今回紹介するのは、定額制パーソナルスムージー「GREEN SPOON」。自分のカラダに必要な瞬間冷凍した野菜やフルーツが届くサービスです。パッケージは、25種のレシピそれぞれに異なるイラストが描かれ、SNS映えするほどおしゃれ!
瞬間冷凍の材料で栄養たっぷりのスムージーができる
Webサイトでの診断テストを元に、自分のカラダが必要とする野菜やフルーツが届くパーソナルスムージー「GREEN SPOON」。瞬間冷凍された素材に自分で水や豆乳などを加えてミキサーで作るため、加熱処理をした市販の野菜ジュースと異なり栄養素がたっぷりとれるのがメリット。2020年3月の発売以来、ヘルスケア需要の高まりとともに大きなヒットに。手掛けるのは、“たのしい食のセルフケア文化を創る”をミッションに掲げる食品スタートアップ企業「Greenspoon」です。
“食”を通したセルフケアができるD2Cブランドを
「Greenspoon」創業メンバーの1人で、プロダクト開発と広報を担当する小池優利さんにお話を伺いました。
──「GREEN SPOON」立ち上げの経緯について教えてください。
小池 CEOの田邊友則を中心に3人で創業しました。実は全員がIT業界出身なのですが、「忙しい日々の中で健康な食事をとることに難しさを感じていた」という田邊がたまたま訪れたアメリカで「予防医学」の考え方に触れたことがきっかけです。悪くなった身体を治療する、ということも大切なのですが、悪くなる前に自分の身体を気遣うということも同じくらい重要だとする考え方です。医療費の高いアメリカでは当たり前のように意識されている〝セルフケア〟の習慣を日本でも取り入れたいと考え、食の分野で挑戦を決めました。
──toCの食の事業の中でも、スムージーにしたのはなぜなのでしょうか?
小池 toCのブランドを作るにあたり、田邊の中で重要視していたことが3つあります。まず最初は「自分がほしいモノやサービスを作ること」です。私たち自身、忙しく働く中で自分のケアが後回しになりがちでしたので、手軽に楽しくカラダとココロのケアができる食品があればうれしいと思っていました。2つ目に「これから伸びる市場であること」。様々な市場を調査・分析していくなかで、ヘルスケア×宅食×冷凍食品の3軸を満たす市場で展開しようという結論に至りました。そして大事にしていたことの最後は「人の自己受容や自己肯定に繋がること」です。良い物を食べることで得られる『自分自身を大切にしている』という実感は心の健康にも大きく作用します。私たちもそういった心のセルフケアにも繋がるモノやサービスを作っていこうと決めました。
食の経験ゼロで、手探りしながら地道に商品を開発
──商品開発はどうされたのでしょうか?
小池 私たちは飲食業も製造業も全くの未経験でしたので、毎日が手探り状態でした。まずターゲットになりそうな女性たちにヒアリングを重ねたり、競合商品を試したりして調査するところから始めました。
当初は自社での製造を考えていましたが、予想以上にハードルが高く……数100以上の企業にアポ電をして、工場を探しました。現在、パートナー関係にある工場に巡り会うまでに3〜4カ月ほどかかったと思います。
──そんな苦労を経て今の工場を見つけられたのですね。商品開発の工程ではどのような点にこだわりましたか?
