グッと冷え込むこの季節。気温とともに湿度も下がり、外にいても、自宅や職場にいても、喉の乾燥が気になりますよね。そこで、喉が痛みやすい冬に気をつけたいことや対処法をお伝えします。この時期控えた方がいいお茶の種類や、乾燥対策におすすめの食材、喉を痛めたときにおすすめのツボもご紹介。東洋医学を教えてくれるのは、鍼灸院「アキュサリュート高輪」の院長・瀬尾港二先生。イラストは、お笑いコンビ蛙亭の中野周平さんです。
陰の気が増える・・・?東洋医学で冬はこんな時期
瀬尾 冬は、環境における「陽」の気が弱くなり、「陰」の気が盛んになる季節。それに伴い寒さが増してくるので、まずは寒さ対策が大切です。そして、秋口から低くなってきた湿度がさらに極まる季節でもあるので、乾燥にも注意が必要。
湿度は真夏で最大80%程度、秋には30〜70%程度になり、冬は最小で15〜20%程度と、徐々に乾燥が強まっていきます。そのため、秋から冬にかけての乾燥シーズンには「生津(せいしん)作用」という身体を潤す食材を意識して摂ることで乾燥対策ができます。
風邪を引きやすくなるかも!冬は乾燥に要注意
瀬尾 自然免疫である喉や鼻の粘膜が風邪の関門。粘膜が乾燥することで風邪を引きやすくなリます。風邪予防にうがいは大切ですが、うがい薬などで口腔内や喉の常在菌を減らしてしまうと免疫のバランスが崩れてしまうので、うがいのし過ぎには注意が必要です。また、一年を通してよく飲まれている烏龍茶やプーアル茶は喉の脂を取ってしまうので、この季節はなるべく避けること。
梨、りんごなど、「生津作用」のある食材・漢方で乾燥対策
瀬尾 乾燥の季節に身体を潤してくれる「生津作用」を持った食材や漢方はたくさんあります。梨、ライチ、レモン、リンゴ、白キクラゲ、羅漢果、蜂蜜、緑茶、紅茶、西瓜霜(せいかしょう)入りのど飴。羅漢果や西瓜霜はあまり馴染みがないかもしれませんが、中国食材店で手に入りやすいのでぜひ覗いてみてください。
漢方では、麦門冬(ばくもんどう) 、天門冬(てんもんどう)にお湯を注いで飲むのがおすすめです。乾いた咳や気管支炎、喉の乾燥、近年コロナの後遺症で悩んでいる人が多い空咳にも効果が期待できます。
中国ではメジャー!生津作用のある食材を組み合わせた簡単アレンジ方法
1)大きめの梨の芯をくり抜き、穴に氷砂糖または蜂蜜と白キクラゲを入れて蒸します |
2)蒸し上がったら、中に麦門冬や天門冬を入れるとなおよし |
■くり抜くのが難しい場合は、梨を細かく刻んで白キクラゲと蜂蜜を一緒に煮込んでもOK |
■「こちらは中国ではとてもポピュラーなメニュー。乾燥が気になるときは試してみてくださいね」と瀬尾先生 |
※漢方薬の使用に関しては、医師、薬剤師など専門家に相談してください
- 瀬尾港二
- アキュサリュート高輪院長
- 1960年宮崎生まれ。ICU理学科卒業後、北京中医学院(現北京中医薬大学)針灸推拿学部に入学。在学中から気功や武術の大家に師事。92年卒業。2010年にアキュサリュート高輪を開設。一般社団法人日本中医薬学会理事・事務局長、神奈川衛生学園専門学校非常勤講師、東京医科歯科大学非常勤講師。著書に「図解 よくわかる東洋医学―漢方薬・ツボ・食事、3つの養生法で治す」「家庭でできる漢方〈4〉不眠症―原因・タイプ別 眠れるからだに体質改善!」など。
2023.12.08 Fri2024.03.15 Fri