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【ライフスタイル連載・デザインのある生活】第2回 キリンビバレッジ「moogy」手描き柄のボトルデザインを選べるブレンド麦茶

2020.7.11 SAT

【ライフスタイル連載・デザインのある生活】
第2回「moogy」 洋服を選ぶように、手描き柄のボトルデザインを選べるブレンド麦茶
デザインも中身も素敵なもの。そんなモノがいつも身近にあれば、日々の生活に潤いを与えてくれそうな予感……。そこで、編集部とライターが気になっているライフスタイル系のブランドを紹介していきます。第2回目は、「キリンビバレッジ」がEC専用で販売している「キリン 生姜とハーブのぬくもり麦茶 moogy(ムーギー)」。雑貨を思わせるボトルデザインもデザイナーが更新するSNSも、大手メーカーとしては画期的なアイデア尽くしです。

●構成・文:編集部、吉永美代

▼毎日に小さな幸せを。雑貨のようなボトルのブレンド麦茶「moogy」
愛らしい手描きイラストの「moogy」は、冷えを気にする女性に嬉しい焙煎大麦や生姜、ハーブをブレンドしたお茶。「LOHACO」や「Amazon」などECサイト限定で販売され、2016年の発売以来、20〜40代の女性を中心に売り上げを伸ばしています。雑貨のような温かみのあるボトルデザインは、季節ごとに4つの新しい柄が登場。気分に合わせて好きな柄を選べるところも人気のポイント。
▼EC専売だからこそ実現した、“クラフト感”あるデザイン
2016年に初登場したときのデザイン

2016年に初登場したときのデザイン

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング本部マーケティング部で、「moogy」立ち上げから関わっているデザイナーの寺島愛子さん、ブランディングを担当する嶺岸秀匡さんにお話を伺いました。

──「moogy」が誕生した経緯について教えてください。

寺島さん: もともとは、2015年の「TOKYO DESIGN WEEK」というイベントでの「LOHACO」さんの展示企画が発端です。“暮らしに馴染む”をテーマに、「LOHACO」さんとさまざまな企業とのコラボ商品を作るもので、弊社にもコラボ企業としてお声がかかりました。社内でその参加者を募集していたところに、遠藤楓、水上寛子、私の3人のデザイナーが手を挙げた形です。「LOHACO」さんはECサイトの中でも20〜40代女性がターゲットで、私たちもまさにターゲット層なので、「自分たちがあったら嬉しい商品とは?」という目線で企画をしました。

──“暮らしに馴染む”というテーマのもとで生まれたデザインなんですね。

寺島さん:暮らしに馴染むデザインとして、存在感のないシンプルなデザインも一つの方向性だとは思いますが、私たちは、毎日目にするたびに嬉しくなるお気に入りの雑貨みたいに、存在に愛着が持てるものにしたいと考えました。大抵の清涼飲料水は、喉の渇きを潤したらすぐに捨てられてしまいますが、もっと長く一緒にいたくなる、暮らしたくなるものになればと思ったんです。

──確かに、通常のソフトドリンクのデザインとは全く異なります。

寺島さん:通常、飲料のデザインでは中身が見えることがよしとされています。フィルムのデザインも、商品ロゴや使っている素材、機能性などが店頭でパッと見てわかるように、大きく表示するのが当たり前。でも今回は「LOHACO」さんでの販売が前提だったので、中味や機能性についてはサイトで説明できます。そこで中味の見えるペットボトルではなく缶ボトルにし、まるごとフィルムで包むことで、雑貨のような佇まいに。さらに、愛着が湧くような、温かな手描きデザインにしようと考えました。

──EC専売だからこそ実現したデザインということですね。

寺島さん:そうなんです。品質表示やバーコードの数字は手書き風フォントですが、ロゴやリサイクルマークは手描きなんですよ。「KIRIN」のロゴも手描きにしたくて、社長に何度も直談判して実現しました。

また「選べる」ようにしたのもこだわりです。ドリンクのボトルは年中変わらないものだけど、その日の気分や季節、コーディネートに合わせて、どれにしようと選ぶことができれば楽しいはず。そこで洋服のテキスタイルのようなイメージで、デザインに季節感を出してバリエーションを持たせることになりました。

──中味の飲料はどのように決まったのですか?

寺島さん:ターゲットである女性に毎日飲んでもらえるよう、無糖のブレンド茶に。また、冷える生活環境で過ごす女性の味方になるように、焙煎大麦や生姜、ハーブなどの”ぬくもり素材”を加えました。

嶺岸さん:どれかが少し多くなるだけでも全く味わいが変わるので、それぞれの素材の配合バランスについては何度も試行錯誤をしましたね。
▼デザイナー自身の手描きで、季節ごとに魅力的な新柄を発売
過去のパッケージ。左から「私にブーケ」「Spring has come!」「何もしない休日」

過去のパッケージ。左から「私にブーケ」「Spring has come!」「何もしない休日」

──各デザインに名前が付いていますが、どのように決めているのですか?

寺島さん:洋服のテキスタイルは柄に名前が付いているものが多いので、「moogy」の柄にも名前をつけることにしました。ネーミングは、柄を決定したあとにブレストを行なって決めています。柄を見てそこから連想されるイメージもおもしろいので。ただし名前の決定権はその柄をデザインした人にあります(笑)。

──2016年の発売当初は「春夏」と「秋冬」16種類ずつで展開していましたね。たくさんのデザインを考えるのは大変だったのでは?

