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ITライター・山口真弘の気になるグッズラボ

2020.06.02 Tue

汗がみるみる引いていく、ペルチェ素子で首筋から冷やすネッククーラー

文:山口真弘

去年の夏、街のあちこちでその姿を見かけたのが、首にかけ、先端の2つのファンを使って涼むことができる首掛け式の扇風機です。AmazonなどのECサイトのほか店頭でも販売されたこの製品、顔の両側から送風するというユニークな仕組みで、装着したまま手ぶらで移動できる利点もあって、多くのユーザーの支持を集めました。

今回紹介するサンコーの「ネッククーラーNeo」は、それらと同じく首に掛けるタイプのクーラーです。もっとも送風ファンは備えておらず、いったいどうやって冷やすのか、外見からは見当もつきません。どのような仕組みなのかを見ていきましょう。

ヘッドホンに近い外見ですが、頭ではなく首にかけて使います。重量は150gとスマホ並
内側にはアルミ素材の冷却プレートが取り付けられており、これで首筋を冷やします

本製品は、首にかけて使用するというスタイルこそ、冒頭で紹介した首掛けタイプのファンと変わりませんが、先端部にはファンに相当する機構はなく、その代わりに首筋に直接触れる、アルミのプレートが内側に貼り付けられています。

本体にはPCのCPUクーラーにも使われているペルチェ素子が内蔵されており、電源をオンにするとそのペルチェ素子がアルミプレートを冷やし、それによって頭部を循環する血液が冷却され、体温を下げるという仕組みです。電源を入れてから効果を感じるようになるまではわずか数秒と、即効性も抜群です。

本体は、内側に折りたたむことがよって、コンパクトにまとめることができます。首振りタイプのファンはその構造からして小型化するとそれだけ効果が弱くなってしまうため、コンパクトなサイズであることは本製品の大きな利点といえます。

折りたたみも可能。首周りは37~50cmまで対応し、サイズ調整パーツも付属します
首に装着した状態。後部から伸びているのは電源供給用のケーブル
内側のアルミプレートが首の真横に来るようにして装着します
こちらは以前紹介した首掛けファン。本製品と比べると見るからに大柄です

さて実際の使い心地はというと、かなりクセがあり、合う人と合わない人がはっきり分かれるであろう製品です。まず冷却効果については、首筋に氷をあてている状態に近く、使い始めてしばらくすると、それまで感じていた暑さが嘘のように引いていきます。

これが氷であれば、冷えすぎて首から離したりくっつけたりを繰り返すことになりますが、本製品は常時首筋に装着していられる程度の冷たさなので、そういう意味でのわずらわしさもありません。温度は2段階で調整できるほか、強弱を定期的に切り替えるモードもあるので、冷えすぎたからといって外したり、また装着したりといった手間はかかりません。

一方、風を当てるわけではないので、装着の時点ですでに汗をかいている場合、それを乾かす効果はありません。それ以降にかくであろう汗をストップする効果はありますが、いまかいている汗を乾かすことを主眼に置いた扇風機やうちわと違い、文字通りの「クーラー」ということになります。

また、アルミプレートが首に触れた状態が持続するため、この時点で汗が付着しているとかなり不快なほか、こうした金属プレートが当たり続けている状態が苦手な人は、体質的に合わないだろうと推測されます。例えば、腕時計の金属バンドが苦手な人は、おそらく本製品も苦手なはずです。

アルミプレートを通じてペルチェ素子による冷却が行われます
外部給電で駆動。モバイルバッテリーを使えば持ち歩いての利用にも対応します

さらに前述の首掛けファンと比べた場合、バッテリーを内蔵せず、5V1AのUSB電源もしくはモバイルバッテリーに接続しなくてはいけないのはマイナスです。この着脱のわずらわしさ、そして約1mあるケーブルの取り回しの面倒さは、どうしても気になります。

また本製品は冷却のためにファンを利用するため、オンにしている時は少なからずファン音がします。首掛けファンに比べると運転音は控えめとは言え、静粛性を求める人にとっては、根本的な解決にはなりません。

見方を変えれば、外部電源が使えるということはバッテリー切れを心配せずに使えることでもあり、また大容量のモバイルバッテリーを使ってほぼ終日使い続けられるため屋外利用には向いていますが、このあたりは利用シーンによっても、かなり評価は分かれそうです。

容量10,000mAhのモバイルバッテリーなら連続10時間もの利用が可能です
モードは「強」「弱」のほか、交互に強弱を切り替える「ゆらぎ」にも対応します

以上のように、冷却効果は高く、サイズもコンパクト、折りたたんで収納できるなど、メリットは多数ありますが、ケーブルをつないでの給電やファン音、さらには肌に密着するアルミプレートの感触など、好き嫌いが分かれるであろう仕様も同じくらい存在しており、一部のユーザーからは熱狂的に支持される一方、買ってすぐ使わなくなる人もいるであろう製品です。

5,980円という実売価格も、冷却効果を考えると妥当という気もしますが、首掛けタイプのファンが千円前後で手に入ることを考えると、やや躊躇するラインです。すでに首掛けタイプのファンを試して、ボディの大柄さや効果が満足できず、別の解決策を探している人には、それだけのコストを払ってでも、試してみる価値はありそうです。

DATA

製品名:ネッククーラーNeo(TK-NECK2-WH)
実売価格:5,980円
発売元:サンコーレアモノショップ
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B0851Z3S2K/

山口真弘
ITライター
PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWEBや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーが主な守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など
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