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甘いときめき、小さな宝箱

2021.04.28 Wed2022.07.28 Thu

懐かしの味が大人のスイーツに!新感覚のラムネ菓子「THE RAMUNE LOVERS」

取材・文:中村美枝(JAM SESSION) 撮影:米山典子 画像提供:チチ

古くから親しまれる「クッピーラムネ」のメーカー「カクダイ製菓」から、2021年3月にデビューした「THE RAMUNE LOVERS(ザ・ラムネラバーズ)」。現在は「ジェイアール名古屋タカシマヤ」のみで展開、連日完売が続く話題のブランドです。新感覚ラムネ菓子への思いとは?

 

THE RAMUNE LOVERSの成り立ち、コンセプトについて

今回は、1919年に創業、1963年から「クッピーラムネ」を作り続けている名古屋が拠点の「カクダイ製菓」商品企画係長の吉田由希子さんと、企画の段階から商品開発、アートディレクションに携わった「チチ」代表の藤木雅彦さんにお話しを聞きました。

──「THE RAMUNE LOVERS(ザ・ラムネラバーズ)」の誕生のきっかけを教えてください。

吉田 きっかけは2年ほど前。「ジェイアール名古屋タカシマヤ」が開業20周年を記念して食料品売り場を大規模リニューアルするにあたり、地元・名古屋の企業として、新規ブランドでの出店をお声かけいただいたことから始まりました。

「クッピーラムネ」は他社とコラボしてグッズなど展開してきましたが、新たなブランドの立ち上げと、百貨店への出店は初めて。しかも人通りが多い駅直結の食料品売り場への出店です。ラムネ菓子の可能性を広げる大きなチャレンジでもありましたから、外部の方の力も借りようということになり、開発チームには、当社の社長、製造開発次長、私のほか、多彩な分野のブランディングやアートディレクションなどに携わってきた「チチ」の藤木さんに加わっていただきました。

藤木 約2年携わったプロジェクトでしたが、企画の第一歩から携われて、大きな経験になりました。定期的に試食会、ミーティングを繰り返して食感や味わいなど改良を重ね、ブランドの世界観を構築していく。パッケージや店舗デザインのアートワークなどにも携わりました。現在も新商品の開発、店舗運営のシステム、広報業務などに関わっています。開発で生まれた生ラムネを商品として実現させるために、試行錯誤しました。キャラクターやデザインを先に作ったのではなくプロダクトが先行で、本当においしい勝負できる商品を作りながら、ブランドの輪郭を構築していった感じでしょうか。

──商品開発はどのように進めましたか?

吉田 基本的な原料や製造工程は一般的なラムネ菓子と共通する点もありますが、大きく異なる点もあります。クッピーラムネは、70℃で約20~25分乾燥させますが、乾燥前の現場で“生ラムネ”と呼ばれている、水分を含んだ状態が実はいちばんおいしいんです。乾燥させることで形状が整う、保存性が高まるなどの理由から、この工程は欠かせませんが、乾燥させることで、どうしても味が飛んでしまいます。

THE RAMUNE LOVERS(ザ・ラムネラバーズ)では、その生ラムネのおいしさと食感を届けるべく、一度乾燥させた商品をひと手間、ふた手間かけ、「生ラムネ」と「ラムネドルチェ」を完成させました。ラムネの懐の広さ、ポテンシャルをどう昇華させて、おいしいラムネ菓子として進化させられるか。そんなこだわりがクッピーラムネと大きく異なるポイントになっています。

THE RAMUNE LOVERSのロゴの原案

──ブランド名には、どのような思いを込めましたか?

藤木 ラムネ菓子は、お菓子のなかでもガムや飴のようにメジャーなポジションとは少し異なる存在。そんなラムネ菓子も「堂々ともっとスポットが当たってもいいんじゃないか!?」と思いまして。ラムネ一筋の愛を持つカクダイ製菓だからこそできる、ラムネ好きによる、ラムネを広める活動のようなメッセージ「THE RAMUNE LOVERS」をそのままネーミングにしました。

──クッピーラムネは子どもたちに人気のイメージがありますが、「THE RAMUNE LOVERS(ザ・ラムネラバーズ)」のターゲットはどのような方たちですか?

