第1回 勝手広告って何だよ。 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて
クリエイターのライフハック できる人の仕事術を盗め。


第11章 勝手広告クリエイター神酒大亮のライフハック

第1回 勝手広告って何だよ。


ユーザー(消費者)が広告を作る。それが勝手広告。実は世界中で広まっている。学生が作ったiPodのCG作品が話題を呼びプロとして採用されたり、無名のお兄さん達のラップがアメリカのマクドナルドで正式広告になったらしい。この現象、日本では勝手広告と呼ばれるようになってきた。でも、まだまだその可能性は広がりそうである。



[プロフィール] 神酒 大亮(みき だいすけ)
1975年、熊本県出身。株式会社ムービーインパクト代表取締役。
クリエイター集団θproject代表。映画監督、フリーの映像ディレクターを経て、YouTubeで発表した勝手広告が話題に。YouTubeで公開中の動画は8 2万v i ewを記録。新作映画「サイクロプスの涙」編集中。


人を幸せにする仕事。


皆さんこんにちは。ライフハックへようこそ。今回から、勝手広告(動画広告)を簡単に作る方法を書いて行きます! 出演者はプロじゃなくても大丈夫。動画に無縁と思っていた方も、ぜひ連載終わるまでに1本オリジナル勝手広告を作ってもらいたいと思っています。勝手に作る開放感、これが意外と気持ちいいんです。

ここは仕事術を書くところですから、なにか発想術みたいなことを書いた方がいいのかもしれないけれど、その前に勝手広告と私について書かなければなりません。勝手広告を着想するまでに、いろんなことがありました。その一部をかいつまんで説明します。

私は学生時代から自主映画を作っていて、そのままフリーのディレクターになったので就職活動をしたことがありません。どこかの社員になってお給料をいただいたこともありません。こういった背景もあるので、ちょっと一般常識を修得できていないんじゃないかという不安感があります。もしかしたら読者のクリエイターの中にもそういう方いらっしゃるんじゃないでしょうか。就職してスキルアップしないと大変なことも多いです。友人関係が学生時代のままじゃ自分が育たないし、新しい仕事も生まれない。でもそんな状況をインターネットや安価な映像機材、そしてYouTubeが変えてくれました。

SonyやPanasonic、Canonに代表されるハンディカメラは年々ハイクオリティになってくる上に、値段もとてもリーズナブル。そして編集ソフト、特にMacのファイナルカットは凄い。ネットと共にこれらの技術もすすみ、簡単に映像が作られる時代になりました。カット編集するための編集機材が数百万から数千万していたことが信じられません。そのうえ、YouTubeのような動画共有サイトがあれば、無料で世界に向けて発信できる。私のように飢えた制作者にとって夢の時代到来です。


学生時代に作った自主映画「fala」 写真:大石広和
もともと私はインディペンデント映画を作っていました。今も続けています。インディペンデントフィルムっていうとマニアックで自己満足的映画を連想されがちですが、そうではなくて、ちゃんとエンターテイメントなものです。日本のインディペンデントフィルムって、意外とエンターテイメント思考の監督が多いんです。たくさんの人に見てもらいたくて作っているんですが、インディペンデントだと単館上映が精一杯。かといってインターネットでの課金はまだまだ難しく、PCの前で90分映画なんて見る人は稀です。

そこで、もっと短い広告もできるんじゃないかと思いつきました。もともと映画をやっていれば、脚本を書くのはお手の物です。絵コンテも撮影も監督も編集も自分でできます。出演者もすぐに見つけることができました。なぜなら私はここ10年近くクリエイター同士でのルームシェア生活を送っているからです。現代のトキワ荘を目指している気分です。(貧乏ワンルームに布団を並べているわけではありません。念のため)

住む場所は、都心ではなく川沿いの緑地帯が目の前にあるところを選びました。これなら、思いついたらすぐに屋外撮影に出かけられます。


準備は万端。でも、企業オファーなんて待っていても来たりしません。悩んだ末に、自分の好きな企業のCMを勝手につくりました。正確には、CMではなくCMの“形態”をパロディしたショートムービーです。発表する場はYouTubeにとりあえずアップ。一年くらい放っておきました。ところが、翌年これがYahoo!トピックに取り上げられるほどの話題になっていました。今ではひとつの作品で20万ビューを超えるものもあります。これはYouTubeの脅威です。そんなに影響力があるとは!

その頃の私にはなぜそうなったのかよく分かっていませんでした。でも今は分かります。CGMやUGCなんて言葉があって、我々のような人間が出てくることは予言されていました。これはユーザーが作成したコンテンツという意味です。



広告なのに褒めてない


私たちは“面白い広告風の作品をつくろう!”という程度で、あまり深く考えずに作りました。好きな企業の広告でしたが、褒める広告は面白くないと思ったので褒めない広告を考えることにしました。

UGC(ユーザー主導型コンテンツ)の面白いところは、アンコントローラブルであることです。制御不能。褒めるばかりじゃなくて、けなしちゃうかもしれない。なので広告ではなく、広報、批評に近い分野になるのかもしれません。見る側としては“企業の一方的宣伝”はウンザリ。でもオモシロいお笑いや映画なら見てみたいし、友達に知らせたい。

つまり面白ければ見る。私たちの作った勝手広告は偶然にも、広告なのに広告らしくない面白さがあったんです。


毒と広告

脚本の基本的な構成方法が分かっていれば、たいていのストーリーは作れます。日本の場合は“起承転結”が基本になりますが、アメリカの場合は違います。最近は大きく六つに分かれていて、さらにそこから詳細に分けて考えるようです。面白さを追求するための方程式は、今この瞬間も世界中で考えられています。

これらの詳細な話は専門書にお任せするとして、ひとつだけ世界に共通した脚本作りのポイントを書きます。映画の場合、面白くするために必ず毒を盛ります。登場人物がこの仕組まれた毒と対面し、葛藤することでストーリーが深く面白くなるのです。広告では毒を盛るなんて絶対無理ですが、せっかく勝手に作るのだから人を引きつけるスパイスとして少々の毒なら盛るべきです。


勝手広告の勝手なルール


勝手とは言いながらも私なりのルールがあります。それは

1、 誹謗中傷しない
2、 音楽など著作権を侵害しない
3、 苦情のある時、検討の上すみやかに削除する

これが大原則。そのほかに、ネット上での常識だと思いますが残虐、猥褻な表現は避ける。誰かを傷つける、告発する、攻撃するなどの表現はしないなどルールがあると思います。よくUGC関連の文章にこれらの心配が書かれていますが、実写系動画では出演者は顔を出しますし、あまりおおっぴらに非常識な作品を作る人間は少ないと思います。


中学生にも簡単にできる勝手広告


さて、具体的にどういう手順を踏めば勝手広告ができるのか。まずは撮影機材が必要です。以前はこれを用意するのが大変でした。でも今では携帯電話に付いたカメラでも作れます。最近のテクノロジーは凄いですから。でもこれでは編集できない(厳密にはできますが)ので、市販のビデオカメラを推奨します。屋内撮影であれば、パソコンに付いたウェブカメラでもOK。デジタルカメラも動画機能ありますし、ビデオカメラっていまどきどこにでもあるんですね。

カメラが手に入ったら、次は一番大事なアイディア出しです!


勝手広告的おもしろい広告を作るアイディア術はまた次回!


twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在