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作業が捗る!クリエイティブワークが楽になる作業効率化「Tips」

2025.10.16 Thu

リアルな冊子「ZINE」がZ世代などの若年層に大人気!ZINE作成に役立つTIPS&ツール徹底ガイド

文・画像:塚本建未

数年前からZ世代を中心に「ZINE」と呼ばれる手作りの冊子がブームになっています。スマートフォン一つで様々な情報にアクセスできる時代に、なぜデジタルネイティブな彼らは、あえて紙のZINEに惹かれるのでしょうか。本連載では、これまで生成AIに関して様々な情報提供や考察を重ねてきましたが、この現象には、これからの生成AI時代を生き抜くための重要なヒントが隠されているように感じます。

そこで今回は、ZINEブームの背景とその魅力を紐解きつつ、ZINE制作に役立つ実践的なTIPSとおすすめのツールをご紹介します。

ZINEの定義

ZINEとは

画像引用元:Timeline of Zine History

ZINE(ジン)は、雑誌の英単語「magazine」の略語で、個人や少人数が自由な発想で制作する小冊子です。市販の雑誌とは異なり、制作者が特定のテーマに沿って文章、イラスト、写真などを自由に組み合わせて作成します。編集や製本に決まったルールはなく、作り手の個性やメッセージが強く反映されるのが特徴です。

ZINEは新しいメディアのように思われがちですが、その歴史は古く、起源は1930年代のアメリカでSF愛好家が制作した同人誌「Fanzine」に遡ります。特に1970年代のパンク・ムーブメントでは、既存メディアに反発する表現手段として活用され、当時のDIY精神の象徴となりました。こうした手作り冊子のブームは、メディア史の中で定期的に起きています。

例えば、中高年の記憶にある2000年代初頭のフリーペーパーブームが挙げられます。雑誌の全盛期が過ぎ、Webメディアが台頭する中、紙メディアが一時的に活気を取り戻した時期です。フリーペーパーはZINEと性質は異なりますが、多くのクリエイター志願者が表現の場として紙メディアに魅力を感じた点は共通していました。

そして現在、デジタルネイティブのZ世代が、SNSでは表現しきれない「手触り感」や「パーソナルな表現」を求め、ZINEを再発見しています。商業出版とは異なり、個人の表現や思想を自由に発信できるZINEは、少部数制作で手作り感があることから、若いクリエイターたちの新たな表現手段として人気を集めているのです。
※参照記事:A Brief History of Zines (The Chapel Hill Rare Book Blog/The libraries of The University of North Carolina
※参照記事:Timeline of Zine History(Zines and Self-Published Materials / Virginia Library)
※参照記事:Zine(Wikipedia)

雑誌、書籍、ムック、同人誌、フリーペーパーとどこが違うの?

SF punk zines at Prelinger Library:San Francisco punk zines from the 90s or "blogs in a box!"Author:Lindsay leyink/License:CC BY 2.0)/Reign of the Superman:Public Domain /Shirakaba first issue:パブリック・ドメイン

 ZINEを制作・理解する上で、ZINEの特性を正確に知っておくことは非常に重要です。その魅力を最大限に引き出すためにも、他の冊子メディアとの違いを確認しておきましょう。

流通コードあり(商業出版物)
ここでは、流通コードの有無で冊子メディアを分類します。流通コードは、日本特有の出版物卸売業「取次」で使われるものです。学術誌など、取次を通さずとも流通コードを取得している出版物もあります。

◎書籍
特徴】:非定期刊行の商業出版物で、単行本とも呼ばれます。小説、ビジネス書、学術書など、特定のテーマを深く掘り下げた内容が特徴です。保存性が高く、長期的に読まれることを想定して作られます。

商業性】:主な収益は販売収入で、本文中に広告は入りません。新刊案内などの告知が入ることはあります。

流通経路】:書店、オンライン書店などで販売されます。ISBN(国際標準図書番号)という流通コードが与えられています。

◎雑誌
特徴】:定期刊行の商業出版物で、特定の読者層に向け、最新情報やトレンドを提供します。ファッション誌、週刊誌、専門誌など多岐にわたります。

商業性】:商業性が高く、販売収入に加え、広告収入が主要な収益源となります。広告枠の確保も考慮して編集されます。

流通経路】:書店、コンビニ、駅売店、オンライン書店、定期購読など、流通経路は広範です。雑誌コードという、ISBNとは異なる独自の流通コードを持ち、このコードの取得は難しいとされています。

◎MOOK
特徴】:「Magazine(雑誌)」と「Book(書籍)」を組み合わせた造語で、雑誌と書籍の中間的な性格を持つ出版物です。特定のテーマを深く掘り下げ、書籍のように保存性が高いのが特徴です。

