• はてなブックマーク
  • RSS
  • Line

甘いときめき、小さな宝箱

2021.12.03 Fri

まるで絵本の世界!江戸時代創業の和菓子店が作る、かわいい干菓子「おさとうのまほう」

取材・文:中村美枝(JAM SESSION) 撮影:米山典子 画像提供:越乃雪本舗 大和屋

1778年に創業した新潟県長岡市の老舗和菓子店「越乃雪本舗 大和屋」が手がける、カラフルでかわいい干菓子のシリーズ「おさとうのまほう」。パッケージもお菓子そのものも、絵本の世界を訪れたような、ノスタルジックで優しいテイストであふれています。干菓子の新たな魅力を発信する「おさとうのまほう」について、話を伺いました。

おさとうのまほうの成り立ち、コンセプトについて

今回は、「越乃雪本舗 大和屋(以下、大和屋)」の11代目を担う、専務取締役の岸佳也さんに話を聞きました。

──歴史ある和菓子店「大和屋」から、「おさとうのまほう」はどのような経緯で誕生したのでしょうか。

 大和屋では創業当初から、越後特産の餅米を独自の製法で粉砕した粉と四国特産の和三盆糖を押し物にした、当店の代表銘菓「越乃雪」を作り続けてきました。

そんな「越乃雪」をはじめ、大和屋がもっとも得意とするお干菓子の魅力を、もっと多くのお客様に伝えたいという思いから「おさとうのまほう」を2015年にスタートしました。

お菓子の見せ方やパッケージなどは今風に仕上げながらも、製法や味わいは伝統から外さないという点に気を付けて、琥珀糖の「こはくの つみき」「万華鏡のかけら」、和三盆打ちの「おいしい おえかき」、有平糖(飴)の「あまい おはじき」の4アイテムを展開しています。

──「おさとうのまほう」というネーミングがかわいらしいです。名称に込めた思いや、その由来は?

 砂糖をベースにお干菓子を作る場合、和三盆打ちはマットな質感に仕上がりますが、製法を変えて、琥珀糖、有平糖を作ると、透明感が出てきます。

琥珀糖はすりガラスのような趣の透明感、有平糖はさらに透明度が増してくる。そんな風に作れる様が、まるで魔法のようだなという思いからネーミングしました。

──「文具女子博」にも出店されていましたが、ターゲットは主に女性なのでしょうか?

 ターゲットを若い女性、大人の女性に絞ったわけではないのですが、結果としてそういったお客様から支持をいただいております。文具女子博のお客様の層にも受け入れられているようで、大変嬉しいですね。

おさとうのまほうの商品・アートワークについて

──「おさとうのまほう」を作るにあたり、どのような点にこだわられましたか?

 シリーズ第1作目の「こはくの つみき」は、木馬やクマのぬいぐるみなどのつみきの形をした琥珀糖、絵本調のパッケージと、現代を意識して、ひとつの商品に多くの要素を詰め込みました。

新しい感覚のようにも思えますが、抽象的な形状は和菓子の基本でもあります。和三盆や落雁などのお干菓子だけとっても、作り手たちが季節の草花や情景などを思い思いに表現して作ってきました。そうした和菓子の伝統的なエッセンスも忍ばせて表現しています。

──どのような製法で作っているのですか?ほっと心が和むような優しい味わいも魅力的ですね。

 製法は大和屋がこれまで紡いできた伝統の技術・味わいを大切にしています。例えば「こはくの つみき」は、寒天と砂糖を煮詰め、冷やして固めたものを乾燥させた琥珀糖をつみきの形にかたどりました。

「おいしい おえかき」はクレヨンの形をした和三盆のお干菓子です。日本の伝統色をイメージし、その色にあったフレーバーを付けていますが、あくまでもフレーバーは香る程度で。お干菓子の範疇から出ないよう気をつけながら作っています。

──「おさとうのまほう」は見た目も愛らしく、懐かしさやあたたかみを感じる絵本のような世界観にときめきます。絵を手がけられたtikiさん、文を担当されたsui sui suuさんについて教えてください。

 大和屋は私の妻の実家でして、絵を担当したtikiは妻の姉、私の義姉にあたります。「おさとうのまほう」シリーズのお菓子は職人が作っていますが、その構成や色合いなどは妻と義姉が担当しました。ここ大和屋で生まれ育った姉妹が手がけたこともあり、開発はあうんの呼吸で比較的早く進んだという印象です。

そしてsui sui suuさんですが……。実は義姉の知人なのです(笑)。ですので、「おさとうのまほう」は個人的なプロダクト感が強いのですが、その分、他店との差別化やテイストのブレのなさにつながっているのかなと思っています。

ギャラリー

まわりはサクサク、中は少し固めのゼリーを思わせる優しい口当たりの琥珀糖「こはくの つみき」1,296円(税込)。パステルカラーのかわいらしい色合いも印象的。「おさとうのまほうシリーズのフラッグシップ的なお菓子。店頭ではお客様に選ぶ楽しみを持ってほしいとの思いから、3色の箱からお選びいただけます」(岸さん)

透明度が高く、鮮やかな色彩にも心が躍る「あまい おはじき」875円(税込)。「砂糖に少量の水あめを加えて煮詰め冷ましてから細工を施す、伝統製法の飴・有平糖をおはじきの形にしました。おはじきの遊び方のしおりを付けています」(同上)

まるで本物のクレヨンのような「おいしい おえかき」1,782円(税込)は口の中ですーっと溶けていく、和三盆の優しい甘みが特徴。「春夏バージョン、秋冬バージョンの2タイプで展開し、どちらも8色8種のフレーバーを用意しています」(同上)

シリーズ4作目として2016年に発売した「万華鏡のかけら」1,242円(税込)。食べた後のパッケージは、万華鏡にDIYも可能。「これまでの商品の反省点や良かった点を活かしました。移ろう万華鏡の一瞬を切り取ったような丸い琥珀糖を3色入れています」(同上)

読込中...

Follow us!

SNSで最新情報をCheck!

Photoshop、Ilustratorなどのアプリの
使いこなし技や、HTML、CSSの入門から応用まで!
現役デザイナーはもちろん、デザイナーを目指す人、
デザインをしなくてはならない人にも役に立つ
最新情報をいち早くお届け!

  • Instagram