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Web解析ツールの実践的活用指南 第4回 直帰率でサイトの最適化をする

2024.5.18 SAT

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Web解析ツールの実践的活用指南


全日空システム企画(株)  安西 敬介
文=
安西 敬介 全日空システム企画(株)
ANAのWebサイトのマーケティング・分析支援を行う



第4回
直帰率でサイトの最適化をする


サイトに訪問があっても、1ページだけで帰ってしまってはコミュニケーションをとるどころか、声すらかけられない。そこで今回は直帰率に注目したサイトの最適化について触れてみたい。


前回はコンバージョンポイントをサイトのゴールとして、流入からゴールまでの流れを追う中で、サイト全体の最適化について触れた。今回は流入部分にフォーカスし、直帰率について深掘をしていきたい。

まず、直帰率とは「来訪した訪問者のうち、1ページだけを参照して帰ってしまった人数(直帰数)を、訪問者の人数(流入数)で割った」割合を表している。この指標はより低いほうが良い傾向であることを表している。

直帰率=直帰数(1ページだけを参照して帰ってしまった人数)÷訪問者数

最終的なサイトのゴールであるコンバージョンを達成するには、流入してきた訪問者を適切にコンバージョンポイントに誘導する必要がある。しかし、サイトに訪問するなりすぐに帰られてしまっては、ゴールに誘導するどころか声すらかけられない状態だ。

ここで、この連載の第1回や2回で例に挙げたダミーのECサイト「Sakulife」を例に考えてみたい。「Sakulife」のある1日当たりのサイト全体の訪問者数は2,300人。そのうち直帰をしてしまった人数は1,580人であった。この場合、サイト全体の直帰率は約68%となる。また、各ページごとに計算をした場合、【1】のとおりであった。

【1】ダミーのECサイト「Sakulife」を例に直帰率を出してみた
【1】ダミーのECサイト「Sakulife」を例に直帰率を出してみた


サイト全体を評価するのであれば、サイト全体の直帰率を求めるのがよいだろう。個々に改善をしていくのであれば、やはりページごとの直帰率を計算していく必要が出てくる。

最近ではSEO対策なども、一般的な手法として取り入れられるサイトも多くなってきている。確かにSEOは流入を確保するためには良い手段だが、サイトのその先に誘導するまでの手法にはなっていない。SEOによって確保した流入を無駄にせず、訪問者をよりサイトの奥に誘導していくためにも、直帰率対策をきちんと行っていく必要がある。


直帰の原因を3つのポイントに分けて考える

流入したキーワードとページの内容が合っていない

直帰してしまうのには、いくつかの原因が考えられるが、すべてにおいて共通するのは「興味があって遷移したけど、期待していた内容と違った/わからなかった」ということである【2】。

【2】直帰率が高くなってしまうおもな理由
【2】直帰率が高くなってしまうおもな理由

直帰率を改善していくには、これを意識しながら、下記のポイントをページごとに解消し、サイト全体の直帰率を下げていく必要がある。

サーチエンジンからの流入は通常の検索結果として表示されるオーガニック(自然)流入とキーワードごとに広告スペースを買って表示している有料のリスティング広告からの流入がある。直帰率の改善を考えるには、これらの違いも意識しておく必要がある。

リスティング広告やバナー広告などから流入する訪問者は、サーチエンジンや提携サイトに表示された広告に記載されたキーワードをもとに流入をすることになる。

これら広告をクリックするのは、記載されているキーワードが自分の期待するものであった場合だ。しかし、もし遷移をした先に期待したキーワードに答えるものがなかった場合はどうであろうか。ふつうの訪問者であれば、別のサイトを探すために、サーチエンジンや提携サイトに戻ってしまうだろう。流入元になっている広告のキーワードとランディングするページの内容を比較し、内容に乖離があれば広告のキーワードもしくはページの内容を改善する必要がある。

