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三戸なつめの東京文具さんぽ

2022.10.12 Wed

有名アーティストたちに愛される!銀座「月光荘画材店」【三戸なつめ×東京の文房具店】

構成:編集部 取材・文: 水澤舞衣子 撮影:米山典子 ヘアメイク:桂川あずさ(CANNA)

文房具好きとして知られる女優でモデルの三戸なつめさんと、東京の文房具店に“ときめき”を探しに行く連載「三戸なつめの東京文具さんぽ」。第11回は、銀座の「月光荘画材店」へ。月光荘画材店は、大正6年に創業。日本で初めて純国産絵の具を開発しました。オリジナル製品のみを取り扱い、多くのアーティストたちに愛されている画材店です。

月光荘画材店ってどんなスポット?
アートを通して“美しい暮らし”を提案し続ける画材店

創業時は新宿に店舗を構えていたという「月光荘」。当時の店舗が空襲で焼け、銀座の街で再スタートを切りました。2006年、新橋駅と銀座駅からの徒歩圏内である現在のビルに移転し、今年で創業から105年。道沿いから少し奥まったところにある店舗入り口にはトレードマークであるホルンの看板が飾られています。

月光荘という名前は、創業者の橋本兵藏さんが懇意にしていた歌人・与謝野鉄幹さん、晶子さん夫妻が名付けたもの。トレードマークの「友を呼ぶホルン」も、与謝野夫妻を中心とした文化人の集いにより考案され、音を奏でて多くの人に集ってほしいという願いが込められています。

店内にある画材や文房具は全てオリジナルのアイテム。作家たちの要望や想いに応えるようにさまざまな商品を生み出し、その商品から生まれた芸術作品も数多くあるそうです。

月光荘画材店の魅力その1
日本で初めて!試行錯誤して生まれた純国産の絵の具

月光荘が創業した頃、画家や音楽家、小説家などあらゆるジャンルの文化人たちが集う「サロン」が流行。創業者の橋本さんもそこに出入りするうち、友人の画家たちが絵の具の入手に苦労していることを知ります。当時の絵の具はほとんどフランス製で、輸入品のため高額。さらに船便が届くまでに時間がかかるなど、使いたいときに必要な色がないことも多かったそう。

情熱を持って作品づくりに取り組む画家たちのために、純国産の色鮮やかな絵の具を作ろうと決意します。何度も試行錯誤を繰り返し、日本で初めて、顔料から作られた油絵の具が完成したのは創業から23年後。そんな絵の具は現在も多くの人たちに愛され続けています。

月光荘を代表するカラーのひとつ「コバルトバイオレットピンク」

月光荘の絵の具は、粒子が細かく、不純物を入れないことで長時間経っても退色しにくいのが特徴です。油絵の具は最初の一本となった「コバルトブルー」を含む80色をラインナップ。1971年に世界絵の具コンクールで1位を受賞した「コバルトバイオレットピンク」は「フランス以外の国で生まれた奇跡」と絶賛され、世界で“月光荘ピンク”と呼ばれています。水彩絵の具は透き通るような透明水彩が24色、顔料の多い不透明水彩の「ガッシュ」が32色そろいます。

これから絵を始めたいという方には透明水彩の「コバルトブルー」「イエローライト」「トライアンローズ」の3本がセットになった「3原色セット」がおすすめ。色同士を混ぜて新たな色を作り出すだけでも楽しむことができます。

不透明水彩の「ブリリアントイエローライト」。かわいい子豚をイメージさせます

絵の具には詩のような言葉が添えられており、色の世界観が情景として浮かんできます。三戸さんが注目した「ブリリアントイエローライト」は「生まれたての子豚の肌」。「思わず声に出して読みたくなりますね!」とじっくり絵の具の棚を眺めていました。

月光荘画材店の魅力その2
筆やパレットなど“描く道具”にもこだわりがいっぱい

店内の商品全てがオリジナルの月光荘。もちろん筆やパレットもこだわりの詰まった名品がそろいます。筆は銀座で職人が一本ずつ手作りしている貴重なもの。豚や馬などの毛を使ったコシの強い筆は、長く使っても絵の具に負けず崩れにくい仕上がりです。持ち手には天然の白木が使われているのだそう。パレットは最も色が正確に見えるとされている「猫柳色」のアルミ製。軽くて丈夫で絵の具が染み込まず、目も疲れにくいという優れもの。

今年2月に発売された「月光荘カラーコンテ」は、鮮やかなカラーが目にも楽しいクレヨンタイプの画材です。なんと窓ガラスにも自由に描けて、水拭きで消せるという画期的なアイテム!もちろん紙に描くこともできて、水筆を使えば水彩絵の具のような滲みを出すことができます。口に入っても安全な素材でできているので、子どももおうちでのびのびお絵描きを楽しめそうです。