藤木 クッピーラムネになじみがある・ないを問わず、大人を意識しています。たとえば、日常の生活でちょっとした贅沢を手軽に楽しみたい30代後半以降の女性。愛知県外から出張してきて、何か新しい名古屋の土産を探している男性……百貨店のお菓子、お土産として愛されることを考えると、高級感の演出は重要だと捉えていました。

また、何より大切にしたのは、ラムネが持つ楽しさ・おいしさをもっと多くの方に届けたいという気持ちです。クッピーを知っている世代も知らない世代も、幅広くオールターゲットに愛されるブランドになれたらと思っています。

THE RAMUNE LOVERSの商品・アートワークについて

ザ・ラムネラバーズ「生ラムネ:ピスタチオラズベリー」
ザ・ラムネラバーズ「生ラムネ:ハニーレモネード」
ザ・ラムネラバーズ「生ラムネ:メロンクリームソーダ」
ザ・ラムネラバーズ「生ラムネ:オレンジティー」
ザ・ラムネラバーズ「生ラムネ:名古屋小倉バター」
ザ・ラムネラバーズ「(生ラムネ)アソートBox」
ザ・ラムネラバーズ「ドルチェ:ティラミス」
ザ・ラムネラバーズ「ドルチェ:抹茶ラテ」

──「生ラムネ」「ラムネドルチェ」は、どんな点を重視しているのでしょうか?

吉田 かなりの数のフレーバーの試作、試食を繰り返して、スタンダードのラインアップを厳選。スイーツのように素材を組み合わせたり、洋菓子を思わせる味わいに仕上げたりしました。生ラムネは、ハニーレモネード、メロンクリームソーダ、オレンジティーなど5種類。口に入れたらほろほろとほどける雪のような口どけ、素材の味を活かした高級感あふれるテイスト、ラムネが持つ爽やかさを活かした後味の残し方、お菓子そのものの佇まい……。すべてにおいて「こうしたら、もっと大人の心をくすぐることができる」ということを追求しました。

ラムネドルチェは、ラムネ×チョコレートという組み合わせをテーマに、ティラミス、抹茶ラテの2種類。生ラムネとは違う濃密さ、カリッとした食感、濃厚な味は、今までにない新しい贅沢さを手軽に感じられることをめざしています。

──デザイン面でのコンセプト、こだわりを教えてください。パッケージだけでなく、店舗、スタッフユニフォームなど、世界観が作り込まれていますね。

藤木 テーマは、ビートルズのような大らかでハッピーな世界観。ヨーロッパでもアジアでもアメリカでも日本でもあるような、また無いような。ストーリー性を感じさせるものにしたかったのと、異国感を意識しました。

店舗「ラバーズ号」のコンセプトは、世界中を旅しながらラムネの新しいおいしさや楽しさをたくさんの人たちに伝える、というもの。スタッフのユニフォーム「旅するロマ」は、このコンセプトになぞるカタチにしました。全体的に、あまり縛られずに自由で楽しい雰囲気を大切にしています。

そして、過去〜現在〜未来という時間軸をごちゃ混ぜにしたカオスなエッセンスも出せればおもしろいなと。ハイセンスすぎず、でもちょっとおしゃれに。レトロに寄りすぎず、どこか哀愁もある……といった、ちょうどよくて心地いいトーンを探りました。よい意味で少し間の抜けた、あっけらかんとした雰囲気がクッピーラムネの進化系に似合いそうだと。

さぶさんによるラフ

──パッケージでは、イラストレーターのさぶさんを起用されています。そのきっかけは?

