかったり、目的が不明確な場合、制作サイドもそれなりの対応になり、結果、成果物もそれなりになる。しかし、多くの企業では、特に目的も設定せずにサイト構築を行うケースが多いようだ。

「今よりかっこよくなれば」とか、「イメージをよくしたい」、「社長のパソコンの画面サイズでつくってほしい」など、社内を見て、顧客や企業のファンを見落としているケースも話に聞く。私たちプロデューサーは、そこに陥らないように、クライアントと、良い距離での関係を維持していかねばならない。

ケッカがわかる「効果測定を設定」する

サイトプロデュースの結果が評価に値するものか? つまり、何らかの「利益」をクライアントに与えたかを知るには、結果を測る「効果測定の設定」が必要となる。おおむね、新規サイト構築の場合と、既存のサイトのリニューアルでは、その効果測定をどこに置くかが違う。

効果測定となる基準を設定するには、クライアントの発注ポイントを把握しておく必要があるのだ。

ポイント!
1. なぜサイト運営をしているか?
2. 企業内でのサイトの役割と評価は?
3. 構築、リニューアルの目的は?


どれも当然のことであるが、実は以下のような解釈もできる。

1は、プロフィットセンターかコストセンターか?
2は、ビジネス的な位置づけとして、企業への貢献度や期待度
3は、将来的なプランとして、期待する役割


これらの観点から、サイト構築の結果を導くように考えなくてはならない。

新規サイト構築ケースでの効果設定

サイトのみのビジネスか? サイトを副次的に使うのか? ITのコンテンツビジネス企業なのか? 広告的なサイトなのか? など、企業や状況により構築するサイトに求められるニーズは異なる。短期間運営のプロモーションサイトなどは特に、サイト評価として数値を求められる。口コミサイトを利用しようが、CMの露出を多くしようが、ケッカを出さなければ評価はされない。

新規サイトを立ち上げる場合は比較基準をどこに置くかが重要となる。

たとえば、同業他社のサイトと比較する場合は、おおむね以下のアクセスログや数値データがポイントとなる。

●会員数 公開からどの程度の率で増加しているか?
クセス数 公開からどの程度の率で増加しているか?
ユーザー数 公開からどの程度の率で増加しているか?
リクエスト数 公開からどの内容の問い合わせが推移しているか?
CTR (Click Through Rate=クリック率) どの内容が多く閲覧されているか?
売り上げ 直接売り上げにつながるものの金額推移?
企業価値 公開企業などの場合に株価をいくら押し上げたか?

残念ながら、ここにはデザインやインターフェイスという数値化のできない評価は置けない。画面の見栄えやデザイン、初見でのインパクト、使いやすさであるユーザビリティを計測することは可能であろうが、その効果を「ケッカ」につなげるのは難しい。

デザインやインターフェイス設計を否定するわけではなく、それ自体非常に重要なもので、サイト構築の場合に要となるアイテムだ。しかし、数値を導くことが難しいものは、経営者の判断基準として評価が難しいのである。

リニューアルケースでの効果設定

既存サイトのリニューアルでの効果測定は新規サイト構築時よりも、比較的明確だ。

設計の際にサイトのアクセスログ分析から弱みを導き、実務オペレーションを分析することで、サイト自体のパフォーマンスを理解できる。そうなれば、効果設定をどこに置けばよいかが明確となる。パワー不足の部分を強くすることで、効果を上げやすい。

会員数を増加させる(公開後数ヶ月で)
アクセス数を増加させる(今より○倍)
ユーザー数を増加させる(今より○倍)
リクエスト数を増加させる(今より○倍)
売り上げを上げる(目標数値)
企業価値を押し上げる


この点であればすべて数値としてケッカが出せるので、サイトをプロデュースした価値が理解される。クライアントにその意識がない場合でも、ケッカを出すことは、スタッフのモチベーションを上げるためにも重要である。

いっそ「賞」を狙う!

クライアントが一部上場企業や、著名なサイトである場合は、いっそ賞狙いという手もある。

当然、予算などさまざまな難関があるが、サイトの大小、クライアントの規模にかかわらず志は高いほうが制作スタッフの熱も入るものだ。これは、数値よりも話題をつくることでサイトの価値、または企業価値に間接的に貢献する唯一の評価でもある。

Yahoo!のWEB OF THE YEARや文化庁主催のメディア芸術祭以外にも、企業サイトであればIR関係サイトを第三者機関が評価している。

このようなところを狙い、クライアントと一緒にサイト構築できれば、クリエイター魂も燃えるし、ケッカもおのずとついてくる。


本記事は『Web STRATEGY』2005年 冬号 vol.2からの転載です
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