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作業が捗る!クリエイティブワークが楽になる作業効率化「Tips」

2024.12.17 Tue2024.12.25 Wed

【アクセシビリティの虎の巻!】

重要性が高まる「アクセシビリティ」の基本とそれを強化&チェックするツールの選び方

文・画像:塚本建未

「アクセシビリティ」を強化&チェックするツール(Part3)
リーダビリティ評価コンテンツ読み上げWebアクセシビリティ、総合型

4. 認知的アクセシビリティチェックツール
認知に課題のあるユーザーの体験を改善するためのツール。高齢者の方や知的障害、発達障害を抱える方などのアクセシビリティを高めることができます。

リーダビリティ評価ツール

日本語の記事のリーダビリティーをチェックできる「jReadability Portal」

文章の読みやすさを数値化・評価するツールです。文章を読みやすくしたり、漢字の使用率を低くすることで、小・中学生や知的障害者・発達障害者などの他に、在日外国人の方のアクセシビリティを強化することもできます。

代表的なツール

ツール名説明
リーダビリティ測定ツール長岡技術科学大学のリーダビリティー・リサーチ・ラボが提供する日本語リーダビリティー測定ツール。
jReadability Portal日本語の記事の読みやすさを6段階で評価し、リーダビリティーをチェックできるツール。
リーディング チュウ太筑波大学の研究機関である日本語・日本事情遠隔教育拠点が提供する日本語学習支援システム。文章全体にルビを自動に生成する機能や日本語能力試験を基準にして単語の難易度を判定できるリーダビリティー測定ツールとしての機能も搭載。

コンテンツ読み上げツール

日本語によるコンテンツ読み上げにも対応している「Natural Readers」

Webサイトに記載されているテキストなどのコンテンツを読み上げるツールです。視覚に困難を抱える方だけでなく、発達障害の一種である読字障害(ディスレクシア)など、学習障害を抱える方にとっても、聴覚からの情報取得が可能になっていることが重要なサポートです。こうしたコンテンツ読み上げ機能を最大限に活かすため、デザイナーは文字や画像の配置など、視覚情報と聴覚情報の連携に配慮した設計を行うことが求められます。コンテンツ読み上げツールは、作成したコンテンツが意図した通りに読み上げられるかをチェックするのに役立ちます。

代表的なツール

ツール名説明
Natural Reader全世界に1,000万人以上のユーザーがいるAIテキスト読み上げツール。
コエステーション株式会社エーアイが開発・提供する国産のコンテンツ読み上げツール。
macOSの音声読み上げ機能macOSに標準搭載された画面上のテキストを読み上げる機能

5. Webアクセシビリティチェックツール
Webサイト全体のアクセシビリティをチェックするツールです。アクセシビリティは、誰もが平等にアクセスできるといった考え方だけでなく、Webサイト・Webアプリの性能を評価する文脈でもよく用いられる用語であることも、覚えておきましょう。

サイトのパフォーマンスを自動評価するツールの「PageSpeed Insights」

Webアクセシビリティチェックツールは、Webアクセシビリティのパフォーマンスをスキャンして自動診断で指摘するツールです。Googleが提供する「PageSpeed Insights」をはじめとして多数のWebアクセシビリティチェックツールが提供されていますので、いくつかのツールでWebサイトのパフォーマンスをチェックしてみましょう。

代表的なツール

ツール名説明
Google PageSpeed InsightsGoogleの提供するWebサイト読み込みスピード評価チェックツール。
GTmetrix計測指標はGoogleと同様だが独自の指標でも評価してくれるWebアクセシビリティチェックツール。
LighthouseGoogleが求めるページの品質の1要素としてアクセシビリティのチェックができるツール。

6. 総合型アクセシビリティチェックツール

総務省が提供している総合型アクセシビリティチェックツール「miChecker」

ここまで紹介したアクセシビリティに関する複数の課題に対応できるオールインワンツールも数多く提供されています。

代表的なツール

ツール名説明
miChecker総務省が提供しているWindows用の総合型アクセシビリティチェックツール
aXeWeb開発現場で用いられているアクセシビリティの自動テストライブラリー。キーボードナビゲーションチェックツールなど様々なアクセシビリティチェックが可能。
WaveWebアクセシビリティに関して多機能なチェックが可能なGoogle Chromeのアドオン。
Web Accessibility Annotation KitFigma用のWebアクセシビリティキット。
Access GuideWebアクセシビリティに関する情報を網羅した海外の情報提供サイト。

ここで挙げたツール以外にも、様々なアクセシビリティを強化するチェックツール、支援ツールが存在します。本記事で全てを網羅することは難しいので、ここで挙げたツールを参考に自身でもアクセシビリティ関連ツールをネットで調べてみましょう。