商業性】:商業性が高いため、雑誌と同様に広告が入ることも多く、販売収入と広告収入の両方が収益源となります。

流通経路】:流通経路は、雑誌や書籍と同じです。雑誌コードを持つ場合と、書籍コードで流通している場合があります。

 以下は流通コードがある冊子の一覧表です。

流通コードがある冊子の比較表一覧

出版物主な目的と表現スタイル商業性・広告・流通経路
書籍知識、物語
体系的
商業性は高い(営利)/広告ほぼなし/流通経路は、主に書店、オンライン書店など
雑誌最新情報、エンタメ
広告収入
商業性は高い(営利)/広告あり/流通経路は書店、コンビニエンスストア、駅売店、オンライン書店、定期購読など
MOOK特定テーマ深掘り
雑誌+書籍
商業性は中〜高(営利)/広告あり/流通経路は、雑誌や書籍とほぼ同じ

流通コードなし(自主・無料媒体など)
流通コードがない出版物は、自主的に販売・配布する必要があります。

ZINE
特徴】:個人や少人数が非商業的な目的で制作する小冊子です。手作り感が強く、コピー機や簡易印刷で制作されることも多いため、既成概念にとらわれない自由な表現が特徴です。ニッチで個人的なテーマが扱われ、その多様性と実験性が魅力です。

商業性】:定義上は利益を追求しない冊子とされ、販売する場合も制作実費の回収が目的となります。基本的に広告は入りませんが、人気ZINEの中にはビジネスとして成立しているものもあります。

流通経路】:アートイベントやコミティアなどでの直接販売、個人のオンラインストア、一部のセレクトショップやギャラリーでの委託販売が主な流通経路です。

◎同人誌
特徴】:共通の趣味や関心を持つ個人やサークルが、ファン活動の一環として自主制作する出版物です。文学史に残る「白樺」や「新思潮」なども同人誌の一種とされ、ZINEと同一視される場合もあります。現在は人気漫画やアニメの二次創作が主流で、オタク文化を象徴するメディアとなっています。ボーイズラブなどの成人向けコンテンツもあり「薄い本」とも呼ばれています。

商業性】:基本的に非商業的な活動で、制作実費の回収が主な目的です。広告は入りませんが、中にはプロ並みの収益を上げる人気同人作家もいます。

流通経路】:主にコミックマーケットなどの大規模な同人イベントや、専門の通販サイト、一部の同人誌専門店での販売が中心です。

◎フリーペーパー
特徴】:無料で配布される出版物で、主に広告収入で運営されています。文芸や漫画、地域情報など様々なジャンルがありますが、その多くは広告収入を目的としたものです。

商業性】:無料で配布されるため、広告収入が最重要の収益源です。そのため、誌面の多くが広告で占められることも珍しくありません。

流通経路】:駅や公共施設、カフェ、店舗の店頭に設置されたり、ポスティングで配布されます。

以下は流通コードがない冊子の一覧表です。

流通コードがない冊子の比較表一覧

出版物主な目的と表現スタイル商業性・広告・流通経路
ZINE自己表現、趣味の共有
手作り感
商業性は低い(非営利)/広告ほぼなし/流通経路はアートイベント、デザインフェスタ、コミティアなどのイベントでの直接販売。個人のオンラインストア、一部のセレクトショップやギャラリーでの委託販売
同人誌趣味の共有
ファン活動
商業性は低い(非営利)/広告ほぼなし/流通経路は、主にコミックマーケットなどの大規模な同人イベントや専門の同人誌通販サイト。一部の同人誌専門店での販売が中心
フリーペーパー広告、地域情報
無料配布
商業性は高い(広告のみ)/広告あり/流通経路は、主に駅や公共施設、カフェ、店舗の店頭などに設置され、自由に持ち帰ることが可能。ポスティングで配布されることもあり

「流通コードありの冊子」と「流通コードなしの冊子」の違い

補足として、日本国内の雑誌・書籍・MOOKといった流通コードを持つメディアは、国立国会図書館にアーカイブされます(電子書籍も含む)。一方、ZINE、同人誌、フリーペーパーは、商業出版物と異なり、国立国会図書館への義務的な納本対象ではありません。そのため、必ずしも全てが国家レベルでアーカイブされるわけではないことを認識しておきましょう。

このことから、ZINEや同人誌で活動するクリエイターは、歴史に名を残すという意味で、最終的に流通コードを持つ商業出版物での実績へとキャリアを形成していくことが重要です(この文化的にアーカイブされにくい問題は、Webメディアも同様です)。

著者プロフィール

塚本 建未
ライター・編集者・イラストレーター
フリーランスのライター・編集者・イラストレーター。高校はデザイン科を卒業し、大学は、文学部とスポーツ科学部の2つの学部を卒業。フィットネス・トレーニング関連の専門誌で編集者・ライターとしてキャリアを積む。メインの活動の場をWebメディアに移行してからは、ITツール紹介やWebマーケティング分野などを得意領域として活動を続けている。
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