
「ソーシャルメディア市場を揺るがす
データポータビリティとは?」
2008年6月18日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
ポータビリティとは“持ち運びできる”という意味である。つまり、「データポータビリティ」とは“自分のデータを持ち運びできる”という意味になるが、この場合はブログやSNSなどの複数のソーシャルメディアに置いた自分のプロフィールやコンテンツを、ユーザーが好きなときに好きな目的で、流用できるという意味を指している。
似た言葉で、ナンバーポータビリティという用語は読者の多くが耳にしたことがあるはずだ。文字通り、携帯電話の番号を変えず、現状のキャリアから他のキャリア、たとえばドコモからソフトバンクへと移行することができる制度である。この制度が施行されて以来、ドコモからのユーザー流出が続き、ソフトバンクの快進撃を許す結果となっている。
データポータビリティの場合は、ブログやSNSで使っているプロフィールや友人のリストなどの情報を、他のサイトにおいても自由に、そして安全に流用できるような仕組みを意味しているが、SNSなどのソーシャルメディアにとっては、せっかく大きなコストをかけて集めたユーザーの情報が流出することになり、必ずしも諸手を上げてどうぞ、とはいいづらい。従って、データポータビリティ実現の方向には進んでいるものの、慎重な姿勢を崩せずにいる。
米国ではMySpaceやFacebookなどの大手SNSが既に独自にデータポータビリティを実現するための仕様を公開しているが、先述のケータイキャリアの例を引くまでもなく、ソーシャルメディア市場の勢力図の激変を招きかねないだけに、今後の動きには特に注目したほうがよいだろう。

[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