三戸さんも店内のガラス窓に試し描き。「スルスルと伸びが良くて描きやすいですね!」とあっという間にたくさんの絵を描いてくれました。

月光荘画材店の魅力その3
カラフルな表紙のスケッチブックで描く楽しみを味わう

絵画の下描きにも使用されているスケッチブックは、キャンバス地にあわせたF規格で展開しています。表紙はカラフルな6色をラインナップし、中紙も全部で6種類。

最も厚手で、水をつけてもたわみにくい「特アツ」は本格的な水彩やインクでの描画におすすめ。滑りの良い薄紙の「ウス」は枚数も多く、デッサン向きのアイテムです。「ウス」をベースに淡い青色の点が入った「ウス点」は、松下電器の創業者である松下幸之助さんのリクエストから生まれた一品。スケッチを描くときのガイドにもなる青点は、コピーしても感光せず、薄手の紙がトレースにも使いやすいためデザイナーや建築家に重宝されているのだとか。スケッチブックは、2008年にグッドデザイン賞を受賞。さまざまな人の声に応えて商品を開発してきた月光荘の想いがここにも現れていました。

豊富な種類で、メモ帳、創作、デザイン用など人それぞれの楽しみ方が。リングが表紙の内側に収まっているのも特徴で、棚や鞄から出すときに引っかかりにくい仕様。ぎっしり詰まった店内の棚からもするりと取り出せ、使い勝手の良さを感じます。

月光荘画材店の魅力その4
絵を描かない人でも持ちたくなる魅力的な雑貨がズラリ

創業者が愛用していたマグカップの復刻版。大きな持ち手で持ちやすい

画材店ながら、絵を描かない人のファンも多い月光荘。クリップやマグカップなど日常を彩るアイテムがたくさんラインナップしています。

軽くて丈夫な帆布の布製バッグも大人気。形や色もバリエーション豊かで、画材の持ち運びはもちろん、日常のあらゆるシーンで活躍します。「ホルンのマークがかわいいし、中身も取り出しやすそう!」と三戸さんもお気に入り。

「絵を描かない人でも手紙は書くでしょ」と、便箋やカードなどの手紙アイテムも。「ユーモアカード」にはかわいらしいイラストに心をくすぐるポエムが添えられています。言葉を大切にしていた創業者の橋本さんの想いを感じてみてください。

普段から絵を描くなど創作活動に勤しむ三戸さんは、始終店内のあれこれに興味津々。「ビルの入り口から少し奥まったところにあるので、入った瞬間から隠れ家のような世界観に浸れますね。カラフルな絵の具が並んでいて、すごくワクワクするお店です。絵の具も使えてのびのびと描ける試し描きコーナーでは、描くことや色の楽しさをたっぷり味わわせてくれます。ユーモアカードを一点ずつじっくりと眺めてクスッと笑えて、画材以外にも充実したアイテムがこの空間にギュッと詰まっているのでつい長居してしまいそうです」。

月光荘は、普段絵を描かない人でも思わず手に取りたくなる画材や文具、生活雑貨がたくさんそろう唯一無二のお店です。芸術の秋にこそ、ぜひ訪れてみてください。

「月光荘画材店」で三戸さんがセレクトしたアイテムは10月26日(水)に公開予定です。

おまけ♡月光荘画材店の魅力あれこれ

カラフルな絵の具がたくさん!
試し描きもできます
三戸さんが描いたのは……不思議な太陽でした!
厚紙で作られたカルトン
月光荘のポストカードが本になった「エノグ屋の言葉集」
思わずキュン♡となる言葉とイラストが詰まっています
額装で使用されるマットの切れ端を使ったパレット型のかわいいカード
レターセットなどの販売も
新聞みたいな大きさのカタログ
同じビルの地下1階にはギャラリーがあり、創業者の写真も飾られています

DATA

店舗名月光荘画材店
住所東京都中央区銀座8-7-2 永寿ビル1F・B1F
アクセスJR・東京メトロ新橋駅から徒歩3分、東京メトロ銀座駅から徒歩8分
問い合わせ先03-3572-5605
公式サイトhttps://gekkoso.jp/

プロフィール

三戸なつめ
俳優、タレント、モデル
1990年2月20日生まれ。奈良県出身。2015年に中田ヤスタカプロデュースによる『前髪切りすぎた』でアーティストデビュー。2018年より本格的に俳優としても活動を開始。2020年11月より放送が開始されたNHK連続テレビ小説「おちょやん」では実母役に挑戦。2021年秋公開の映画「シノノメ色の週末」ではトリプル主演で出演するなど、今後も多数のドラマや映画の出演を控えており、モデル、タレント、女優として幅広いジャンルで活躍している。
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