小池 まず「無添加」という点です。当初は最初からスムージーが完成した状態での販売を考えていました。しかし、それには法律上、加熱処理が必須になるのですが、そうするとせっかくの栄養や酵素が欠損してしまったり、味や香りを補うために添加物を入れる必要が生じたりしてしまうのです。そこで、スムージーのキットを届けて、ユーザーに作っていただく方式に変更しました。作る手間は掛かりますが、無添加で、素材の栄養素をそのままとれることのほうが大事だと考えたのです。
また、納得がいく「おいしさ」まで仕上げるのにも苦労しました。1レシピにつき7〜9種の原料を使うのですが、1gでも違うと味が変わるものも多く、最適なバランスを見つけるまでに試作と試食をひたすら重ねました。開発の様子はnoteにも書いていますので興味のある方はぜひご覧ください。
──管理栄養士がレシピを監修しているところも魅力ですね。
小池 「健康」や「美容」など個々の体質や生活習慣による様々な悩みに、応えられるスムージーが作りたかったので、監修いただく栄養士さんもかなりこだわって探しました。たくさんの方に直接会ってお話をして、いちばん「GREEN SPOON」に共感していただける方にお願いしました。
──サイトのパーソナルテストで自分に必要な栄養がわかるのも楽しいです。
小池 今、「パーソナルケア」や「パーソナルトレーニング」など、1人1人のニーズを満たすサービスが増えています。私たちは、それを食の分野でも提供できるのではと考えて、パーソナルテストを設計しました。これは私たち自身が「自分にはどんな野菜が必要なのかわからない」と感じていた実経験にも基づいています。自分自身に足りない栄養がわかる、食の知識を学ぶ目的でも活用していただけるテストが作れたと思います。
──定額制という形にもこだわりがあるのでしょうか?
小池 私たちは、“たのしい食のセルフケア文化を創る”を最終目標にしています。自分をケアしていると、自分を好きでいられますよね。食のセルフケアが習慣化すれば、自分をずっと好きでい続けられる。それには1回きりではなく、続けてもらうことが大事なので、サブスクリプションの形をとっています。
ほかにはないデザインで、Instagramでの購買に繋げて
──パッケージデザインもすごく素敵です。デザインコンセプトも併せて教えてください。
小池 デザインコンセプトは、今までになかったような〝真新しさ〟を意識しました。とにかくこれまでのスムージーとは大きく差別化がはかれるよう「おもしくてかわいい」パッケージになるよう工夫しました。
──アイスクリームのようなパッケージも既存のスムージーとは異なる特徴ですね。
小池 食べたときの食感がフローズンのアイスやジェラートのようだったので、おっしゃる通りアイスクリームのような紙容器を起用してみました。
──25種あるレシピ1つ1つに異なるイラストが描かれているのもユニークです。
小池 1つ1つのレシピにはそれぞれがもつ特徴的な効能や、飲んでもらいたいシーンを想像しながらイラストにしました。イラストレーターは、にしおあきのりさんです。イラストには使われている材料もさりげなく描かれていて、お客様には〝遊び心〟みたいなものを感じてもらえるとうれしいです。
──このパッケージのかわいさがInstagramでも話題になっていますね。
小池 InstagramなどSNSで誰かにシェアしたくなるようなパッケージ作りも意識していたポイントです。発売当初より、お客様からかわいい、おしゃれといった投稿をしてもらえるようになり、実際のご注文も、SNSを経由したものが大半です。
“自分を好きになる”食のセルフケアを浸透させたい
7月、8月、9月の3カ月間、個数限定で販売されるスムージー。左から、7月限定でアセロラの酸味と日向夏特有の甘酸っぱさがアクセントになった「Pink Wave」、8月限定で幸水・ウィリアムと2種類の梨を使った「Pair Pear」、9月限定で巨峰、クリムゾングレープと2種類のぶどうを組み合わせた「Ruby」
──ユーザーはどのような方が多いのでしょうか?
小池 私たちは、ターゲットを年齢や性別で切ってはおらず、「仕事や育児などで忙しくて自分をあまりケアできないけれど、健康的に過ごしたい人」と考えています。実際、男女を問わず、20〜50代の幅広い年齢層の方々に愛用していただいています。またコロナ禍の自粛でおうち時間が増えたため、野菜不足や食生活が気になる方々からのご注文も増えました。
継続注文をいただいているコアユーザーの方々には「自分でたくさんの材料を揃えなくていいから助かる」「GREEN SPOONと出会って食の意識が変わった」というお声もいただき大変うれしく思っています。
──この夏には、旬のフルーツを使った個数限定のスムージーも新発売されましたね。今後はどんな展開を予定されていますか?
小池 まだまだ始まったばかりのサービスなので、よりお客様のニーズを捉えた商品開発や、使いやすいサービス設計などを通じて多くの方々に楽しい食のセルフケアを浸透させていきたいと思っています。
2020.07.31 Fri