藤木 パッケージには、キャラクター力の強いアイコニックなイラストを求めていました。SNS、インターネット、書籍などを活用して、私たちがイメージした世界観をより素敵なものに昇華してくれると判断したイラストレーターさんを候補に挙げ、連絡を取りました。最終的に何名かに絞ったところ、カクダイ製菓の社長がさぶさんの作品をとても気に入って。

作家性が高いさぶさんのイラストは、ただ単にキレイ、かわいいだけでない魅力があります。ラムネの持っている懐かしさがありながら、今も未来も感じさせる。開発チームのメンバーみんなで描いた世界観やコンセプトにもぴったりだったんです。

原案となったさぶさんのイラスト

──フレーバーごとに異なるイラストがとてもかわいいですね。動物をメインに描かれていますが、クッピーラムネを意識しましたか?

藤木 さぶさんとは、アイデアを出し合いながら世界観を作っていきました。フレーバーの素材を擬人化してみようかとか、組み合わせたらどうなるとか。たどり着いたのが、生ラムネは動物、ラムネドルチェは女性を描いた映画のワンシーンみたいなイメージです。フレーバーのイメージも盛り込み、キャラクターに名前を付けました。

店舗のラバーズ号は「トラフ建築設計事務所」との協働なのですが、デザインは世界各地をめぐる移動式のKIOSUKUをイメージして描いてもらった、さぶさんのイラストが原案。イラストををおおもとに店舗の全体館を描き、設計図に落とし込む過程などを楽しんでいただきました。商品、パッケージ、店舗……ブランド丸ごとで“ラムネラバーズによる、ポジティブでハッピーなムーブメント”が表現できたのではないかと思っています。

藤木 さて、デザイン面でクッピーラムネを意識したかですが、クッピーラムネには商品の顔といえるクッピーとラムという認知度の高いウサギとリスのキャラクターがいます。でもTHE RAMUNE LOVERS(ザ・ラムネラバーズ)は、クッピーラムネとはまったく違うラインのブランドです。差別化を図って露出しないことになりましたが、古くからのファンをがっかりさせたくないので、遊びで取り入れることに。「アソートBox」の箱の中にクッピーとラムがワンポイントであしらわれていますので、ぜひ見つけてみてください!

お菓子ギャラリー

ザ・ラムネラバーズ「生ラムネ:メロンクリームソーダ」40g 810円(税込)

メロン果汁を贅沢に使用した「生ラムネ:メロンクリームソーダ」。「メロンソーダを飲んだときの喜び、子どもの頃に感じた懐かしさを表現。そこに、大人も満足できる高級メロンの味わいを融合しました。イラストでこだわったのは、バニラアイスを“シロクマ化”すること。名前はアイスクマ。幸福感も意識しています」(藤木さん)

ザ・ラムネラバーズ「生ラムネ:名古屋小倉バター」40g 810円(税込)

「生ラムネ:名古屋小倉バター」は、名古屋名物の小倉トーストをラムネ化。キャラクター名は、あんちゃん・バタちゃん。「小倉のこってりとした味わいにちなみ、まったりするのが大好きなあんちゃん。どんな素材ともマッチしつつ、自分の存在感をアピールする元気さにあふれたバタちゃん。小倉+バターの融合を、キャラクターの仲睦まじい様子で表わしています」(同上)

ザ・ラムネラバーズ「生ラムネ:アソートBox」5袋入り1,620円(税込)、15袋入り3,888円(税込)

生ラムネ5種を詰め合わせた「生ラムネ:アソートBox」5袋入り、15袋入り。「お子さまが見たら心が思わず踊り、大人はキュンとする懐かしさを感じる。そんな世界観を表現しました。側面の生ラムネ5種類のキャラクターは、単品のパッケージとは違うのほほんとした姿をしているのもポイント。蓋を360°囲むように敷き詰めたLOVERSのVのハートは、ずっと続く幸せを表現しています」(同上)

ザ・ラムネラバーズ「ラムネドルチェ:ティラミス」50g 918円(税込)

チョコレートをコーディングしたラムネ「ラムネドルチェ:ティラミス」。「生ラムネのキュートイメージとは打って変わって、ムーディーな映画のワンシーンのように仕上げました。テーマは“会えない2人”。ティラミスの女性にだけ“ミス・ティラミス”という隠れネームが付いています」(同上)

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