寺島さん:「手描き」と「季節感」というお題だけ決めて、3人で自由にデザインをして出し合ったのですが、すごい数になって。むしろ16種類に絞り込んだ形です。苦労した点といえば、16種類ものパッケージを一挙に作るのは未経験のことだったので、製造ラインに乗せるために色々な制約をクリアするのが大変でした。最初に作った「私にブーケ」(上の画像、左参照)は今もいちばん印象深いデザインです。

──すべて社内のデザイナーさんが手描きされていたとは驚きです!

寺島さん:よく見ると、三者三様の個性があるんですよ。手描きであればメディアはこだわらず、ペンや水彩、色鉛筆のほか、消しゴムはんこを作ったりも。今は水上が部署異動になったので、私と遠藤の2人が描いています。

──2018年から、季節ごとの4回×4柄になったのはなぜですか?

寺島さん: 16種類の柄を作っていても、製造の都合で1箱に入るのは4柄くらいになるんです。「コンプリートしたい」と言ってくださる方も多かったので、季節ごとの4柄展開に変更したんですが、柄が減るマイナスイメージが付くのが心配で。結果は、欲しい柄がしっかり届くようになって、お客様にも喜んでいただいています。遠藤はそのとき作った「Spring has come!」(上の画像、中央参照)がいちばん思い入れのある柄だと言っています。

──今年からは、季節ごとの柄にシリーズ名も付きましたね。

寺島さん:16種類の柄を1年中楽しめればいいなと思って。例えばクリスマス柄だと、クリスマスを過ぎると季節はずれになってしまうので、季節感は意識しつつ、もう少し長くそばに置けるものにしていきたいと考えています。
2020年5月に発売となった「のあそびシリーズ」。左から「遠くへいきたい」「Sing a song」「夏山ハイク」「楽しい雨の日♪」

2020年5月に発売となった「のあそびシリーズ」。左から「遠くへいきたい」「Sing a song」「夏山ハイク」「楽しい雨の日♪」

──デザインのインスピレーションはどのように生まれるのでしょうか?

寺島さん:遠藤は、好きな作家さんやアーティスト、デザイナーの作品などを観て目を肥やすようにしていると言っていました。それに加えて、遠藤は山梨、私は千葉の自然の豊かなところで生まれ育っているので、2人とも自然の風景からインスピレーションをもらうことが多いと思います。

5月に発表したばかりの「のあそびシリーズ」では、登山好きの遠藤が描いた「夏山ハイク」や、昨年moogyチームで行ったフロリダの空から私がデザインした「遠くへ行きたい」、野外フェスをイメージした「Sing a song」など、旅やお出かけ先の風景から発想が生まれることも多いです。「楽しい雨の日♪」は雨と飴をかけて、消しゴムはんこを使ってデザインしました。
▼作り手の顔が見えるInstagramでファンに親しみを
「のあそびシリーズ」のイメージビジュアル

「のあそびシリーズ」のイメージビジュアル

──ターゲット層の女性からはどんな反響がありましたか?

嶺岸さん:昨年、お客様を集めたファンミーティングを開催したのですが、 年代もライフスタイルもさまざまな女性が集まってくださいました。みなさんの声で多かったのは、やはり「ボトルのデザインが好き」ということ。飲みものとしてはもちろんですが、雑貨のように暮らしを彩ってくれるところも評価していただいています。

1箱に4柄がランダムに入っているのですが、そのことも楽しんでくださっていて「おみくじみたいに引いています」という方も。またプチギフトとしても活用されているようで、「友人からもらって自分も購入するようになった」というお客様もおられました。

──InstagramなどSNSを活用した情報発信はどなたが行なっているのでしょうか?

寺島さん:私たちが自身で写真を撮り、文章を書いています。従来のドリンクのデザインは匿名性が高いものですが、「moogy」はお客様に親しみを感じていただけるよう、作り手がわかる形にして、moogyチーム3人で更新しています。作画の過程やデザインに込めた想いなどもここで発信しています。

嶺岸さん:「moogy」ではSNSの中でもInstagramといちばん親和性があるものなので、今後はさらに認知を広げられるよう、ファンの方々に自発的な発信をしていただく仕掛けも行えたらと思っています。
▼飲み物などの消費財でも、素敵なデザインなら暮らしは豊かに
「のあそびシリーズ」のイメージビジュアル

「のあそびシリーズ」のイメージビジュアル

──「moogy」以外にも、女性の気持ちを幸せにしてくれるデザインの商品が最近増えていますね。

寺島さん:「moogy」の発売当時と比べて、今は洗剤などの生活用品もデザインを意識した商品が増えていますね。高価なものを手に入れなくても、ちょっとしたことや自身の工夫で暮らしが素敵になり、毎日が楽しくなる。それはすごく素晴らしいことだし、そういうものが今求められているのだと思います。私たちのブランドも、そういう流れを応援できるものになればと願っています。

嶺岸さん:3月には、キングジムさんの「HITOTOKI」ブランドとコラボした小さく持てるマスキングテープ「KITTA」も発売しました。「HITOTOKI」も、文具でありながら雑貨のように暮らしを彩るというコンセプトで、「moogy」と共通するものづくりへの想いがあるブランドです。今後も、同じ志を持つさまざまな方たちとコラボレーションをしながら、ファンの輪を広げていきたいと考えています。
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