普段、自分自身の体調管理はどのように行っていますか? 健康診断、人間ドックも大切ですが、日々しっかりと身体の状態を知っておきたいもの。そこでおすすめなのが、「脈」によるセルフチェック。いつでもどこでも手軽に確認できるので、毎日のルーティンとして取り入れてみてください! 教えてくれるのは、鍼灸院「アキュサリュート高輪」の院長・瀬尾港二先生。イラストは、お笑いコンビ蛙亭の中野周平さんです。
手首を使って、脈を取ってみよう
瀬尾 手首を使った脈の取り方を紹介します。まずは、右手首を背面から包み込むように左手を回してください。右手首にある橈骨茎状突起(とうこつけいじょうとっき)を基準に、そのすぐ内側に左手の中指の先を添えて動脈を感じます。この部分が「関上(かんじょう)」といいます。そして関上の上、人さし指に当たる部分が「寸口(すんこう)」。関上の下、薬指に当たる部分が「尺中(しゃくちゅう)」です。
ストレスがあると「弦脈」の可能性
瀬尾 脈の強さや速さは24種類で区分されますが、セルフチェックで覚えておきたいのが「弦脈(げんみゃく)」。名前の通り「弓の弦のように硬く、跳ねる感覚の脈」のことです。交感神経が優位となり、血管が収縮している状態です。つまり、ストレスがあると弦脈になりやすいと言えます。
ほかには、指でグッと脈を抑えないとわからないほど弱い「沈脈」や、軽く触れただけでわかる「浮脈」も。自分だけでなく、周りの人と脈を比べてみるとその差がわかりやすいでしょう。
「関上」の脈でストレスチェック
瀬尾 では、左右の関上の脈で、簡単にストレスチェックをしてみましょう。右の関上の脈を皮膚表面で一番強く感じる(上下に比べてよりわかる)場合は、「胃気上逆」と言って、胃の状態に問題があるかもしれません。胃の気が上がっていて、胃が熱を持っている状態です。お酒を飲んだり、辛いものを食べたり、口内炎ができているときなどにも感じやすくなります。胃がギュッと収縮しているときは、交感神経優位になっている場合が多く、逆流性食道炎やストレス過多の可能性も。そんなときの対策として、右腕の内側、手首から親指2本分の位置にある「内関」のツボを押すのがおすすめです。
内関の位置はこちらの記事をチェック
瀬尾 左の関上の脈を一番皮膚表面で強く感じる場合は、「胆気上逆」の傾向に。耳や顎、首、偏頭痛など、身体の横のラインが詰まる不調が起きやすい状態です。突発性難聴などの前兆かもしれないので、注意が必要です。
脈によるセルフチェックで、健康状態をこまめにチェックする習慣を! 舌で健康状態を確認する「舌診」も合わせて行ってみてくださいね。
- 瀬尾港二
- アキュサリュート高輪院長
- 1960年宮崎生まれ。ICU理学科卒業後、北京中医学院(現北京中医薬大学)針灸推拿学部に入学。在学中から気功や武術の大家に師事。92年卒業。2010年にアキュサリュート高輪を開設。一般社団法人日本中医薬学会理事・事務局長、神奈川衛生学園専門学校非常勤講師、東京医科歯科大学非常勤講師。著書に「図解 よくわかる東洋医学―漢方薬・ツボ・食事、3つの養生法で治す」「家庭でできる漢方〈4〉不眠症―原因・タイプ別 眠れるからだに体質改善!」など。
2024.04.12 Fri