パソコンやスマホ、タブレットなど電子機器が手放せないクリエイターやデスクワーカーにとって「眼精疲労」は悩みの種。単純に目が疲れるだけでなく、充血やかすみ、頭痛や肩こりなどを引き起こすことも。目を使い過ぎる前に休めることが大切ですが、今回は疲れを感じたときの東洋医学的な回復方法もレクチャー。教えてくれるのは、鍼灸院「アキュサリュート高輪」の院長・瀬尾港二先生。イラストは、お笑いコンビ蛙亭の中野周平さんです。
頭痛を引き起こす可能性も。「眼精疲労」に要注意
瀬尾 目のかすみや充血、痛みなど、目の使い過ぎで起こる眼精疲労。PCやスマホを日常的に使い、目を酷使している現代人にとって、とても身近な不調のひとつです。眼精疲労が悪化すると、頭痛や肩こり、ドライアイなどを引き起こしてしまうこともあります。
温める、ツボを押す。目をいたわるための簡単セルフケア
瀬尾 眼精疲労や目の不調を防ぐため、簡単に実践できるセルフケアをご紹介します。
1)休ませる
まずは目を休めること。目の周りの筋肉が使い過ぎで固まってしまう前に休憩し、血液の流れを促しましょう。 |
2)温める
蒸しタオルや温熱アイテムで温めることがおすすめ。温める・冷やすを繰り返すのもOKです。 |
3)充血の場合は冷やす
充血タイプの疲労には冷やすことがおすすめ。ハブ茶(漢方ではケツメイシのこと)も効果的。 |
4)目に良い食べ物を食べる
クコの実(ゴジベリー)、ブルーベリーなどのベリー系がおすすめ。 |
5)目の症状にいいツボを刺激する
光明(こうめい):外くるぶしから5寸(手の親指5本分)上の位置。目の乾きに潤いを与えてくれるので、ドライアイに効果的。 |
太衝(たいしょう):足の甲の親指と人さし指の間にあるくぼみ。こちらの記事で太衝を紹介しているので参考に。人間関係でストレスを感じたときにおすすめのツボ |
3分間じっくり丁寧に。目の回復におすすめのアクション
瀬尾 ここからはより丁寧に、目を回復させるための動作をお教えします。一連の動作を30分に1回、3分ほど続けてやってみるのがおすすめです。
1)目の周りのツボを押す。目の下は人差し指、目の上は親指を使う。
晴明(せいめい):目頭のやや上 |
承泣(しょうきゅう):黒目の真下のくぼみ |
太陽(たいよう):目尻と眉尻の中間から親指一本分耳側にずれたくぼみ |
攅竹(さんちく):眉頭の少し下にある小さなくぼみ |
2)続けて、目の運動を行う
1. 胸の前で空気を撫でるように両手をゆっくりと動かす。 |
2. 手のひらを顔に向け、ぼんやりと見つめる。 |
3. 手のひらを見つめたまま、手を顔の上、下、左、右、左上、右下、右上、左下へと動かす。顔の位置を動かさずに視線だけ移動させる。 |
4. 同様に手のひらを見つめたまま、手を右回りに3回転、左回りに3回転させる。 |
5. 手のひらを目の前にかざし、目を閉じる。手のひらの温かさを目で感じる。このとき目から手を離したり近づけたりしてもよい。 |
6. 風池(ふうち・後頭部の髪の生え際)のツボを親指で押す。目に向かってぐーっと力を入れるイメージで行う。 |
以上、眼精疲労におすすめのセルフケアでした。次回は肩こりがテーマ。公開は、2024年3月8日(金)を予定しています。
- 瀬尾港二
- アキュサリュート高輪院長
- 1960年宮崎生まれ。ICU理学科卒業後、北京中医学院(現北京中医薬大学)針灸推拿学部に入学。在学中から気功や武術の大家に師事。92年卒業。2010年にアキュサリュート高輪を開設。一般社団法人日本中医薬学会理事・事務局長、神奈川衛生学園専門学校非常勤講師、東京医科歯科大学非常勤講師。著書に「図解 よくわかる東洋医学―漢方薬・ツボ・食事、3つの養生法で治す」「家庭でできる漢方〈4〉不眠症―原因・タイプ別 眠れるからだに体質改善!」など。
2024.02.22 Thu