「アクセシビリティ」チェックツールを活用していく上での注意

1.最新の規格に準拠したツールを選ぶ
WCAGなどのガイドラインは、定期的にアップデートされています。アクセシビリティに関連したツールは、最新のアクセシビリティ基準に準拠したツールを選ぶこと、またツールのバージョンアップにも注意を払い、最新の状態を保つことが重要になります。

2.複数のツールを組み合わせて活用する
一つのツールに頼らず、複数のツールを組み合わせてチェックを行うことで、より丁寧で正確なアクセシビリティチェックが可能になります。

3.人間によるチェックも合わせて行う
AI技術が発達し各チェック機能の精度も向上していますが、アクセシビリティに関するすべての問題を検出できるわけではありません。人間が使うという前提に立てば、必ず人間の五感によるマニュアルチェックを併用することが大切です。グラフィックデザイナーは、カーニングをピクセル単位で調整し視認性を高めるといった作業を目視で行っていると思いますが、こうした人間によるチェックや微調整も、アクセシビリティの強化では非常に重要なプロセスになります。

4.必要に応じて各種関連団体の情報提供などから知識をアップデートしておく
「アクセシビリティ」「ユニバーサルデザイン」「インクルーシブデザイン」といったキーワードと「協会」「NPO法人」「社団法人」「団体」といったキーワードを組み合わせると、かなりの数の関連団体がヒットします。また、各障害名でも同様に検索すると、関連団体を見つけることができます。こうした団体・組織では、最新の情報提供や勉強会といったイベントなどが開催されてますので、必要に応じて知識のアップデートに活用してみましょう。ごく一部ですが、以下に主な団体を紹介います。

アクセシビリティに関する関連団体

団体名説明
一般社団法人 日本ウェブアクセシビリティ協会JISの示す要件に従って、Webアクセシビリティの持続性の確保、向上に取り組んでいる団体。
ウェブアクセシビリティ推進協会Webアクセシビリティに関する国内標準(JIS X8341-3)を基盤として、アクセシビリティの高いウェブを広く普及・推進する活動を行う団体。
ウェブアクセシビリティ基盤委員会JIS X 8341-3を改正している改正原案作成団体。
ACCESSIBILITY.comアクセシビリティに関する情報を提供する海外サイト
NPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会内閣府が認証するメディアに関するユニバーサルデザインを推進する団体
一般社団法人 ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会ユニバーサルデザインを推進する団体
国際ユニヴァーサルデザイン協議会国際的なユニバーサルデザインを推進する団体
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構視覚アクセシビリティに関する情報提供などを行う団体。
NPO法人 日本ユニバーサル・サウンドデザイン協会聴覚に関するユニバーサルデザインを推進する団体
一般社団法人インクルーシブデザイン協会インクルーシブデザインを推進する団体
特定非営利活動法人インクルーシブデザインネットワークインクルーシブデザインを推進する団体

まとめ

デザイン自体は生成AI機能などを搭載したクリエイティブツールなどの登場によって誰にでもできる作業になりつつあります。しかし、本記事で紹介したような、アクセシビリティという考え方に基づく、誰にとっても使いやすい製品やサービスを提供するための知識や技術というものは、プロのデザイナーしか実現することのできない領域だと思います。

私はデザイン科の卒業ですが、恩師から「デザインとファインアートは違う。デザインは社会活動の上に成り立っているものなので、自己満足ではいけない」といった主旨のことを繰り返し教えられました。私自身はデザイナーにはなりませんでしたが、その言葉は今も深く心に刻ままれています。アクセシビリティに限らず、すべての人に使いやすい機能性と美しさを兼ね備えたテザインを提供するという考え方は、先達のデザイナーから脈々と受け継がれているデザインの本質なのでしょう。

デザイナーは、クリエイティブな職業であるとともに、創作する製品やサービスによって、人々の生活を豊かにし、社会的な課題解決の一端を担うことができる稀有な職業であると思います。アクセシビリティに関するトピックは、そうしたデザイナーが担う社会貢献の中でも特に重要な知識や技術だと思いますので、本記事が一助になりますと幸いです。
 

塚本 建未
ライター・編集者・イラストレーター
フリーランスのライター・編集者・イラストレーター。高校はデザイン科を卒業し、大学は、文学部とスポーツ科学部の2つの学部を卒業。フィットネス・トレーニング関連の専門誌で編集者・ライターとしてキャリアを積む。メインの活動の場をWebメディアに移行してからは、ITツール紹介やWebマーケティング分野などを得意領域として活動を続けている。
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