オーガニック検索でも基本的に同じであるが、リスティング広告などと違い、流入元を変更することはできないため、ページに埋め込むキーワードの選定や構成に手を入れる方法で対応を行う。Web解析ツールではページごとに流入した検索キーワードを知ることができるものも多い。こういった機能をうまく利用すれば簡単に改善ができるだろう。

ランディングページからのアクションの仕方がわかりにくい

対象のページが流入元のキーワードと一致しているものの、訪問者がランディングしたページからどのようにアクションしたらよいか、わかりにくい場合も直帰をさせてしまう可能性がある。

再度ページを見直し、以下のポイントを検証してみるとよいだろう。

次に期待されるアクションをすぐに理解することができるか?
期待されているアクションを複数設けていないか?
アクションをするためのボタンはファーストビューに入っているか?

ユーザビリティは「待たせない、考えさせない、混乱させない」を気をつける必要がある。「次に期待するアクション」がわかりづらかったり、複数存在してしまっていると混乱の原因となり直帰してしまう。

どんな人が、どんなタイミングで、どのようなことを求めて来訪しているかを再度見直し、ページを修正していくことを行っていきたい。

見直しをしていく中で「次に期待するアクション」がたくさんあり、ひとつに絞り込めていないページが出てくることがある。この場合、ページ自体のターゲティングができていない可能性が高い。来訪しているセグメントとページを再定義し直し、必要なら分割するなどの方法をとるのがよいだろう。

そもそも流入元のトラフィックがターゲットと違う

以上のような改善を行っても直帰率が改善しない場合、そもそも流入しているトラフィックのセグメントがサイトの目的と合わないセグメントである可能性が考えられる。

流入元を確認し、どのような動機で自分のサイトに来訪しているかを検討し、サイトのコンバージョンが一致するものか再度検討していく。もし、あまりにも違うのであれば、早めにマーケティングセグメントを設計し直し、バナーの設置サイトやキーワードをきちんと選定し直すなど、違う場所からのトラフィックを確保したほうがよいだろう。


直帰率の改善ポイントを洗い出す

直帰率を改善するための方法を見てきたが、実際にサイト運営に利用する場合、入り口となるページすべてに対策を行うことは難しい。そこで、サイト全体の直帰率に大きく寄与しているポイントを洗い出す参考となる計算方法を伝えておきたい。

直帰率改善指標=(ページ直帰率-サイト全体直帰率)×ページ入り口数

これを計算するとサイト全体の直帰率よりも低いものは値が?(マイナス)となり「直帰率改善指標」は低くなる。逆にサイト全体の直帰率に対し直帰率が悪く、流入数も多いページではこの指標が大きくなる。

先ほど例に挙げた「Sakulife」のA~Dのページについて、それぞれ計算をすると【3】のようになった。ページごとの直帰率を計算した場合、直帰率がもっとも悪かったのがDページの90%であったが、この計算を行うとAページがもっとも改善指標が高いことがわかる。

【3】ダミーのECサイト「Sakulife」を例に、今度は直帰率改善指標を出してみた
【3】ダミーのECサイト「Sakulife」を例に、今度は直帰率改善指標を出してみた


実際に改善施策を行うと、Dページで直帰率を5%改善した場合、サイト全体の直帰率は約68%のままとほとんど変わらない。しかし、Aページを改善し直帰率が5%改善した場合、サイト全体の直帰率は約66%と変化していることがわかる。

このように直帰率改善指標を参考にしながら値の大きいページから対応することで、サイト全体の直帰率を効率よく改善していくことができるようになるだろう。

まとめ

最近ではランディング・ページ・オプティマゼイション(LPO)などといってリスティング広告から流入したトラフィックを、より効果の高いものにするための方法などが語られるようになっている。

せっかくお店に入ってもらったのだから、すぐに帰ってもらわずにお店を楽しんでもらい、気に入った商品があれば買ってもらう。そういった訪問者の動きを意識することで、コンバージョンもさらに高くなる。

流入だけに頼らずに、サイトを最適化することで、より燃費の良いサイトを目指していってほしい。


本記事は『Web STRATEGY』2008年1-2 vol.13からの転載です
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