第4回 サイトの評価指標をつくる その1 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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Webプロデューサーはつねに結果を意識しなくてはならない。企業のサイト構築に「つくりっぱなし」はなく、運営・管理・コストを意識した提案こそがユーザーとクライアントを満足させる結果を導く。


文=村田アツシ
文=村田アツシ
(株)セットアップにて、企業サイト構築及び、業務系システム構築においてコンサルティングを手がける
url. www.setitup.jp/




Clip No.4
サイトの評価指標をつくる その1


コンテンツはユーザーの態度変容を誘引できたのか?というコンバージョンでの評価

自社サイトの評価は今や必然

「果たして、自社のサイトは経営的に評価できる結果を導いているのだろうか?」

企業サイトの場合は、あらゆる意味で「効果=結果」が重要。結果次第では、コストセンターと位置づけられ、規模縮小という「負のループ」へと陥るだろう。

結果を重視する雑誌やメディアは、読者アンケートや視聴率の反応次第で、内容や構成、スタッフを変えるなどして、日々、過酷な枠取り合戦をしている。

企業サイトの多くは、メディアのような機能はないので、他人事のように感じるかもしれないが、私の知る限り、自社サイトのPDCA(Plan Do Check Action)フローはあまり積極的に行われていないようだ【1】。

PDCAフロー
【1】PDCA(Plan Do Check Action)フロー

しかし、コストをかけて構築した自社サイトを評価しないことは、次回に経験値を残すことができず、現状分析→計画策定→実施→評価→データベース化というサイトの効率的な効果維持サイクルが構築できない【2】。

サイトの効率的な効果維持サイクル
【2】サイトの効率的な効果維持サイクル


アクセスログ評価からコンバージョン実績の評価へ!

サイトを評価する考えは、大きく分けてふたつある。ひとつは、アクセスログを中心としたサイト自体のパフォーマンスを定点観測し、評価改善するもの。そしてもうひとつは「利益に誘導」できているかという効果を評価するもの。

前者は、「ユーザーの利用分析」がメインなので、アクセス数やユーザー数、ユーザビリティなどに重きがおかれる。

後者は、サイト内で「企業の思惑通りの結果にユーザーが到達し、利益を生むアクションを起こしているか?」というコンバージョンを評価するので、サイトを構成するコンテンツやサービスが「資料請求」や「問い合わせ」を通じて、いかに貢献しているかを評価するものだ。今回はこのケースについて考える。

AIDMAと評価ポイントを設置したサイトをつくる

消費者行動と態度変容が密接に関係するために、コンバージョン評価のできるサイト構築では、アイドマ(AIDMA)の考えを持った構成と、サイトのミッションを明確に設定する必要がある。

アイドマとは、Attention(注意)→Interest( 関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→ Action(行動)という「消費者の行動プロセス」であり、サイトのミッションを明確にすることは、到達点である利益への誘導を明確にすることである。


コンバージョン評価のできるサイト設計に必要な要素

1. サイトのミッション
2. ターゲット
3. AIDMAを考慮したサイト設計
4. 効果測定できる顧客のアクション


1は、意外と社内での認識がずれていたりするので、再度明確にしておく必要がある。

2は、訴えたい相手、興味を持ってほしい人を想定して設定すること。

ありがちなのが、「女性全般」という全方位囲み的な設定だが、極力その中でも世代や嗜好などを絞り込むことが必要。また、集客なのか?顧客なのか?などはぜひ決めたいものだ。

3は、消費者の行動プロセスを考慮したコンテンツやイメージ、機能を盛り込むこと。

4は、サイトを通じて顧客やターゲットに何をしてほしいか?ということで、アンケートや資料請求、リクエスト、投票をしてもらうなどが、一般的な


必ず評価できるように数値化する

たとえば、ECサイトや有料サイトの場合は売り上げの増加。プロモーションサイトの場合は商品の認知度に対する貢献度。広告ベースのポータルサイトでは、 集客数や会員数の増加による露出の増加など、業態により、評価ポイントはいくつかのパターンに分かれるが、重要なのは「増減が明確にわかる数字」として結 果を導くロジックをつくることである【3】。

サイト評価の一般的なフロー
【3】サイト評価の一般的なフロー

ブランドイメージの向上や商品認知度の向上を目的とする場合は、単純にアクセスログから評価を導くことができず、評価結果があいまいになりがちだ。

しかし、ユーザーがどのコンテンツにアクセスした結果、態度変容したのかを検証することで、コンテンツの評価と、重きをおかなければならないポイントやサービスが明確にできる。

このロジックは、多くの場合「アンケート+アクセスログ+Cookie」の3つを利用し、構築可能だ。

アンケートとアクセスログは自社サイトを客観的に知るために行う「現状分析」でサイト内のアンケートのみならず、モニターへのヒアリング調査などが必要なケースもある。Cookieはサイト内での行動をタグ付けするために利用している。

評価は、いかに態度変容させたか!

サイトを評価するといっても、サイトを構成する要素のすべてが相互に関係しているので簡単ではない。

サイト内要因
●デザインテイストとクオリティ
●メニュー構成
●コンテンツ構成とクオリティ
●インターフェイス設計
●ナビゲーションのロジック
●問い合わせ対応


サイト外要因
●広告や宣伝などの集客手法
●ブランドに対するイメージ


「サイトの役不足か、商品力の問題か?、プロモーションの問題か?、ブランドの問題か?」。さまざまな要因が複雑に関係するのだが、あくまでもサイトの評価であり貢献度なので、訪問したユーザーの気持ちをどのように刺激できたかという「態度変容」に対する貢献がポイントとなる。つまり、「外的要因」はあえて無視し、「内的要因」に絞って評価の仕組みを考えなくてはいけない。

その結果、サイトに誘導されたユーザーの気持ちが
「単なる興味→より深く知りたい→実際のものを見たい」
と変化したのであれば、サイトの評価は「GOOD!」ということである。

次回は、「サイトの評価指標をつくる その2」として、評価方法の例を紹介する


本記事は2006年 7-8月号 vol.4からの転載です
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